もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

プーチン大統領に逮捕状

2023年03月19日 | 報道

 国際刑事裁判所(ICC)が、プーチン大統領に対する逮捕状を発行した。

 逮捕状容疑はウクライナからの子供連れ去りを始めとする「戦争犯罪」とされている。
 現在ICCに加盟しているのは123か国でロシア、アメリカ、中国、インド、イスラエルなどは加盟していないので逮捕・裁判は現実的には不可能であろうが、国家元首に対する史上3人目の逮捕状発行の意味は大きい様に思うとともに、ウクライナ事変が終結した後もICCの逮捕状は有効であるために、事変後のプーチン外交にも少なからぬ影響が出てくるように思える。
 コロナ禍はリモートでの首脳会談を普通のこととしてしまったので、事変後にあってもプーチン氏がICC加盟国を訪問して対面形式の首脳会談を行う必要性は少なくなったとはいえ、国際舞台でのパフォーマンスを制約されることはロシアにとって少なからぬ痛手となるだろう。
 国家元首に対するICCの逮捕状発行の先例2人は、リビアのカダフィ大佐、スーダンのバシル大統領であるが、いずれも逮捕・裁判はできなかった。
 ICCの逮捕状発行は、ウクライナ事変はプーチン氏の悪行とするのが世界的な評価と示したに等しいと考えるべきであろうが、日本のネット上には《ウクライナ事変はアメリカを始めとする西側世界が原因》とする意見も少なくないことをかねがね不審に思っていたが、
 本日の産経新聞の「新聞に喝」で麗澤大客員教授の飯山陽氏が、朝日新聞2月24日の社説で、《(事変の遠因は)世界がクリミア併合に目をつぶったことや、日本が北方領土返還のために経済協力を続けたことにあり、”冷戦勝利に浮かれた西側の傲慢にロシアが反発したため”》と断じ、紙背に《プーチンに戦争させたのは西側》を隠しつつも《被害者はロシア》とする論調を掲げていることを知って、ウクライナ事変でロシアに一定以上の理解を示す日本のネット諸氏の主張は、単なる朝日新聞の引き写し・誘導であるのかと納得できた。

 朝日新聞の社説を読み替えれば、大東亜戦争の原因は「ABCD包囲網で日本を封じようと欧米諸国の傲慢に日本が反発した」ことに依っており責任は連合国が負うべきとすると同義で、それはそれで東京裁判を無効と考える自分の考えとは同じであるものの、大東亜戦争での祖国日本を断罪する一方でウクライナ事変でのロシア擁護を主張する報道姿勢には些かの疑問を持つところである。


総理補佐官の更迭に思う

2023年02月07日 | 報道

 2月4日に、総理秘書官の荒井勝喜氏が性的少数者に対する差別発言で更迭された件に関して、今様に馴染まない時代遅れの所感を披瀝することとした。

 1は、「オフレコ」でなされた総理補佐官の発言が、報道されたことである。伝えられるところでは、毎日新聞が「オフレコ」の内容を実名で報道することを荒井氏に通告したうえで掲載したとされているが、荒井氏の同意があったとは思えない。オフレコは、話者・聞き手の双方が「記事にしない」と同意・誓約したもので、一方的に誓約を破るのは「ヒト」としての価値・尊厳を否定するに等しいものと思う。毎日新聞を始めとして多くの識者も一様に、社会正義が行われたとして発言者を糾弾するが、毎日新聞の誓約破りの是非に関しては全く触れないので自分の認識が誤っているのだろうが釈然としない。日本社会は、列国に比べて構成員相互の信頼関係を重視する比率が高いと思っているので、毎日新聞の「誓約破り」は日本文化の根底・美風を揺るがしかねないものではないだろうか。さらに、「荒井氏の発言=内閣の姿勢」と社説に書いた新聞も多いが、彼らの常套句が「多様な意見の尊重」であることを思えば、荒井氏の発言を内閣意思の代弁とするのは聊かに無理筋に思える。歴史上でも、信念を貫き通した人に比べて、自分の信念とは異なる公に尽くした人の方が圧倒的に多いことを考えれば、荒井氏もLGBT法整備に努力したのではと思っている。
 2は、荒井氏の発言は、少数かも知れないが国民感情を代弁していると思っている。日本の文化では、LGBTは他人の目をはばかるもので公然・法的には認知しないものの、そのことだけでは迫害・排除しない寛容性を持っていると思っている。一方、キリスト・イスラム教世界におけるLGBTは、古くは宗教裁判の対象であり、近代でもそのことだけで公職を追われた著名人も多い。荒井氏を糾弾する意見の一つに、G7の中で日本以外の6カ国が、法的な同性婚や差別からの法的保護が認めていることを引き合いにして「日本は後れている」というものがあるが、不十分ではあろうがLGBTを目の敵とはしなかった日本文化の特質を理解していない意見であるように思える。

