自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★疫病退散の祭りも中止に

2020年04月11日 | ⇒ニュース走査

   新型コロナウイルスの感染者は、石川県で92人となった。人口10万人当たりの感染者で見ると、驚くことに北陸が多い。総務省が公表している最新の人口推計で割った「人口10万人当たりの感染者数」(10日午後5時現在)の都道府県別で最も多い東京が11人、福井10.6人、石川は8人の順となる。緊急事態宣言が出されいている大阪7人、兵庫・千葉5.7人、福岡4.9人、神奈川4.4人、埼玉3.9人より多いのだ。しかも、市町村別で比較すると、金沢市が14人となり、東京都の11人を上回る(11日付・NHKニュースWeb版)。地元の新聞メディアは石川県が独自に緊急事態宣言を出すのではないかと報じている=写真・上=。

   確かに、金沢に住んでいると、感染者は身近にいる。いつも利用しているタクシー会社の運転手や、近場の病院、そして職場の大学でも感染例が報告された。知人の話では、今月中ごろに金沢市内の病院で人間ドックを予約していたが、キャンセルされたという。受診者が陽性だった場合、内視鏡などの従事者へ感染する恐れがあるためとの説明があったという。すでに医療の現場が受診者を警戒しているのだ。知人は「次の予約の目途も教えてくれなかった」と憤慨していた。双方に疑心暗鬼が生じている。

   能登に住む知人からの一報だ。毎年7月初旬に行われる能登町の「あばれ祭り」が中止になるとの連絡だった。あばれ祭りは能登半島のキリコ祭りを代表する祭りだ。それを執り行うことを断念したということは、相当重い判断だったろう。

   あばれ祭りは、40基のキリコが繰り出し、広場に集まって、松明(たいまつ)のまわりを勇壮に乱舞するのが見どころだ=写真・下=。また、神輿を川に投げ込んだり、火の中に放り込むなど、担ぎ手が思う存分に暴れる。祭りは暴れることで神が喜ぶという伝説がある。江戸時代の寛文年間(1661-73)、この地で疫病がはやり、京都の祇園社(八坂神社)から神様を勧請し、盛大な祭礼を執り行った。そのとき大きなハチがあらわれて、病人を刺したところ病が治り、地元の人々はこのハチを神様の使いと考えて感謝した。それから祭りでは「ハチや刺いた」とはやしながら練り回ったというのが、この祭りのルーツとされる(日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」公式ホームページ、写真も)。

   日本、そして世界に元気がない。疫病を退散させる元気な祭りでコロナに打ち勝ってほしい。そう願うばかりだ。

⇒11日(土)午後・金沢の天気      くもり

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