ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ブラーミニメクラヘビ

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 潜りにくい土中で

 数年前、ミミズの多くいるアパートの畑で土を耕していると、体が光沢のある紫色で、細長いクネクネした生き物を発見した。長さはフトミミズくらいの長さだが、フトミミズよりずっと細い。クネクネした素早い動きから「ヘビだ」と直感した。
 その時、写真は撮れなかったのだが、脳裏に残った姿を図鑑で調べる。土中にいる小さなヘビというだけで、それがブラーミニメクラヘビであることが判った。しかし、それ以降、彼を見ることは無かった。元々数が少ないのか、あるいは、あまりに素早くて、目に入らないのであろうか。写真を撮れなかったのが悔やまれた。

  去年(2009年)11月、ミミズの少ない宜野湾の畑を耕していると、ブラーミニメクラヘビを発見した。「おー、久しぶり、数年ぶりじゃないか」と挨拶しながらいったん捕獲して、カメラを取ってきて、再び畑に放って、写真を撮る。宜野湾のブラーミニメクラヘビは少々ゆったりとしていた。写真もじっくり撮れた。
 何故、アパートの彼は素早く、宜野湾の彼は少々動きがのろかったかというと、私が考えるにおそらく、アパートの土は何度も耕しているので柔らかく、ヘビも潜りやすいのであろう、素早く動けるのだろう。宜野湾の畑は長く野原だったので土が硬く、ヘビも潜り難いのであろう。アパートの土と宜野湾の土、ミミズの数でもそう判断できる。

 
 ブラーミニメクラヘビ(ぶらーみに盲蛇)
 メクラヘビ科の爬虫類 琉球諸島、小笠原、ハワイ、他に分布 方言名:メクハブ
 広辞苑にメクラヘビの項があって、盲蛇と漢字があてられている。盲は「目は非常に小さく」から来ていると思われる。ブラーミニは資料が無く不明。ブラーミニという名前の人が学術的発見をして、その名にちなんだのか、あるいは、ブラーとミニに分かれ、ミニは小さいという意味のミニで、ブラーは人の名なのか?
 メクラヘビの項にブラーミニメクラヘビの説明もある。ブラーミニメクラヘビはメクラヘビの代表的な種なのかもしれない。メクラヘビは熱帯、亜熱帯地域に広く分布し、本種もまた、小笠原、南西諸島、アジア、アフリカなどの熱帯、亜熱帯域にいる。
 全長16~22センチととても小さなヘビ。ミミズであれば普通だが、ヘビとしては小さいという意味のミニであってもおかしくない。畑を耕しているとまれに出てくる。土を掘り返してミミズを1000匹位見たなら、1匹くらいは出てくるはず。ミミズで無いことは体が伸び縮みせず、クネクネと這うところから判る。見た目には判らないが、体は鱗で覆われているそうで、それがミミズで無くヘビであるという証拠だとのこと。
 全身同じ太さで、頭も尾も同じ形をしている。体は紫紅色に光って見える。概ね地中に住み、夜間、地上を這ったりする。シロアリを食べる。無毒のヘビ。

 記:ガジ丸 2010.11.20 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


セマルハコガメ

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 希少な天然記念物

 一昨年の秋(2005年11月)、八重山を旅した時に、西表島でセマルハコガメを見つけ、写真を撮った。セマルハコガメはそれ以前にも、沖縄島のヤンバル(山原、沖縄島北部の通称)にある沖縄島最高峰、与那覇岳を散策した時に見ている。元々生き物に興味がある方では無く、そして、その時はまだガジ丸HPを始める前だったので、そのカメを写真に撮ることはしなかった。が、西表島で見た時はすぐに写真を撮り、家に帰ってすぐに文献を読み、そして、下の説明文もその頃に書いている。

  セマルハコガメは国指定天然記念物となっている。沖縄にはもう一種、国指定天然記念物の陸ガメがいる。リュウキュウヤマガメという。これもヤンバルに生息する。
 ヤンバルへ行って、リュウキュウヤマガメの写真を撮って、セマルハコガメと一緒にホームページに載せようと考えて、既に写真を撮り、説明文も書いているセマルハコガメの紹介は延期していた。そして、2年が経った。この間、仕事などでヤンバルへ出かける機会は数回あったのだが、いずれも山を散策する時間は取れなかった。
 キャンプでヤンバルへ行ったならば、山を散策する余裕はある。リュウキュウヤマガメも探せるはずだ。ところが、この2年、キャンプへの誘いの声もかからない。
 10年ほど前までは年に2回程度、5年ほど前までは年に1回程度、私はヤンバルへキャンプに出かけていた。キャンプ仲間は男女合わせて10人から15、6人いた。その中から4組が結婚し、1組の内縁関係ができ、今も続いている。それが10年ほど前のことで、その後、まあ、当然の成り行きなのであろうが、キャンプの機会が減ったのだ。

