もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

ヒグマ「OSO18」を知る

2022年09月24日 | 社会・政治問題

 北海道の標茶(しべちゃ)町で、「OSO18」とコードネームされたヒグマが跳梁を重ねていることを知った。

 被害は、令和元年7月以降、同町を含む周辺自治体併せて子牛65頭(被害額4000万円)に及んでいると伝えられている。
「OSO18」の特質は、川の中を歩いて匂いによる追跡を不可能にし、人目を避けるために道路を歩かず、罠を的確に回避し、驚かせるための音響装置などに惑わされず、と極めて狡知で、目撃されたのも令和5年の1回だけとされている。
 かって、熊は知能が低く芸も覚えないために、世界中で芸のできる熊を飼育するのはボリショイサーカスだけといわれ、同サーカスでもオートバイに乗る熊はライオン等の猛獣とは違って、演技中も口輪を嵌められていたように記憶しているが、「OSO18」の行動を見ると学習能力に秀でており、将に"熊中の熊"であるように思える。
 我々世代は、虫・鳥・獣について人間に益をもたらすものを「益(虫・鳥・獣)」、反対に害を為すものを「害(虫・鳥・獣)」との区分を教えられた。年を重ねて記憶も曖昧になった今では、雑穀を食べる雀は害鳥、稲に付く虫を食べる燕は益鳥、くらいしか覚えていないが、熊はどちらに分類されていたのだろうか。
 「OSO18」もいずれは駆除される運命と思うが、恒例の通り動物愛護・自然保護団体は「保護・共生」を役場に電話攻勢し、一方で地元猟友会の代表は「ここに住んでから云ってくれ。命がかかった問題なんだ」と、鳥獣被害顕在の度に繰り返される展開とも報じられている。

 自分は、極端な自然愛護家でもなく直接の被害者でもないが、牛喰い等により「獣倫に外れた」獣に対しては、駆除すべきと考える。
 ネアンデルタールは4万年前に、ホモサピエンスも3万年前に洞窟壁画を描いているが、モチーフがいずれも野生動物であることを思えば、狩猟・採集時代にあっては野生動物は全て食料(益獣)であったが、時代が進んで農耕で食料を手にする時代になると家畜化された動物は益獣、農耕に寄与しない動物は害獣として駆除の対象になったと思っている。
 更に時代が進んだ現代では、全ての生物は保護すべきで、人は動物の命を奪う権利は無いという基本的鳥獣権に近い主張が定着しつつあるが、ヒトの生存と文化を守るためには、鳥獣を一定数(山林等の自然環境下で採餌し人に害を与えない程度)に駆除しつつ共生することが必要があるように思う。
 現在「OSO18」は子牛喰いで食料を得ているが、頭の良い個体であるので「牛よりも人の方が狩るに容易い」ことを知って、人喰いに変身するのは時間の問題ではないだろうか。


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