自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★テレビ番組 悩ましい「3密」

2020年04月05日 | ⇒ニュース走査

         新型コロナウイルスの感染拡大はマスメディアも例外ではない。きょうの朝日新聞朝刊の第2社会面のベタ記事(1段見出しの記事)が掲載されていた。東京本社に勤務する編集局の30代の女性記者が匂いを感じないなどの症状があり、先月31日に倦怠感があったため保健所と相談、今月1日にPCR検査を受け、4日に陽性と判明した。NHKでも感染者が出ている。3日付の報道資料によると、国際放送局に所属する40代の男性は先月23日に発熱があり、医療機関で「風邪」と診断された。以降自宅で療養し、30日に出勤したが、帰宅後に再び発熱。別の医療機関で受診し、今月1日にPCR検査を受け、3日に陽性と判明した。

   テレビ局の場合、番組制作という仕事はまさに「3つの密」である。スタジオという密閉空間と密集場所、一堂に会した番組打ち合わせは密接場面である。TBSは今月2日に「新型コロナウイルス対策についてのお知らせ」と題した報道資料(ニュースリリース)を出した=写真=。報道・情報番組は従来通りに取り組むものの、ドラマやバラエティなどの番組については、「不特定多数の方々と接触したり、大人数が集まったりするケースが多いことから、一般の方々や出演者の方々、番組スタッフへの感染予防を最優先に、当面、ロケやスタジオ収録などを見合わせる」(報道資料)。見合わせる期間を4日から今月19日までの2週間で、それ以降はその都度で判断するとしている。

        TBSは前日の1日、今月スタートのドラマ3本(『半沢直樹』『私の家政夫ナギサさん』『MIU404』)と、4日に生放送する予定だった特別番組『オールスター感謝祭2020春』の放送を延期すると発表していた。放送直前での苦渋の決断だったろう。TBSでは、さらにその前日の31日に派遣契約の60代の男性スタッフが陽性と確認されたと発表していた。

   ここからは憶測だ。クライアントであるスポンサーの意向もあったのではないだろうか。放送予定だった生番組『オールスター感謝祭2020春』は多数が出演してのクイズやスポーツに挑戦する内容で、まさに「3つの密」だ。これが放送された場合、SNSで相当な批判が沸き起こることは想像に難くない。事前に有力なスポンサーから番組の提供を降りたい旨の話があったとしても不思議ではない。

   NHKには別の悩ましさもある。今月2日の前田会長の記者会見で記者から質問があった。「コロナウイルスに関して、中小企業やホテルなどに対して緩和措置を取るのか」と。これに対し「3月30日に高市総務大臣から、旅館やホテルなどの中小事業者向けの受信料負担の軽減について、減免を含めて、検討の要請がありましたことを踏まえて、前向きに検討したい」と答えている。受信料問題と絡んできている。

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