ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

憲法を語ろう(2) 基本的人権

2017年05月05日 01時51分18秒 | 障害者の自立

概念拡大、時代に適応を  佐賀大教授 松下一世さん(61)

 日本国憲法は「法の下の平等」を定め、基本的人権を保障している。現実にはさまざまな中傷が繰り返され、障害者や性的少数者(LGBT)ら社会的弱者の人権がないがしろにされかねない状況もある。憲法の理念が人権にどう生かされ、何が課題として横たわっているのか。佐賀大学教育学部教授の松下一世さん(61)=人権教育学=に尋ねた。

 〈国は2014年1月に障害者権利条約を批准した。16年4月には障害者差別解消法が施行された。障害者の権利擁護の動きは進んでいるように見える〉

 「昨年はヘイトスピーチ対策法や差別解消推進法も成立し、ここ数年で人権法の整備が進んだことは評価できます。法の下の平等が法制定につながったことは事実だけど、憲法の存在だけでは不十分で、障害者権利条約や人種差別撤廃条約などの国際条約が推進力として欠かせなかった」

 「憲法が日本人の行動原理に浸透していない、と感じています。日本の憲法教育は基本的人権を学ぶというより、差別問題に力点を置いてきた。人権が著しく侵された被差別やハンセン病患者らに焦点を当て、学生は教えられた事実を道徳的に理解はしている。しかし、自らの人権と関連付けた学びが不十分なために、生活との接点が見いだせず、『自分とは関係ない』と捉えがちです」

 〈人権を守るための法整備が進む一方で、特定の人種や国籍、宗教などを対象にした排外的な言動が目立ってきている〉

 「政府の動きは鈍かったけれど、法律をてこに運動や要求を展開し、救済措置を願い出ることもできます。では、法整備を足がかりに、差別や偏見をどう解消すればいいのか。その鍵が憲法にある。憲法を知ることで他者の人権に敏感になり、おかしいと感じた時に声を上げる力にもなる」

 〈憲法は、教育分野の現状を見つめ直す鍵にもなると松下さんは考える〉

 「子どもの貧困問題は、教育の格差をもたらすほど根が深い。ここで憲法に立ち戻り、教育を受ける権利に着目して運動を展開することで、教育の公平性が担保され、貧困問題の改善にもつながっていく」

 「佐賀県内で当たり前と思っている校則でさえ、子どもの人権の観点から捉え直すと、見直すべき点が出てくるでしょう」

 〈改憲論議では、基本的人権の在り方が重要になると考えている〉

 「憲法という幹に、法律という枝が生えている。人は生活により近い枝に関心を持ちがちですが、幹との関係を知らなければ全体像は見えてこない。国民一人一人がこうした点を考えるために、教育やメディアが果たす役割は大きい」

 「憲法は何のためにあるのか、私たち自身が考えることから出発したいですね。その上で、基本的人権は国民が守るものではなく、国家が保障するものだという点を踏まえて論議を進めなければならない。人権の概念は発展、拡大していくものです。時代の変化に合わせ、新しい人権を憲法に盛り込んでいくことも重要だと考えます」

■まつした・かずよ 1956年、高知市生まれ。大阪教育大学大学院修了。小学校教諭を経て2007年、佐賀大学文化教育学部講師に。13年度から教授で、現在は教育学部所属。佐賀市。

 「憲法を知ることで、他者の人権に敏感になる」と話す佐賀大学教授の松下一世さん

2017年05月04日    佐賀新聞


泳ぎ高め合い東京パラ狙う 県内3選手、下諏訪のジュニア合宿参加

2017年05月05日 01時39分56秒 | 障害者の自立

 2020年の東京パラリンピック出場を目指す松本市などの男女3選手が3日、県水泳連盟諏訪地区連盟が諏訪郡下諏訪町で始めた3日間のジュニア強化合宿に初めて参加した。いずれも軽度の知的障害があり、県障がい者スポーツ協会の水泳クラブ「ウルトラ☆スターズ」に所属。地区連盟所属の高校生以下のジュニア選手と一緒に練習し、競技力を高める目的だ。

 3人は松本市の会社員小祝千果(こいわいちか)さん(19)、諏訪養護学校(諏訪郡富士見町)高等部2年で茅野市の前川直輝さん(16)、安曇野市の会社員、木下翔平さん(26)。小祝さん、前川さんは100メートル平泳ぎ、木下さんは50メートル自由形でパラ出場を目指す。ウルトラ☆スターズの他選手11人らと一緒に合宿に合流した。

