ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

平和な音楽

2011年10月07日 | 通信-音楽・映画

 例えば、隣村と諍いがあり、戦争状態になったとする。二つの村は互いに激しく憎しみ合って、もはやルール無視の状態だったとする。ルール無視なので、飯食っている時、雲子している時も襲われる。二十四時間襲われる。眠ることもできない。
 そこで、もしも私がいずれかの村の有力者であったとしたら、
 「なぁ、夜10時から朝8時の間は互いに襲わないようにしようぜ。今のままだとお互いに睡眠不足で衰弱死してしまう。どうせ死ぬなら切られて死のうぜ。」と相手の村に提案する。ゆっくり眠りたいというのは相手も同じなので、話はきっと成立する。

 私も若い頃は、例えば恋に落ちた時などに「眠れない夜」なんてのがあったかもしれないが、もはや記憶にも無い。オジサンとなった今は、泡盛の3、4杯も飲めばすぐに眠れる。休肝日の火曜日水曜日になかなか寝付けないということがあったりするが、「眠れなければ眠らなければいいさ」と余裕があるので、そのうち眠っている。
 その余裕は、「今日眠れなければ明日に回せばいいさ」といった余裕。夜襲ってくる敵がいないのでそういった余裕も生まれる。日本が平和であるというお陰である。日本の社会と政治に感謝せねばなるまい。「ぐっすり睡眠」ほどの幸せは他に無い。

 「ぐっすり」まではいかなくとも、昼間の「まどろむ」や「うとうとする」も大変気持の良いものだ。私には昼寝の習慣は無いが、昼飯食った後、午後1時半から2時頃になると、職場でパソコンを操作しながら気絶している時がある。仕事中なので寝てはいけないと思いつつ強烈な睡魔に襲われて、抵抗むなしくたいていは負けているのだ。
 ただ、その時の眠りはあまり気持ち良いものでは無い。罪悪感があるし、睡魔に抵抗している間の気分が良くない。昼間たっぷり肉体労働をして、たくさん汗をかいて、シャワーを浴びて、ビールを口の前まで持って行って、それを我慢しているような気分。「仕事中に寝るとは何事だ!」と社長に怒鳴られ、「減給だ!」となる心配がなければ、横になって、30分でもいいからゆっくり眠りたい。枕を高くして眠りたい。

  コンサートやライブを聴きに行って「演奏中に眠るとは何事だ!」と怒鳴られることはたぶん無い。演奏中に大きな鼾をかいている人が後ろの席にいて、とても迷惑に感じたことはあるが、静かに寝ている分には演奏者からも周囲の観客からも怒鳴られることは無かろう。演奏中に鼾をかくほど深く眠った経験は、私には無い。深く眠った経験は無いが、まどろむことはたびたびある。その時のまどろみはとても気持ちいい。
 そんな「まどろみ」、最近のコンサートやライブでは3つある。数年前のEPOのコンサート、去年のアイヌフェスティバルでのアイヌ音楽、そして、先月(2011年9月)29日に行われた琉球筝曲の演奏会での琉球古典音楽。

 EPOもアイヌも琉球古典も音楽としてのジャンルはそれぞれ異なるが、その質は、私にとって同様のものであった。いずれも「まどろみ」音楽であった。とても心地の良い時間を頂いた。枕を高くして体を弛緩させることのできた時間、平和で無ければ味わえない時間だ。したがって、「まどろみ」音楽は「平和な音楽」だと言えよう。
          

 記:2011.10.7 島乃ガジ丸


ウマ

2011年10月07日 | 動物:哺乳類

 馬糞の島

 子供の頃、今(2011年)から45年ほども前、馬を見る機会は多かった。馬車をよく見た。リヤカーみたいなのを曳いている馬車、家々を回って肥を集めたり、残飯を集めたりしている馬車をよく見た。そういったものは頻繁に見たので、その頃は那覇でも馬が多くいたに違いない。道に馬糞が落ちているのもよく目撃した。
 その頃、馬の小便する光景も見たことがある。消防車のホースが勢いよく水を放出するかのような激しい勢いの放尿であった。・・・ホースだけに・・・。

 大人になってからは馬を見なくなった。一番最後に馬を見たのはいつ頃だっただろうかと記憶を辿っても、はっきりと思い出せない。中城公園で馬を見たのは高校生の頃だ。トラックで競争馬が運ばれるのを見たのは大学生の頃だ。ひょっとしたらそれ以来見たことがないかもしれない。10年ほど前だったか、宜野湾のmy畑の近くでリヤカーを曳く馬車を見たような気がするが、リヤカーを曳いていたのは牛だったかもしれない。そもそも、見たような気がしたのは夢の中の話だったかもしれない。

  先月(9月)中旬、与那国へ旅をした。与那国馬と最西端を見るという目的があった。与那国空港で、「与那国馬を見たいのですが、どこへ行けばいいですか?」と観光案内に訊いた。生息数が少ないと聞いていたので、限られた場所にしかいないのだろうと思ったからだ。しかし、観光案内の人は笑いながら答えた。「この辺りとこの辺りとこの辺りに行けば、いくらでも見ることができますよ」と地図の中の何箇所かを指した。
 「いくらでも見ることができますよ」は本当だった。彼らは集落から離れた原っぱへ行くといくらでもいた。あちらこちらで数頭が群れているのを見た。
 馬は予想以上に多くいたが、馬の数よりももっとずっと多く目撃したものがあった。道端に、アスファルトの道路上に、観光地へ向かう園路沿い、その傍の駐車場、芝生の貼られた広場などにそれは無数に落ちていた。与那国島は馬糞の島だった。

 ウマ(馬):ウマ目の野生、または家畜
 ウマ科の哺乳類 原産はアジア・ヨーロッパ 方言名:ンマ
 名前の由来については広辞苑に(「馬」の字音マによる語という)とあった。与那国馬は与那国島在来の馬なのでヨナグニとつく。
 日本在来の馬は8種いるとのことだが、沖縄にはヨナグニウマの他、宮古島にミヤコウマが生息し、ミヤコウマは沖縄県天然記念物で、ヨナグニウマは与那国町天然記念物となっている。両者に県と町との違いがあるのは生息数によるものと思われる。ミヤコウマは2009年4月現在で33頭(ウィキペディアによる)いて、ヨナグニウマは2011年8月現在で約60頭(ヨナグニウマふれあい広場による)とのこと。
 ウィキペディアの情報によると、ヨナグニウマは近年100~120頭に回復したとあったが、激減しているようだ。逆にミヤコウマは少し増えている。
 ヨナグニウマもミヤコウマも馬としては小型で、体高は110~120センチ。昔は農耕馬、運搬用、乗用として利用されていた。現在は主に観光資源となっている。
 
 ヨナグニウマ 
 与那国馬 ウマ目の哺乳類 方言名:ンマ ミヤコウマは宮古島に生息し沖縄県天然記念物。ヨナグニウマは与那国町天然記念物。
 
 ミヤコウマ
 宮古馬 ウマ目の哺乳類 方言名:ンマ ウマは人類の歴史上重要な家畜。乗用、農耕馬として役立ってきた。

 記:2011.10.6 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行