視覚障害者のためのヨガが広がりを見せている。全盲や弱視の人にも楽しんでもらおうと、神戸市西区のインストラクター崎元宏美さん(39)らが今春から月1回、視覚障害者のためのヨガクラスを国立の神戸視力障害センター=同区曙町=で始めた。分かりやすい言葉でゆっくりと説明するなど工夫し、参加者からは「リラックスできる」と好評だ。6月は11日午後2時から開催する予定で、参加者を募っている。
崎元さんは大学時代、障害者のスポーツ参加を支援する財団法人の「障がい者スポーツ指導員」資格を取得。スポーツクラブ勤務などを経て2011年、同区を拠点にヨガを教えるようになった。14年には同センターの職員から、教養講座の一つとして指導を依頼されたという。
14~15年度は年数回、センターの利用者に指導し、昨年度からは月1回に増えた。「視覚障害がある人は疲れやすい、夜眠れないなどの悩みを抱えていることがあり、ヨガで心と体を緩めてほしい」と崎元さん。
障害者向けにポーズを変えるのではなく、世界共通のポーズができるよう、分かりやすい説明を心掛けている。そのため、アイマスクを付けた家族や友人を相手にポーズを教える練習を重ねたり、自身もアイマスクで過ごしたりした。
「これ、それ、あっち、こっちは言わない」「身体に触れるときは、先に名前を呼び、驚かせない」などといったことに注意しているほか、弱視の人に分かるようにコントラストがはっきりした服を着ているという。
約3年前、急に弱視になった女性(58)=同市垂水区=は、このセンターでヨガに出合った。「肩に力を入れ、不安を抱えながら生活しているが、ヨガをするとホッとできた。のびのびと体を動かすのが気持ちよく、こんな時間がほしかった」と話す。
視覚障害者向けのヨガは関東で先行しているというが、崎元さんは今年3月、知人とグループ「チャレンジド・ヨガ関西」を立ち上げ、月1回、センターの利用者以外も参加できるクラスをスタートさせた。「ゆっくり呼吸し、自分と向き合う。自分のペースで安全にできるヨガの良さをぜひ体験してほしい」と呼び掛けている。
参加費千円。申し込みは崎元さんTEL080・1460・4680
視覚障害がある女性にヨガを指導する崎元宏美さん(右)
2017/5/27 神戸新聞NEXT