 ウルトラ☆スターズヘッドコーチで、諏訪地区連盟理事でもある植松美千代さん(55)=諏訪市=によると、パラへの出場には国内最高峰の「ジャパンパラ大会」で上位入賞が必要。「東京パラの競泳は知的障害者が7人しか出られない狭き門」(植松さん)という。

 小祝さんは、昨年10月に岡山県であった大会でジャパンパラへの標準記録を突破。「もっとタイムを縮めないといけない。ジュニア選手の泳ぎを参考にしたい」。標準記録まであと1〜2秒の前川さん、木下さんも「突破に向けて頑張りたい」と話した。

 ウルトラ☆スターズの合宿参加は、植松さんが昨年11月に同僚の役員から「水泳への熱意は健常者も障害者も同じ」と誘われたのがきっかけ。6月に日本知的障害者選手権(横浜市)を控え、ジュニア選手の泳力に近いこともあり参加を決めた。

 小祝さんらと一緒に練習したジュニア選手の山岡羽菜さん(17)=東海大諏訪高校3年=は「目標をしっかり定めて頑張る姿が印象的。自分もインターハイ出場を目指したい」と刺激を受けていた。

植松さん(手前右)の説明を聞く前川さん(手前左)ら

信濃毎日新聞   (5月4日)


盲導犬入店拒否/思いやりのある共生社会に

2017年05月05日 01時34分53秒 | 障害者の自立

 

 全ての人が互いを思いやり、暮らしやすい社会をつくりたい。

 

 障害者への差別を禁じる障害者差別解消法が施行された昨年4月以降、盲導犬を連れた視覚障害者の6割が飲食店への入店を拒否されるなどの扱いを受けていた。盲導犬を育成するアイメイト協会が行った全国調査で分かった。

 

 県内でも昨年度、盲導犬利用者から同じような扱いを受けたという相談が、県と、一部の市町村に寄せられた。

 

 盲導犬は、目の見えない人や見えにくい人にとって、自立した生活や社会参加を支えるパートナーだ。盲導犬の役割に理解を深め、視覚障害者を取り巻く環境について一人一人が考えたい。

 

 障害者差別解消法では、盲導犬利用者に対し、飲食店が入店を拒否したり、タクシーが乗車を拒んだりすることは「不当な差別」になり原則できない。一方、障害者が困っていたら必要な工夫をして手助けすることを求めている。

 

 県は、盲導犬利用者への入店拒否などについて、事業所が差別解消法を従業員に浸透できていないことを要因に挙げる。事業者には、従業員の研修で同法の内容を説明するなど、その意義を実践できる店づくりを進めてもらいたい。

 

 事業者だけでなく、一般の人たちにも盲導犬への理解を広げていくことが大切だ。盲導犬はきちんと訓練や管理がされており、清潔で社会のマナーを守ることができる。多くの人が盲導犬のことを知り、社会の仲間として受け入れる意識を持ってほしい。

 

 配慮しなければならないのは、盲導犬を利用する視覚障害者に限らない。障害の有無にかかわらず社会に参加し、活躍できる環境を実現するためには、差別解消法の意義を広く浸透させる国、自治体の取り組みが欠かせない。

 

 盲導犬利用者から入店拒否の相談を受けたいわき市では今年、飲食団体の研修で差別解消法の周知徹底を求める考えだ。県によると、こうした取り組みは県内ではまだ少ない。事業者に直接周知する機会を設けることは効果的だ。県には団体の研修を活用するなどして県内全域での開催を求めたい。

 

 国は差別解消法に基づき、地域協議会の設置を各自治体に勧めている。地域協議会は、障害者の身近な相談窓口になり、行政と関係機関が連携し、さまざまな課題の解決に迅速に取り組む組織だ。

 

 しかし県内では、協議会の設置は7市町村(3月末現在)にとどまる。各市町村は設置を急ぎ、障害者の暮らしを支える地域ネットワークを充実させるべきだ。

2017年05月04日   47NEWS

 


公共施設のバリアフリー=岩下恭士(デジタルメディア局)

2017年05月05日 00時58分37秒 | 障害者の自立

先端技術、弱者支援に生かせ

 昨年末、私の住む東京都渋谷区内の区民プールでアップルウオッチの持ち込みを認めてくれるように長谷部健区長宛てに要望を出した。

  ジョギング時に消費カロリーや走った距離、心拍数などを計測できる腕時計型の活動量計が注目されている中、昨年秋に発売されたアップル社のスマートウオッチ「アップルウオッチ・シリーズ2」は、泳ぎながらでも使える耐水機能に加えて泳ぎのストローク数や泳いだ距離なども記録できる。そして画面の見えない私たち全盲者にとって一番重要なことは、アップル製品に標準搭載されている読み上げ機能「ボイスオーバー」が、表示された情報を音声で読み上げてくれることだ。