 最後に、荒井氏の発言を完全否定する方々に伺いたい。
 ある日突然に自分の子供から「LGBT」であると打ち明けられた場合、周章狼狽することなく直ちに満腔で容認する人は如何ほど居るだろうか。多分、些かの翻意なり説得を試みた後に、"仕方ない"と諦め・認める人の方が圧倒的に多いような気がする。
 個人的感情とLGBT保護は別と言われればそれまでであるが、それならば荒井氏の職責と主張が乖離していることと同じように思える。
 古人も《我が身を抓って、人の痛さを知れ》と諭している。


ダイアナ妃と朝毎報道

2021年05月22日 | 報道

 1995年にBBCが放映したダイアナ妃のインタビューにおける不正取材の顛末が報じられた。

 放映された内容は隠された真実であったが、取材交渉の過程でBBC記者が偽造した銀行明細書によってダイアナ妃周辺を信用させたものである。当初BBCは内部調査によって不正は無かったとしていたが、昨年になって篭絡されたダイアナ妃の弟(スペンサー伯爵)からの告発を受けて「真の第三者」による調査で取材交渉は不正と結論され、BBCは「全面的に、無条件で謝罪する」事態となった。
 秘密警察や密告制度で「有無を言わさず」「罪状の開示もしない」強権国家を除いて、日本を含む民主国家では不正な手段で採取された証拠や脅迫による証言は法廷に於いて効力を持たないとされていることを考えれば、BBCの報道は法的には真実であってもフェイクと扱われるのかも知れない。
 今回の一連を考えると、取材手段についての正邪判断基準が「BBCの内部調査」と「真の第三者調査」で異なることが重要であると思う。閑話休題。
 取材手段に対する報道機関と良識の乖離について些かの小物感は拭えないが、自衛隊の大規模接種予約が偽の接種番号でも可能であることを、朝・毎新聞社が実証的に行ったことに対して防衛大臣が不快感を表明したことにも見て取れる。
 自衛隊が行う大規模接種予約システムについては、当初から自治体の住民管理システムとリンクされていないために偽番号が通用することは予め指摘されていたもので、実証しなくても周辺取材で明らかにできるものであった。自衛隊予約システムが自治体とリンクしていないことについては、システム構築の技術的・時間的な制約よりも「一時的であっても自衛隊が個人情報にアクセス(共有)することに対する朝野の反対・忌避感の回避を優先」した結果であると思う。もし、自衛隊と自治体がリンクしたシステムを構築した場合の反応は「マイナンバーを徴兵法と呼んだ勢力がいた」ことを思えば、現状の比ではないだろう。それとも、時代の進展とコロナ対応の前には「徴兵法の急先鋒」であった朝・毎新聞社はマイ・ナンバー制度に対する姿勢を転換させたのだろうか。さらには、立民の安住淳国対委員長は「防衛相もシステムの不備を明らかにしてもらったと感謝すべき」と新聞社の違法取材(威力業務妨害罪)を擁護しているが《全ての反日行動は手段を問わずに許される》とする韓国世情を彷彿されるもので、法治国選良としての品性を著しく欠くものと思える。