 
 セマルハコガメ(背丸箱亀):爬虫類
 カメ科の爬虫類 石垣島、西表島、台湾、中国に分布 方言名:カーミー
 背中(甲羅)が丸いのでセマル(背丸)、身に危険が迫ると頭、尾、足を引っ込めて甲羅に蓋をし、箱状になることからハコガメ(箱亀)という名前。
 腹甲(甲羅の腹側)の上部(頭側)と下部(尾側)の一部が蝶番で繋がったドアのようになっていて、それが開いたり閉じたりする。上部のドアの中には頭と前足、下部には尾と後ろ足が収まる。腹甲が動くカメの仲間は世界に8種ほどいるらしい。
 陸ガメは世界的にも希少になっていて、保護の対象となっているらしい。セマルハコガメも絶滅が危惧される種とのこと。国指定天然記念物となっている。そんな希少なカメを発見し、写真が撮れたことは、とても幸運なことだったのかもしれない。
 文献に記載は無かったが、私が見た個体は、甲羅の長さが18センチ前後あった。
 
 2011年9月、西表島の観光施設で飼育されていたもの。

 記:ガジ丸 2007.12.10 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


ヌマガエル

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 親の感性子の感性

 従姉の孫が来年の4月には小学生となる。「おめぇ、ついこの間生まれたばかりじゃねぇか!」と、時の流れる速さに愕然とする。そういえば、テレビで活躍する歌手や俳優、タレントに平成生まれが出現するようになった。平成といえば、元首相で、今は亡き小渕さんが官房長官だった時に、平成と書いた紙をテレビカメラの前に出して、「新しい元号は平成です」と発表したのも、「ついこの間じゃねぇか」オジサンは感じている。

 従姉の孫、TSは今年6歳になるということだ。ということは、西暦で言えば21世紀に生まれた人類ということになる。21世紀の人類は、でも、20世紀の人類である我々と、見た目にはほとんど変わらない。顔は小さく手足は長いスマートな体型となり、大顔胴長短足の私とは違うだろうが、それは大きな違いでは無い。
 21世紀の人類はまた、感性においても20世紀の人類とそう変わらないようだ。TSは、20世紀の男の子たちの多くがそうであったように、生き物好きである。彼は今、カブトムシとクワガタムシとカナブン(おそらくツヤハナムグリ)を飼っている。ではあるが、彼が最も好きなのは昆虫では無く、カエルらしい。

 「カエルが大好き」と彼が言うのを聞いて、1日、時間を作って、一緒にオタマジャクシを獲りに行こうかと考えていた。が、その時間がなかなか作れない。そんな時、現場仕事で出かけた南城市の田舎町でヌマガエルを発見した。ヌマガエルは、水田が減ってその個体数も減ったとのこと、私の住む首里近辺ではあまり見ることが無い
  私は生き物の写真を多く撮っているが、それらを「掴まえて」写真に収めるということは滅多にやらない。自然の状態にいるのを、そっと近付いて撮っている。だが、ヌマガエルは私がそっと近付くのを許さなかった。しょうがなく掴まえる。
 掴まえたついでに、「そうだ、これをTSにプレゼントしよう。」と思った。が、すぐに思い直した。彼の母親が小動物を苦手としているのである。持って行ったら悲鳴を上げるに違いない。美人に嫌われたくないので、プレゼントすることは断念した。
 TSの母親はまた、聡明でもある。自分の大嫌いなカエルを息子が大好きであることは認めている。親の感性と子の感性は別物であることをきちんと認識しているのである。自分の感性と弟の感性が別物であると認識できない、私の姉とはエライ違いなのである。

 
 ヌマガエル(沼蛙)
 アカガエル科の両生類 本州以南、南西諸島、台湾などに分布 方言名:アタビチ
 沼に生息しているからヌマガエル(沼蛙)、という解りやすい名前。方言名はアタビチの他、アタビチャーとも言う。アタビチ、アタビチャーはカエル(中型)の総称であり、また、本種を指す。最も身近なカエルで、カエルといえば本種なのであろう。カエルを表現する方言は他に、ティンアタビー(ヒメアマガエル)、アタク(アオガエル)、ワクビチ(ヒキガエル、ガマガエル)などがある。オタマジャクシはアマナーと言う。
 体長は30~50ミリ。「八重山では8センチに達するものもある」と『沖縄大百科事典』にあった。水田、沼、池などに普通に見られる最も身近なカエルとのことだが、水田の少なくなった今日では、その数は減少しているとのこと。繁殖時期は4月から8月。

 記:ガジ丸 2007.10.16 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


ヒメアマガエル

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 痩せガエル、生き残れ

 先週(1月上旬)、カエルなどの両生類に寄生するカビが日本で発見されたというニュースをやっていた。そのカビは感染力が極めて強く、流出すれば、日本の両生類が絶滅する恐れもあるという。カエルがいなくなると、カエルを捕食するヘビや鳥などが困るらしい。その代わり、カエルに捕食されていた虫たちは助かるらしい。
  従姉の息子の女房であるMは賢い人(その上美人)なので、彼女と話をしていると私は気分が良い。であるが、残念ながら彼女と一緒に野山を散策し、そこに暮らす生き物たちを見つけ、それに喜びを感じるなんてことはできない。彼女はヘビやカエルが大嫌いなのである。カエルを絶滅させるカビが蔓延して、沖縄の自然からカエルが消えて、ヘビが少なくなると彼女は喜ぶであろうが、しかし、それでもなお、彼女は、私と一緒に自然の生き物たちを愛でるなんてことはやらない。彼女は虫の類もまた大嫌いなのである。カエルの消滅で虫の増えた野山なんてとんでもないのである。
 
