自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆政府対策「1世帯2枚のマスク」のインバクト

2020年04月02日 | ⇒ニュース走査

    このところテレビで、新型コロナウイルスの感染拡大による国の緊急事態宣言の是非についての議論されている。視聴していて、それぞれの専門のコメンテーターの話しぶりに殺気だった雰囲気を感じる。それだけ危機が差し迫っているのかと受け止める。そんな中、きのうのこのニュースを知って、おそらく国民のほとんどは耳目を疑っただろう。

   安倍総理がきのう政府の感染症対策本部の会合=写真、首相官邸公式ホームページより=で、マスク不足対策の一環として、洗濯して繰り返し使える布マスクを1億枚配る方針を明らかにした。1世帯当たり2枚を郵便を使って順次送る、という。総理発言で自ら耳目を疑った理由をいくつか。

   その1)「1世帯当たり2枚のマスク」。これは総理が述べるべき内容だろうか。地方自治体の首長が言ったのであれば納得する。総理がいま言うべきは国民の生活保障ではないだろうか。ドイツ政府は収入を失った個人事業主(フリーランス)に3ヵ月100万円、イギリスは給与の8割、フランスは給与の7割を政府が保証すると発表している。それに比べるとマスクを1世帯当たり2枚とは。最近まで自民党内にあった肉券と魚券の提案と同じレベルではないか。

   その2)マスク配布は緊急経済対策(60兆円想定)の経費に盛り込むという。配布は日本郵政が担う。全国に張り巡らされた郵便局のネットワークを活用して郵送ということだろう。その経費はいくらなのか。1世帯への配布のコストを仮に500円として、全国5000万世帯で計算すると250億円だ。

   そこまでして全国津々浦々に配る必然性がどこにあるのだろうか。国から1世帯当たり2枚のマイクが配布されて、これを政府の対策と国民は納得するだろうか。冒頭に述べたように、この世の中は少々殺気立ってきた。配布後の内閣支持率を見てみたい。20%台に落ち込んだら危険水域だ。

   けさもニュースをチェックしていると、世界はすでに殺気立っている。WHOのテドロス事務局長は1日、ジュネーブの本部で記者会見し、ここ数日間で世界で感染者は100万人に上り、死者も5万人に達するだろうと述べた。イギリスでは先月31日に死亡者が1日としては最も多い563人に上ったと発表された。累計は2352人となる。アメリカのトランプ大統領が感染拡大について「非常に厳しい2週間になる」と述べたことを受けて、1日のニューヨークダウの終値は前の日に比べて973㌦下落した(2日付・NHKニュースWeb版)。

⇒2日(木)朝・金沢の天気   あめ

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