女子サッカーW杯で、撫子ジャパンが予選リーグを首位通過した。
開幕直前まで同大会はテレビ放映されないとされていたが、直前になってNHKが放映することとなった。女子W杯がテレビ放映されないのは、女子サッカー人気が低迷していること以上に、放映権料の高騰が主な理由であるらしい。しからば放映権料は如何ほどかと調べると、確かな金額は非公開であるが、情報雀の記事を斜め読みした限りでは「男子カタール大会は約350億円で今回大会は約120億円」程度であるらしい。
120億円が高いか安いかは論が分かれるところで、NHKの放映にも賛否の意見が寄せられているとされる。賛否の内容まで分からないものの、反対意見を想像する限りでは「受信料の使途として不適切」的なものであろうが、NHKは「世界に注目されて、国民的に関心が高いスポーツを視聴者にお届けするのは公共メディアのひとつの役割」としている。
澤穂希選手は出場しているの?程度の興味・知識しかない自分には、賛否をとやかく言う資格は無いであろうが、ここはNHKの言い分に軍配を上げたい。
CM収入をベースにしている民法では、女子サッカーの人気低迷を考えれば120億円分のCMを負担してくれるスポンサーが期待できない以上、身銭を切ってまで放映することはできないだろうし、もし放映権を購入すれば経営者は株主から背任罪で訴えられる可能性も有る。
受信料収入を主要財源とするNHKは、スポンサーの顔色に忖度せずに事業を行える強みを持っているので、今回の放映も視聴を希望する人数の多少を問わずに決定できたのであろうし、極論するならば、もし視聴者の一人にでも好影響を与えることができたならば、放映は成功と評価しても良いのではないだろうか。
公営放送自体を疑問とする人、受信料の支払いに反対する人は少なからず存在する。かく言う自分も、「緑なき島」の制作や放映権売却、高校生の「模擬東京裁判」などに関するNHKの姿勢に対しては注文があるが、通信手段がネット中心になった今でも、全国津々浦々にまで張り巡らされた放送網は維持すべきであると思っている。
例えば、空襲警報等の一斉伝達には有効な手段であろうし、大東亜戦争においては軍の指揮通信が途絶して孤立した部隊が、玉音放送で終戦を知り戦闘行動を停止したケースもあるとされている。
NHKは、今回の女子サッカーW杯放映で見せた「公共放送の役割」という主張が、真の輝きを持つように制度改革に努めて欲しいものである。