 という私も実は、こうやって沖縄の生き物たちを紹介してはいるのだが、カエルやヘビや虫たちが好きというわけでは無い。しかし、好きでは無いが嫌いでも無い。少なくとも自然の中で生きている彼らを見ることは好きである。生命の尊さを感じる。
 そういう私なので、この世からカエルが消えてしまうのは残念なのである。太古の昔より、その遺伝子を連綿と続けてきたカエルさんたちなのである。同じく遺伝子を伝え続けてきた地球の仲間として、彼らの繁栄を願う。

 
 ヒメアマガエル(姫雨蛙) 
 ジムグリガエル科の両生類 喜界島、琉球列島、他に分布 方言名:ティンアタビー
 アマガエルはアマガエル科で、本種はジムグリガエル科となっている。見た目が似ているのかと思って両者を見比べてみたが、似ているのかどうか、カエルはカエルとしか見えない私には判定不能。ただ、本種もアマガエル同様、雨の日に鳴くらしい。そこからアマガエルという名があるかもしれない。体長25ミリほどと小さいのでヒメが付く。
 文献には体長22~32ミリとあり、私が見たものもそれくらい。その大きさ、沖縄に生息するカエルの中では最も小さな種とあった。
 森林や低地の草むらなどに生息する。職場の庭の一部は草むらになっていて、私はそこで発見した。「草陰や土の穴の中で鳴いていて、なかなか見つけにくい」とあったが、私は近い場所で2度見ている。ラッキーだったのかも。また、「跳躍力が強く、捕らえるのは難しい」とあったが、私はごく近づいて、接写することができた。私のことをヘビと勘違いして、睨まれたカエルみたいになっていたのかもしれない。
 産卵期は3月から7月。
 
 雄雌の違いはよく判らないが、私が見た限りでは雄がわずかに小さい。
 
 ヒメアマガエルの子
 姫雨蛙 ジムグリガエル科の両生類 方言名:アミナー(おたまじゃくし)
 職場の庭にいるオタマジャクシ、半透明なのでヒメアマガエルと判断。

 記:ガジ丸 2007.1.13 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行


オキナワトカゲ

2011年04月28日 | 動物:両性・爬虫類

 懐かしの名前

  イシガキトカゲを調べている時に、イシガキトカゲと同じような色模様(縦に白線が入って、尾の青い)をしていて、子供の頃何度もお目にかかっているトカゲが沖縄島近辺に住むオキナワトカゲであることが判った。そのオキナワトカゲ、もう長いこと見ていないので、私の住む首里近辺では絶滅したのであろうと思っていた。
 アパートの庭や畑では、茶一色のトカゲを何度か見ている。これがじつは、オキナワトカゲなのだということを今回知った。オキナワトカゲの、縦に白線が入って、尾の青い色模様は成長すると消えて、茶褐色になるらしいのである。なかなか用心深 い奴で、すぐに草むらに隠れてしまうから、写真を撮るのも容易では無かった。が、なんとか、私得意の殺気を消す術を用いて1枚は撮ってあったのだ。撮っておいて良かったのである。

 オキナワトカゲ、見た目は懐かしくも何とも無かったが、その方言名を見て、すごく懐かしい思いをした。アンダチャーは、子供の頃何度も耳にした名前であった。アンダチャー、ゥワートゥヤー、ジューミー、キチキチバッタなどと、たとえば同窓会などで口にしたら、少なくとも男子の多くは懐かしさを覚え、話が盛り上がるに違いない。

 
 オキナワトカゲ(沖縄蜥蜴) 
 トカゲ科の爬虫類 沖縄諸島に分布する 方言名:アンダチャー
 沖縄諸島とは沖縄島近辺の伊是名、伊平屋、慶良間諸島などの離島を含む。そこに分布するのでオキナワトカゲという名。イシガキトカゲ、オオシマトカゲと近縁。
 方言名は子供の頃よく耳にした懐かしい響きであるが、アンダチャーの意味は不明。アンダは油のことを指す。体に照りがあって油を塗ったようであるからアンダなのかと推理する。チャーは接尾語として何々達の達の意もあるが、茶の意もある。茶から茶色いものを指すこともある。油を塗ったように照りがあって茶色いものということかも。
 幼児期はイシガキトカゲに似て、尾の部分が青く、縦に白線が入るが、成長するにつれてそれらの模様は消え、背面は褐色となる。
 体長19センチ。沖縄島の、野にも山にも里にも普通に見られるトカゲ。
 
 子供の間は体に模様がある。尾の部分が青く、縦に白線が入る。

 記:ガジ丸 2005.12.16 →沖縄の動物目次
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行