清水を彩る紅葉を求めて、醒井 (さめがい) の地に降り立ちました。
醒井は米原の東側にあります。駅で言えば、米原駅からひとつ名古屋寄りの場所です。
醒井という土地があることを知ったのは今年の夏のこと。多賀大社の万灯祭を見に行く途中、田舎の情緒を漂わせる駅が見えたと思ったら、醒ヶ井駅でした。
昔の旅は主に徒歩でした。明治の初め頃まで、旅人は途中で見かける風物や季節を肌で感じながら街道を歩き、旅路をつむいだはずです。
時代が下るとともに交通機関が発達し、気軽に遠くへ行けるようになりました。反面、人の流れが変わり、目的地まで直行して途中の町には寄らない移動が主流になりました。その変化に歯止めはかからず、都市ばかりが膨張し、都市と都市を結ぶ街道に沿ってにぎわった町は廃れてしまいました。
今も昔も各地に都市が点在することに変わりはありません。しかし、かつて旅人を温かく見守った街道の町は、高速交通の前に無力です。
そんな町を発掘したい。
ローカル線の旅をしよう。
ちょうど紅葉のシーズンです。雨が降る日を避け、それでいて紅葉の見頃も逃さないようにタイミングを計ります。
計画を温め続け、そして昨日。醒井の空気に触れてきました。
醒井までは、各駅停車の普通電車に揺られて向かいます。普通電車とはいえ、さすが東海道線。シートの座り心地はよく、列車の揺れも少なくて快適です。シートのクッションが弱く、リクライニングしない点を除けば、特急電車と遜色 (そんしょく) ありません。
区間ごとに乗り換えるのも普通電車の旅ならでは。先に入線した電車に乗り換え、シートに腰掛けて出発を待っていると、黒い革カバンを持った小柄な女性運転士が運転室に入りました。女性の車掌を見かけることも多くなりましたが、最近では女性運転士もいるようです。
電車は、車内アナウンスとともに、油が流れ出すように静かに発車しました。
やがて建物が密集する街に別れを告げ、貨物列車とすれ違いながら山の間をすり抜けていきます。山々には緑の木々あり、赤の木々あり、黄色の木々あり。ちょうどまだらに紅葉した時期です。この季節を錦秋と呼んだ古 (いにしえ) の感性に敬服。
電車はスピードを上げ、錦に染まる山あいの鉄路を快走します。雨で遅れた特急きのさきが地下鉄にも追い越されそうなノロノロ運転で走っていたのとは対照的です。
運転室のガラス窓から、ときおり指差し確認する白い手袋が見えます。
誠実な運転に安心して身を任せているうちに、電車は醒ヶ井の駅に滑り込みました。
醒ヶ井駅で乗降する人は他におらず、駅はごく静かです。ホームに立つと、まさに錦のように色とりどりの山が目に飛び込んできました。
あいにく空は薄曇りで真っ白ですが、雨は降っていません。一面乳白色のすりガラスに覆われたこの町には、どんな秋が訪ねてきているのでしょうか。
下の画像やテキストをクリックすると、該当する記事が表示されます。すべての記事を写真付きで書いているので、写真だけ拾い読みという楽しみ方もあり。
醒井は米原の東側にあります。駅で言えば、米原駅からひとつ名古屋寄りの場所です。
醒井という土地があることを知ったのは今年の夏のこと。多賀大社の万灯祭を見に行く途中、田舎の情緒を漂わせる駅が見えたと思ったら、醒ヶ井駅でした。
昔の旅は主に徒歩でした。明治の初め頃まで、旅人は途中で見かける風物や季節を肌で感じながら街道を歩き、旅路をつむいだはずです。
時代が下るとともに交通機関が発達し、気軽に遠くへ行けるようになりました。反面、人の流れが変わり、目的地まで直行して途中の町には寄らない移動が主流になりました。その変化に歯止めはかからず、都市ばかりが膨張し、都市と都市を結ぶ街道に沿ってにぎわった町は廃れてしまいました。
今も昔も各地に都市が点在することに変わりはありません。しかし、かつて旅人を温かく見守った街道の町は、高速交通の前に無力です。
そんな町を発掘したい。
ローカル線の旅をしよう。
ちょうど紅葉のシーズンです。雨が降る日を避け、それでいて紅葉の見頃も逃さないようにタイミングを計ります。
計画を温め続け、そして昨日。醒井の空気に触れてきました。
醒井までは、各駅停車の普通電車に揺られて向かいます。普通電車とはいえ、さすが東海道線。シートの座り心地はよく、列車の揺れも少なくて快適です。シートのクッションが弱く、リクライニングしない点を除けば、特急電車と遜色 (そんしょく) ありません。
区間ごとに乗り換えるのも普通電車の旅ならでは。先に入線した電車に乗り換え、シートに腰掛けて出発を待っていると、黒い革カバンを持った小柄な女性運転士が運転室に入りました。女性の車掌を見かけることも多くなりましたが、最近では女性運転士もいるようです。
電車は、車内アナウンスとともに、油が流れ出すように静かに発車しました。
やがて建物が密集する街に別れを告げ、貨物列車とすれ違いながら山の間をすり抜けていきます。山々には緑の木々あり、赤の木々あり、黄色の木々あり。ちょうどまだらに紅葉した時期です。この季節を錦秋と呼んだ古 (いにしえ) の感性に敬服。
電車はスピードを上げ、錦に染まる山あいの鉄路を快走します。雨で遅れた特急きのさきが地下鉄にも追い越されそうなノロノロ運転で走っていたのとは対照的です。
運転室のガラス窓から、ときおり指差し確認する白い手袋が見えます。
誠実な運転に安心して身を任せているうちに、電車は醒ヶ井の駅に滑り込みました。
醒ヶ井駅で乗降する人は他におらず、駅はごく静かです。ホームに立つと、まさに錦のように色とりどりの山が目に飛び込んできました。
あいにく空は薄曇りで真っ白ですが、雨は降っていません。一面乳白色のすりガラスに覆われたこの町には、どんな秋が訪ねてきているのでしょうか。
醒井の紅葉の目次
下の画像やテキストをクリックすると、該当する記事が表示されます。すべての記事を写真付きで書いているので、写真だけ拾い読みという楽しみ方もあり。
(1) 醒井の紅葉 |
(2) 醒井の清流 |
(3) 清水を彩る紅葉を求めて (この記事) |
(4) 清流にかかる紅葉 |
(5) 止まった秋の水車 |
(6) 錦包み |
(7) 加茂神社の秋 |
(8) 石と緑の重み |
(9) 秋から冬へ |
(10) 柿の実ずらり |
お土産レポート
(11) 醒井の醤油店 |
(12) 梅花藻入り名水そば |
(13) 鱒味噌 |
蔵出し企画: おもちゃ箱の奥 2005年11月23日の記事は → 「SRSをキャンセル」 【みぃのつぶやき】 SRSをキャンセルして1年。あれから何が変わったかと言えば、性別を意識しないで暮らすようになりました。意図的に性別を意識しないように意識している自分がいます。 ついでにもうひとつ。この記事は当ブログ800件目の記事です。 ヾ(≧∇≦)〃 めでたいっ! ずいぶん長く書き続けているものです。 ※ 過去の記事へのコメントも歓迎します。恐れ入りますが、コメントは該当する記事に書いてくださるようお願いします。過去の記事に関するコメントが今日の記事に書かれていると、他の読者が脈絡を理解できず、混乱してしまいますから。 |
醒ヶ井という駅は、いつも実家から戻るときに素通りでした。こんなに素敵な所だったんですね。
大切な人と一緒に訪れてみたいと思いました。