自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆桜は満開なれど 「どうする日本の技術力」

2023年03月29日 | ⇒ニュース走査

   金沢のソメイヨシノは満開になっている。青空に映えて、まさに「花見日和」だ。近郊の里山では、菜の花畑がでも一面に咲き誇り、満開のソメイヨシノ、そして青空の絶好のコントラストを描いていた=写真・上、金沢市銚子町=。開花は23日で、平年(4月3日)より11日も早かったので、金沢市内の小学校の入学式(4月7日)のころは、桜吹雪が楽しめるかもしれない。

          満開のソメイヨシノでめでたい気分にはなるものの、残念なニュースもある。電圧をかけると発光する有機物でできた電子材料で、スマートフォンやテレビの画面などに使われている「有機EL」。メディア各社の報道によると、この先端技術を使ったディスプレイを生産しているJOLED(ジェイオーレッド、東京)は27日、東京地裁に民事再生手続き開始の申し立てを行ったと発表した=写真・下=。石川県能美市には主力工場がある。

   JOLEDはソニーグループとパナソニックホールディングスの有機ELパネル開発部門を統合し、2015年1月に設立。2019年11月には主力工場の能美事業所で、世界初の印刷方式有機ELディスプレイ量産ラインの稼働を開始。医療用モニター、ハイエンドモニター、車載向けなどに生産。しかし、安定した生産に想定以上のコストと時間を要したほか、世界的な半導体不足による影響に加え、高性能・高品質ディスプレイ需要の伸び悩みや価格競争の激化など、経営環境が厳しさを増していた。負債総額は337億円と見られる。なぜ世界随一の技術を持ちながらJOLEDは経営破綻に追い込まれたのか。

   有機ELパネルはシートのように薄かったり、丸めることもでき、いろいろな分野で使われると期待されている。しかし、品質面で高い評価を得られたとしても、問題はニーズで、有機ELよりも安価な液晶パネルを求める顧客が増えたとされる。

   それにしても、日本の技術力が問われるような暗いニュースが相次いでいる。今月7日、JAXAは主力ロケット「H3」の初号機を種子島宇宙センターで打ち上げたものの、2段目のエンジンに着火せず、打ち上げは失敗に終わった。国家プロジェクトとして9年前から開発が始まり、2度の年度をまたぐ延期を経て先月17日に打ち上げに臨んだが、発射直前にロケットの1段目の装置で異常が発生し、打ち上げを中止していた。最終検証を行い、満を持して7日の発射に臨んだものの、失敗した。「どうする日本の技術力」

⇒29日(水)夜・金沢の天気     はれ


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