弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

ウィキリークス、アサンジ氏の移送裁判(その1)

2011年02月09日 | 政治、経済、社会問題

法律家として、イギリスの裁判所がどのような判断をするのか、
それ以前に、検察側(スウェーデン)、弁護側がどのような法廷活動をするのか
とても関心があります。

できることなら傍聴したいほどですが、イギリスまで飛んでいくことはできません。
ですが、今はインターネットの時代です。
パソコンを通して多くのことがわかります。
もともと、傍聴したって、ほとんどわからないので、じっくりと検討できる、こちらの方が
いいかもしれません。

アサンジの移送要求は、もちろん、同氏がスウェーデン旅行中に起こしたというレイプなどの
性犯罪が容疑ですが、今回の根拠となっている逮捕状は、スウェーデンの発行したものではなく、EU発行のものということです。
9・11事件の後、テロのような事件に迅速に対処できるよう、要件を大幅に緩和してある
ということです。
ところが、テロのような国際的な事件ではなく、通常の刑事事件に利用されるようになり、
あまり人権に熱心でない国の要求で、この逮捕状に基づき引き渡しがしばしばなされ、
引き渡しを受けた国で、重罰が課されるなど、問題視されるようになっていたようです。

アサンジ氏の場合も、スウェーデンでは逮捕状は出されていないということです。
ですから、争点の一つは、起訴手続きをするための引き渡しではなく、
ただ取り調べをするためのだけの引き渡し請求は認められるかというものです。
これに関しては、だから、スウェーデンに行かなくても、イギリス国内で、ビデオリンクとか
電話、イーメールなどの方法で可能であるなどが主張されています。

どうやらスウェーデンでは広く性犯罪が認められるようで、イギリスでは犯罪とならない
もののあるようです。

しかし、移送に詳しい法律家の意見では、通常、こういう主張は認められないということです。当然、アサンジ氏の弁護側も承知しているはずですが、あえてそのような主張をする
のは、EU逮捕状に基づく引き渡しが、拷問や重罰などの人権侵害問題を起こしており、
制度の欠陥に気づきはじめているからで、アサンジ氏の今回の裁判は、改めて、そのことに
スポットライトをあてることになったようです。

したがって、弁護側は、スウェーデンに引き渡された場合には、公正な取り調べや裁判がうけられないということを、主張しています。

その立証をどうするのか、法律家としては、とても関心があります。
特に、スウェーデンに引き渡されると、結局はそこからスパイ法違反でアメリカに引き渡され
死刑になってしまう、つまりには命の危険がるという主張については、
どのように立証するのか、それがどう判断されるのか
とても興味があります。

 


稲盛氏、民主党に失望

2011年02月09日 | 政治、経済、社会問題

稲盛氏は経営者としては特異な存在です。

潔い人生哲学をお持ちで、それを実践して、今の京セラをつくったと
いうことでした。
そういう稲盛氏を慕って、若い実業家は競って稲盛塾に参加し、
同氏の薫陶を受けようとしていたようです。

私はそういう稲盛氏に関心があって、いくつかの著書を読んだり、
その哲学にならって人生の生き方を模索し、自分なりに実践してきた、
しようとしていました。

そういう考え方から、稲盛氏は、政治にも関心があり、最近は民主党の小沢氏に
大変肩入れしていたということでした。
私も一時期小沢氏に心酔していた時がありました。
しかし、あるときから、小沢氏は政治家というよりは選挙請負人のような感じがし、
失望するようになり、政治に対する関心も薄れていました。

ですから、稲盛氏が民主党の強い要望で、JAL会長を引き受けた時には
意外でした。
稲盛氏ほどの人が、今の民主党や小沢氏を支持していることを理解できなかったからです。

昨日、「今の民主党のていたらくに失望」と公に表明したことに、
やっぱりと、ほっとしました。
あまりにもひど過ぎますから・・・

数さえあればと、数だけを、つまり頭だけを揃えればいいという、やり方で、
信念を持つ人という質をまったく無視したやり方が
今の日本の混迷を招いてしまったのです。

遠くエジプトでは、民主化を求めてデモが続いています。
ひょっとして、今の日本はそのエジプトより、もっと惨めな状況かも
などと感じています。