自給自足芋生活を目指して一昨年の夏から始めた畑仕事、主食としている芋は十分採れているが、生活は全然上手く行っていない。現金収入がほとんど無い。作物が思うように育ってくれない。「無施肥だから土壌ができあがるまではしょうがない」と思っていたのだが、最近になって「無施肥だけが理由ではない」と感じ始めている。
去年の春は草刈りや耕運、畝立てなどに忙しく、ほとんど気付かなかったのだが、今年の春、畑にはたくさんの種類のイチムシたちが無数にいるということが判った。
イチムシとは沖縄語で「けだもの、禽獣、畜生、虫けら」(沖縄語辞典)などといった意味。子供の頃に周りの大人たちがイチムシと言うのを聞いている私の感覚では、イチムン(=生き物、動物)とムシ(昆虫、クモなど)を合わせた言葉で、人間以外の動物全てを指している。ちなみに、「畜生」とは「禽獣・虫魚の総称」(広辞苑)のこと。
たくさんの種類のイチムシたちが無数にいる。無数の内のほとんどは昆虫である。5月18日付けの記事『蟲の季節』で「ヒメゴマフコヤガ、ツマグロキンバエ、キスジセアカカギバラバチ、マダラアシナガヤセバチ、キスジノミハムシ、ダイコンハムシ、ツツサルハムシ、ハイイロクチブトゾウムシ、アシビロヘリカメムシ、イワサキクサゼミ、ダンダラテントウ、ハイイロテントウ、ヒメナガメ、ウルマクロハムシダマシ、ゴマダラカミキリ、シオカラトンボ」など、6月5日付けの記事『農夫を虐める地球の仲間』で「セスジスズメ、コシロモンドクガ、シロオビアゲハ、コフキゾウムシ、タ イワンキドクガ、ミノムシ、ヒメナガメ、アフリカマイマイ、オキナワウスカワマイマイ、ウリハムシ」などが私の畑にいることを紹介しているが、私が知っている者だけでもまだまだいる。
知識をひけらかして、「勉強しているだろ」と威張っているみたいであるが、威張っているのだ。オッサンの自慢話はみっともないという認識はあるが、もう少し威張りたいので続ける。自慢話でしか他人と関われない、そんなオッサンに私もなりつつある。
ハチの類では上記の他に、私が確認でき ただけでもミツバチ、クマバチ、キアシナガバチ、チビアシナガバチ、コガタスズメバチ、キゴシジガバチ、クロアナバチ、オオフタオビドロバチ、新しく何者か判明したものではツチスガリ、フクダアリバチ、ゴキブリヤセバチなど、アブ、ハエの類も、それ以上にたくさんいる。まだ紹介していないものだけでもアオメアブ、クロオビハナバエ、センダングサミバエ、ツマグロキンバエなど。
チョウ、ガの類では・・・、甲虫の類では・・・、バッタの類では・・・、トンボの類では・・・、カメムシの類では・・・などと挙げると、ざっと70種以上はある。「どうだ、勉強しているだろ」と威張るのも疲れたので、2012年8月から始めた畑なっぴばるで「始めまして」となった虫、その中でも何者か判明した虫の名前だけを挙げると、バナナセセリ、モトキメンコガ、ツマキモンシロモドキ、バナナツヤオサゾウムシ、リュウキュウヒメハンミョウ、ヒラタヨツボシアトキリゴミムシ、ヒメカメノコテントウ、オキナワイモサルハムシ、ツツサルハムシ、ミイデラゴミムシ、ヒメマダラナガカメムシ、キシモフリクチブトカメムシ、クモヘリカメムシ、ミナミアオカメムシ、オオモンシロナガカメムシ、ミドリグンバイウンカなどなど、「どんなもんじゃい!雨の日に図書館通いをした成果じゃ!」と威張るのはこの辺でおしまい。じつは、写真は撮っているが何者か判明していない者は、まだこの数倍もあるのでそう威張れることでもないのだ。
昆虫以外では、ヤモリは1種しか確認していないが、カエルは3種見ている。ビーチャーがいて、野良猫が時にやってきて、野犬がまれに姿を見せる。たまにはマングースが畑を横切る。小さな沼があって、カエルがたくさんいてビーチャーもいるので、それらを好物としているハブもきっといる。地面の中にはミミズがわんさかいて、ブラーミニメクラヘビも時々見る。カタツムリは無数にいる。小さなウスカワマイマイはもう、その駆除を諦めているが、アフリカマイマイは見つけたら捕獲し、向かいの森に捨てている。捨てても捨てても毎日毎日5~6匹は捕獲してい る。向かいの森から道路を超えて旅して来るのか、地面から湧き出しているのか知らないが、毎日畑の中にいる。
その他、クモ類が多くいる。私が知っているだけでもアシダカグモ、チブサトゲグモ、ハエトリグモ数種、ジョロウグモ、ナガマルコガネグモ、知らない者はもっと多い。ヒルやナメクジ、ムカデもゲジもいる。ヤスデはもう無数にいる。
鳥も毎日数種やってくる。今年の春ごろまで畑の番鳥(番犬みたいな役)をしていたイソヒヨドリはいつのまにか姿を消したが、今は2羽の雀(たぶん夫婦)が小屋裏の林に 巣でも作っているのか、毎日姿を見せている。シロガシラが周囲にいて畑の野菜を狙っている。キジバトが数羽、畑の地面の上で何かを食べている。ヒヨドリはしばしば、シジュウカラは時々やってくる。冬場にはハクセキレイやキセキレイが畑を徘徊する。
目に見えない程の小さな虫もきっと多くいるに違いない。菌類もきっとわんさかいるに違いない。私の畑ナッピバルはきっと「イチムシたちの楽園」となっているに違いない。それはきっと、農薬(殺虫剤)を使っていないからだと思う。雑草が茂っていてイチムシたちが生きやすい環境になっているからだと思う。イチムシたちの中には農夫の味方をしてくれる者も少なからずいるが、畑の作物に被害を与える者がずっと多い。
今のところ私は被害を与える者たちのせいで痛い目にあっているが、それでも、農薬を使わないことを続けたいと思っている。「イチムシたちの楽園」はきっと自然の「こうありたい」と望む姿だと思う。そして、「こうありたい」がとことん進めば、いつか、作物が健康に育つ環境になるかもしれない。あるいは、「こうありたい」に対し、人間がほんの少し努力工夫すれば、人の望む環境が得られるかもしれない。これからの課題だ。
記:2014.6.29 ガジ丸 →沖縄の生活目次