自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★一律10万円を受けないという国難の選択肢

2020年04月17日 | ⇒メディア時評

           「国難とも言うべき事態を乗り越えるため、日本全体が一丸となって取り組んでいくしかない」。安倍総理は昨夜午後8時17分から、総理官邸で新型コロナウイルスの対策本部会合を開き、国内のすべての都道府県に緊急事態を宣言した。これによって各県の知事は、法的根拠のある外出自粛要請が可能となった。期間は5月6日まで。GW中に人の移動を全国一斉に抑える狙いがある。海外のようなロックダウン(都市封鎖)はしない(16日付・共同通信Web版)。

   今回の宣言の柱は2つ。感染者が急増する石川県と北海道、京都府、愛知県など6道府県と7日に発令した東京、大阪など7都府県の合わせて13都道府県を「特定警戒」のエリアと位置づけ、重点的に対策を進める。また、減収となった世帯に限定した30万円の給付金はやめ、所得制限を設けずに全国民に一律10万円を給付することで再調整する。その理由は、緊急事態宣言を全国に拡大することで、行動が制限される全ての国民から協力を得るため、としている。いわば私権制限にともなう協力金のようなカタチだ。

   今回の緊急事態宣言の率直な印象。「卵が先か、ニワトリが先か」の論議ではないが、収入減の理由付けなど手続きがややこしそうだと不評を買っていた30万円給付を一律10万円にシフトさせるために、あえて全国に緊急事態宣言を拡大したのではないかと思えてならない。国内の感染者数にはかなりのばらつきがある。岩手はゼロ、鳥取は1、徳島3、鹿児島4などとなっている。ここに緊急事態宣言の網をかけてもよいものだろうか。

   岩手県庁公式ホームページをチェックすると、石川啄木祭短歌大会(5月3日・盛岡市)や日本ワインフェスティバル花巻大迫2020(5月30、31日・花巻市)といった大型イベントが次々と中止になっている。おそらく、首都圏など県外からの感染者には来てほしくないという防戦の態勢に入っている。緊急事態宣言でさらにそれを徹底できる。

   それにしても10万円を国民1億2595万人(総務省統計・3月1日現在)に一律給付すれば、ざっと12兆5950億円だ。さっそく、
麻生財務大臣は、一方的に支給するのではなく「要望される方、手を挙げる方に配る」と述べた(17日付・共同通信Web版)。個人的にはこの案に賛成だ。必要な人、家族が近くの役所に給付を申請すればよい。 国難だからあえて給付を受け取らないという選択肢、あるいは志(こころざし)があってもよい。ただ、国からのマスクは受け取る。

⇒17日(金)午後・金沢の天気   はれ

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