11日投開票の参院選で、県選管は視覚障害を持っている有権者に、点字版や音声版の選挙公報を配布している。3年前の前回参院選から始め、視覚障害者に配慮した取り組みも定着してきた。しかし、投票所に持っていく入場券の点字版については未整備のまま。自宅に届いても、ほかの郵便物に紛れてしまうとの懸念の声も上がる。静岡選挙区には今回、全盲の候補者も出馬したが、投票の「バリアフリー化」は課題も残している。
静岡市清水区の宮原良明さん(64)宅に先月、参院選の投票所入場券が届いた。宮原さんは全盲なので、妻の恵子さん(62)が入場券が届いたと伝えた。
宮原さんは「もし1人暮らしだったら、入場券に点字がないため、ほかのはがきと見分けがつきにくい。入場券に示してある投票所も自分だけでは確認できない」と語る。
入場券は各市町ごとに発行している。点字版の作製について、県選管に尋ねたところ、「聞いたことがない」と話した。
県によると、有権者数は把握していないものの、3月末時点で県内の18歳以上の視覚障害者は8459人。このうち3~7%は点字を読めるとみられる。
県選管は前回の参院選から点字版の選挙公報を作ってきた。今回は各市町の求めに応じ1970部を用意した。点字を読めない視覚障害者向けのテープ版もまとめ、各市区町に3本ずつ配った。
静岡市は、このテープを240本にダビングし、点字版の選挙公報とともに対象者に送った。ただ、すべての対象者に届いているとは限らないようだ。これまでの郵送実績や要望が頼りだからだ。また選挙公報の点字版は選挙区、比例代表を合わせてB5判で約60ページと、かなりの大部。テープ版も、60~90分テープで3本になる。
自身も全盲で、県視覚障害支援センターに勤める土居由知さん(42)は「見える人にとってのポスターにあたるダイジェスト版があれば、選挙はもっと身近になるのですが」と話している。
毎日新聞 2010年7月7日 地方版
静岡市清水区の宮原良明さん(64)宅に先月、参院選の投票所入場券が届いた。宮原さんは全盲なので、妻の恵子さん(62)が入場券が届いたと伝えた。
宮原さんは「もし1人暮らしだったら、入場券に点字がないため、ほかのはがきと見分けがつきにくい。入場券に示してある投票所も自分だけでは確認できない」と語る。
入場券は各市町ごとに発行している。点字版の作製について、県選管に尋ねたところ、「聞いたことがない」と話した。
県によると、有権者数は把握していないものの、3月末時点で県内の18歳以上の視覚障害者は8459人。このうち3~7%は点字を読めるとみられる。
県選管は前回の参院選から点字版の選挙公報を作ってきた。今回は各市町の求めに応じ1970部を用意した。点字を読めない視覚障害者向けのテープ版もまとめ、各市区町に3本ずつ配った。
静岡市は、このテープを240本にダビングし、点字版の選挙公報とともに対象者に送った。ただ、すべての対象者に届いているとは限らないようだ。これまでの郵送実績や要望が頼りだからだ。また選挙公報の点字版は選挙区、比例代表を合わせてB5判で約60ページと、かなりの大部。テープ版も、60~90分テープで3本になる。
自身も全盲で、県視覚障害支援センターに勤める土居由知さん(42)は「見える人にとってのポスターにあたるダイジェスト版があれば、選挙はもっと身近になるのですが」と話している。
毎日新聞 2010年7月7日 地方版