読み上げ機能に一律禁止の壁

 毎週末、自宅から歩いて10分で行ける代官山スポーツプラザの屋内プールで泳いでいる。50歳を超え、2年前の春に老化防止に目覚めて、子供の頃に得意だった水泳を始めることにした。プールには障害者にも使いやすいサブ更衣室があり、館内は段差のないバリアフリー構造。初めのうちはガイドヘルパーを頼んで同行してもらったが、仕事帰りなど時間が空いたときに1人で利用したくなった。

 都内の障害者専用プールには、北区の東京都障害者総合スポーツセンターと、国立市の東京都多摩障害者スポーツセンターがある。しかし、どちらも我が家から鉄道を使って小一時間かかる。代官山のプールでは当初、他の遊泳者との接触など私が利用することに不安があったようだが、券売機の利用を除けば(高齢者・障害者は無料だが発券は必要)、着替えもシャワーもすべて自力でできることが分かると、監視員たちはプールサイドからの誘導など協力的になった。プールサイドに「視覚障害者遊泳中」と書かれた看板も立ててくれた。

 だが、最大の悩みはプールの中で時間が分からないことだった。利用開始時には必ず監視員が「何時まで泳ぎますか?」などと確認して、終了時刻になると知らせてくれるのだが、練習の途中で自分が何往復したのか、時間はどのくらいかかっているのかなどが気になり始めた。

 そこで水の中でも時刻を読み上げる上に、泳ぎ方まで判別してストロークの回数まで記録できるスイムワークアウト機能が使えるこのアップルウオッチに飛びついた。ところが、時計をはめて、いざプールに入ろうとしたら突然、監視員から「腕時計は外してください」と言われた。初めて知ったのだが、日本の公共プールでは「腕時計・ピアス・ネックレス等のアクセサリー類の着用は禁止」というのが通例なのだそうだ。

 渋谷区スポーツ振興課に禁止の理由を聞くと、最大の問題は安全性の確保。もしも他の遊泳者に接触してけがをさせたり、プールサイドなどにぶつけて水中に割れたガラスを飛散させたりするような事態を懸念していた。

 同じ渋谷区内でも東京都スポーツ文化事業団が運営する東京体育館のプールでは、カメラ機能を内蔵した端末による盗撮防止の意味からも、一律に持ち込みを禁止しているということだった。

権利の訴えに区の対応変化

 そこで、再度私が訴えたのは「活動量の計測はともかく、利用者が現在時刻を確認できるのは基本的な権利」ということ。その結果、先月、以下のような回答を区長からいただいた。

 「岩下様が代官山スポーツプラザにお持ちになった『アップルウオッチ』は、盤面が露出しており、接触時にけがや破損の可能性があるということで、使用しないようお願いしたところです。しかし、昨今は水泳用の活動量計も多く市販されるようになってきており、これらの使用はトレーニング効果の判断に有効と考えられます。

 当区のプールでも、盤面にシリコーンやポリカーボネート類のカバーを付ける、また、活動量計を凹凸のないリストバンドで完全に覆う、など、事故のおそれがないと認められるものについては、試行的に使用可能としていくことで調整いたしましたので、施設にご相談くださいますようお願いいたします」

 その後、プール担当者から、アップルウオッチがすっぽり入る市販のウレタン製カバーを紹介してもらい、プール内での使用が許された。

 欧米ではリスクに対する自己責任という意識が強く、プールでの時計着用で規制されるケースは聞かない。日本では、万が一事故が起きれば施設管理者の責任が問われることが多い。しかし、GPS(全地球測位システム)を使って目的地まで誘導してくれるナビアプリとか、過疎地域に暮らす外出の難しい障害者や高齢者に必要な物を届けてくれるドローン(小型無人機)など、使い方によって弱者支援につながる先端技術も少なくない。イノベーションを喚起する意味からも技術の活用に目を向けてほしい。

 自治体として全国で初めてLGBTなど性的少数者の結婚を認めるなど、ダイバーシティー(多様性)の尊重を実践してきた渋谷区。今回の英断に敬意を表しつつ、全国への波及につながるよう期待したい。

ウレタン製カバーを装着したアップルウオッチ。まくり上げた部分を降ろすと、文字盤を覆うことができる

毎日新聞   2017年5月4日