厚生労働省は14日、雇用契約を結んで障害者の就労支援を行う「就労継続支援A型事業所」の約7割が、障害者による清掃作業やパンの製造といった生産活動収支だけでは最低賃金を支払えず、サービス事業所の指定基準に違反していることを発表した。職員の人件費などに充てる障害報酬(自立支援給付)から捻出して賃金を払うケースが多い。厚労省は事業所への指導を強化するよう自治体に呼び掛けている。
厚労省が2016年度の経営状況を17年12月までに把握した事業所3036カ所のうち、71%の2157カ所で賃金が生産活動収支を上回る。こうした事業所に厚労省は経営改善計画の提出を求めていたが、提出が済んでいるのは1769カ所だけだ。
計画提出を求められた2157カ所の内訳は、営利法人が1325カ所(61・4%)で最も多い。特に設立5年未満の事業所が目立つ。社会福祉法人は249カ所(11・5%)だった。
厚労省は同日、都道府県などの担当課長を集めた会議で「A型事業所が健全な運営となるよう指定権者として指導と支援という観点で取り組んでほしい」(宮嵜雅則・障害保健福祉部長)と要請した。
A型事業所をめぐっては、十分な生産活動を確保せず障害者の働く時間を抑え、障害報酬で賃金を補てんする不適切な事例がかねて問題視されていた。そこで厚労省は17年4月に指定基準を改正し、生産活動の収支の範囲で賃金を支払うことを規定した。
しかし、最低賃金を支払えるだけの生産活動を確保するのは容易ではなく、事業所の閉鎖、障害者の大量解雇という事態に陥る事例も相次いでいる。
A型事業所230カ所が加盟する就労継続支援A型事業所全国協議会(全Aネット)は18日、岡山県内で「せとうちサミット」を開催。久保寺一男理事長は「A型事業の関係者の間には萎縮した空気が感じられる。課題は多いが修正していけばいい」と呼び掛けた。2018年度は好事例を収集し、優良事業所の認定制度を構築するという。
厚労省によると17年4月時点でA型事業所は3630カ所あり、約半数が営利法人。利用者数は6万6894人で精神障害者が約半数を占め最も多い。16年度の平均月額賃金は7万720円。事業所数は12年度の2・3倍に増えた。
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指定基準を満たす社会福祉法人豊芯会のA型事業所。賃金は月額平均9万510円
厚労省は同日、都道府県などの担当課長を集めた会議で「A型事業所が健全な運営となるよう指定権者として指導と支援という観点で取り組んでほしい」(宮嵜雅則・障害保健福祉部長)と要請した。
A型事業所をめぐっては、十分な生産活動を確保せず障害者の働く時間を抑え、障害報酬で賃金を補てんする不適切な事例がかねて問題視されていた。そこで厚労省は17年4月に指定基準を改正し、生産活動の収支の範囲で賃金を支払うことを規定した。
しかし、最低賃金を支払えるだけの生産活動を確保するのは容易ではなく、事業所の閉鎖、障害者の大量解雇という事態に陥る事例も相次いでいる。
A型事業所230カ所が加盟する就労継続支援A型事業所全国協議会(全Aネット)は18日、岡山県内で「せとうちサミット」を開催。久保寺一男理事長は「A型事業の関係者の間には萎縮した空気が感じられる。課題は多いが修正していけばいい」と呼び掛けた。2018年度は好事例を収集し、優良事業所の認定制度を構築するという。
厚労省によると17年4月時点でA型事業所は3630カ所あり、約半数が営利法人。利用者数は6万6894人で精神障害者が約半数を占め最も多い。16年度の平均月額賃金は7万720円。事業所数は12年度の2・3倍に増えた。
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2018年03月26日 福祉新聞編集部