 ダイアナ妃の取材に不正があったと結論した「真の第三者」と完全謝罪した「BBCトップ」についても英断を評価するものである。日本では、朝日新聞の慰安婦報道や日大ラグビー部問題を始めとする第三者委員会、自治体の100条委員会ではトップに弁護士を置くことが一般的であるが、選任された弁護士の多くが調査される側と何らかの利害を共有するとの疑惑が取り沙汰されることも一般的である。そのためもあってか、疑惑の解明や是正も徹底を欠き、朝日新聞は以前のままに「教科書検定での連行・強制」を主張し続け、日大ラグビー部監督は何食わぬ体で復権している。
 朝・毎新聞は、今回のダイアナ妃に関する一連をどのように報じたのであろうか。よもや「編集の自由」や「報道しない自由」で没にしているとは思いたくないが。


ツイッターって何?

2021年01月13日 | 報道

 Twitter社がトランプ大統領のアカウントを永久凍結した。

 凍結の理由は、トランプ氏のツイートが議事堂襲撃の引き金になったとするものであるが、凍結自体が国内外で大きな波紋を呼んでいる。
 Twitter社の主張の根拠は、アメリカの通信品位法が「不適切な投稿を掲載したり削除しても法的責任を問われない」と定めていることからトランプ氏のツイートを不適切と判断したものであるらしい。このTwitter社の対応に呼応するかのように、アマゾン・コム社が、極右支持者に人気の新興交流サイへのサービス提供を打ち切る等、電脳情報社会における反バイデン封じ込めとも取れる動きに発展している。
 しかしながら、Twitter社が大統領選挙期間中にトランプ氏の民主党批判ツイートに警告表示を表示させる一方で、バイデン候補支援のトランプ氏ネガティブツイートは野放しにするというあからさまな選挙干渉とも取れる行動を採ったことは余りにも有名であるために、共和党支持者から反発されるとともに法曹界からも「IT大手の検閲は表現の自由の侵害」という意見も出されていた。海外からもドイツのメルケル首相をはじめとする指導者層から「情報業界の規制は、業界の寡占企業が自分で行うべきではなく法に沿って行うべき」との意見が相次いでいる。
 IT音痴の自分が疑問に思うのは、Twitter社を始めとするSNS運営企業は、「誰が」「どのような基準で」情報の真贋・適否を審査・判断しているのだろうかという点である。「特定のワード」を使用したコメントに対して機械的に警告表示を付けることは容易であろうが、今回の大統領選を見る限りでは「特定のワード」の選択自体が恣意的な方向性を以て行われたように感じられる。更にトランプ氏個人のアカウント凍結は何らかの意図なくしては絶対に起こり得ないものに感じられるので、両者に「アンティファ」の蠢動を観るのは、穿ち過ぎであろうか。
 雑多で膨大な情報から特定の情報を抽出することは人間では行えないためにAIが行うのであろうが、AIは純真無垢の0歳児の状態から学習を始めるのではなく、デザインした人の思考・方向性を起点として学習を始めるために、民主党支持AIはどこまでも民主党AIであり続け、中國共産党AIはますます共産党絶対同志に成長するのではないだろうか。

 既に日本でも、ヘイトスピーチ対策法に抵触するとして韓国研究者のアカウントが停止される一方で、悪質な個人攻撃に対してアカウント停止の要求はおろかアカウント情報の開示すら拒否されるという偏りが報じられている。情報社会の急激な変革に法の整備や規制の体制が追い付かないために、情報の取捨・選択をSNS業者の自主規制に依存しなければならなかった弊害が、アメリカ議会襲撃によって露わとなったように思える。中朝は電脳界を国が取り仕切り、自由社会では寡占の大企業が恣意的に取り仕切る、両者の弊害を見る限り将来の情報社会は「口コミ」が唯一信頼できるという先祖返りの様相を呈するかもしれないが、電報遊びを考えれば「それも危ない」なァ」。


