潜りにくい土中で
数年前、ミミズの多くいるアパートの畑で土を耕していると、体が光沢のある紫色で、細長いクネクネした生き物を発見した。長さはフトミミズくらいの長さだが、フトミミズよりずっと細い。クネクネした素早い動きから「ヘビだ」と直感した。
その時、写真は撮れなかったのだが、脳裏に残った姿を図鑑で調べる。土中にいる小さなヘビというだけで、それがブラーミニメクラヘビであることが判った。しかし、それ以降、彼を見ることは無かった。元々数が少ないのか、あるいは、あまりに素早くて、目に入らないのであろうか。写真を撮れなかったのが悔やまれた。
去年(2009年)11月、ミミズの少ない宜野湾の畑を耕していると、ブラーミニメクラヘビを発見した。「おー、久しぶり、数年ぶりじゃないか」と挨拶しながらいったん捕獲して、カメラを取ってきて、再び畑に放って、写真を撮る。宜野湾のブラーミニメクラヘビは少々ゆったりとしていた。写真もじっくり撮れた。
何故、アパートの彼は素早く、宜野湾の彼は少々動きがのろかったかというと、私が考えるにおそらく、アパートの土は何度も耕しているので柔らかく、ヘビも潜りやすいのであろう、素早く動けるのだろう。宜野湾の畑は長く野原だったので土が硬く、ヘビも潜り難いのであろう。アパートの土と宜野湾の土、ミミズの数でもそう判断できる。
ブラーミニメクラヘビ(ぶらーみに盲蛇)
メクラヘビ科の爬虫類 琉球諸島、小笠原、ハワイ、他に分布 方言名:メクハブ
広辞苑にメクラヘビの項があって、盲蛇と漢字があてられている。盲は「目は非常に小さく」から来ていると思われる。ブラーミニは資料が無く不明。ブラーミニという名前の人が学術的発見をして、その名にちなんだのか、あるいは、ブラーとミニに分かれ、ミニは小さいという意味のミニで、ブラーは人の名なのか?
メクラヘビの項にブラーミニメクラヘビの説明もある。ブラーミニメクラヘビはメクラヘビの代表的な種なのかもしれない。メクラヘビは熱帯、亜熱帯地域に広く分布し、本種もまた、小笠原、南西諸島、アジア、アフリカなどの熱帯、亜熱帯域にいる。
全長16~22センチととても小さなヘビ。ミミズであれば普通だが、ヘビとしては小さいという意味のミニであってもおかしくない。畑を耕しているとまれに出てくる。土を掘り返してミミズを1000匹位見たなら、1匹くらいは出てくるはず。ミミズで無いことは体が伸び縮みせず、クネクネと這うところから判る。見た目には判らないが、体は鱗で覆われているそうで、それがミミズで無くヘビであるという証拠だとのこと。
全身同じ太さで、頭も尾も同じ形をしている。体は紫紅色に光って見える。概ね地中に住み、夜間、地上を這ったりする。シロアリを食べる。無毒のヘビ。
記:ガジ丸 2010.11.20 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行