記者の耳目硬直

2020年08月17日 | 報道

 終戦の日の恒例である閣僚等の靖国神社参拝騒動が終わった。

 今年の参拝者は、閣僚4名(小泉環境相、高市総務相、荻生田文科相、衛藤北方相)、国会議員では自民党の「伝統と創造の会(稲田会長)」11名、「保守団結の会(高島代表)」17名、岸信夫議員(安倍首相の実弟:超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」メンバー)と報じられている。更に取材について報じられている限りでは、流石に「公人か私人か?」という質問は無かったようであるが、先の河野防衛相会見における東京新聞記者同様に、中・韓の反応を質す記者がいたとされている。参拝した閣僚のうち小泉環境相は「令和の時代は閣僚の参拝がニュースにならない時代にしなければならない」、衛藤北方相は「そういう質問の方が異常」とそれぞれ述べている。総理・閣僚等の靖国神社参拝に中韓が反意を露わにし始めたのは、1979(昭和54)年の朝日新聞「A級戦犯合祀報道」が契機とされているが、報道は戦勝国の政治ショーである東京裁判を金科玉条とした自虐史観そのもので、現在に至るまで尾を引く利敵行為であったように思う。戦後75年、一代25年と考えれば既に現在は戦後の第3世代が日本を動かしているとも考えられるし、長寿・高齢化ということを考慮しても第2世代が日本を担っていると思う。東京裁判で唯一被告全員の無罪を主張したインド人のパール判事は「時が、熱狂と偏見を和らげた暁には、また理性が虚偽からその仮面を剥ぎとった暁には、正義の女神はその秤を平衡に保ちながら、過去の賞罰の多くにその所を変えることを要求するであろう」と述べ、日本人が東京裁判の誤りを正し被告人の罪科を再検証することを期待している。また、同裁判で弘田弘毅元首相をはじめとする政治家・外交官の無罪を主張したオランダ人のレーリンク判事も、時を経て判決が日本人によって検証されることを期待している。残念ながら3世代75年を経た今でも、大多数の日本人とりわけ報道・言論界のの思考は停止したままで、東京裁判の是非を問えば右翼呼ばわりされる世相が一向に改善されない日本の現状は「東京裁判信奉の全体主義国家」でさえあるように思える。そもそも、A級戦犯とは東京裁判の検事団が訴因を区分した(A)平和に対する罪、(B)通常の戦争犯罪、(C)人道上の残虐行為、に基づいてA項で訴追された28名を指しているが、判決を見ればA項の「平和に対する罪」で有罪となった人は少数で多くはBCの罪科で有罪とされ、東条英機氏ですらB項で有罪とされているので、例えは不適当であるが東条氏をA級戦犯と呼ぶことは詐欺罪で有罪とされた人物を殺人犯と呼ぶことに他ならない。

 ニューディール政策を堅持して戦争に介入をしないことを公約として当選したフランクリン・ルーズベルト大統領が、「あらゆる手段を駆使して日本の敵意を煽り、枢軸側へ追いやった」ことや「真珠湾攻撃の報に執務室で小躍りした」ことは、公文書の公開等で明らかにされており、大東亜戦争が日本の自衛のための戦争であったことはアメリカを含む西側諸国で、ほぼ定説となりつつある。大東亜戦争を侵略戦争と定義するのは日本と韓国中国くらいであり、実際の戦場となった東南アジアでも西欧の軛を解き放った東洋解放戦争とする意見が大勢を占めるように変化したと報じられることも多い。東京裁判の過誤を100年近く検証できない日本の硬直・思考停止から抜け出せる終戦の日であって欲しいものである。

 ちなみに、アメリカ空母「セオドア・ルーズベルト」は海軍兵力整備に功績を挙げた第25代アメリカ大統領に因んでおり、対日戦を作為・決意した大統領ではない。