ゴエモンのつぶやき

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揺れる障害者福祉:自立支援法2年/2 移動支援の自治体格差 /和歌山

2008年04月17日 23時51分57秒 | 障害者の自立
揺れる障害者福祉:自立支援法2年/2 移動支援の自治体格差 /和歌山
 ◇楽しみ奪われる、悔しい--36歳の女性
 「住所が違うだけで受けられるサービスが違うのは不公平」。下肢障害のある和歌山市の女性(36)は憤る。障害者自立支援法の施行で、ヘルパー利用時間が大幅に減った。障害程度は変わらないのに、同じ作業所に通う紀の川市の仲間は3倍支給されている。

 女性は車椅子生活で、外出にはヘルパーの付き添いが必要だ。同法施行前、ヘルパー利用は月35時間。料理教室への送迎など自由に使えたが、06年4月の同法施行を境に、私的な理由で使える時間が月10時間に制限。それ以上は全額自己負担となる。外出は減り、家にいる時間が増えた。

 同法で、障害者の社会生活に不可欠な「移動支援」は市町村事業になった。このため、支給時間や利用条件など自治体の対応に格差がある。例えば、和歌山市が18歳以上の私的理由による利用を月10時間としているのに対し、紀の川市は制限がない。「友達の家にも気軽に行けない。楽しみまで奪われるのが悔しい」と女性は言う。

 和歌山市は利用者の声を受け、今月から移動支援などの支給決定基準を緩和。18歳以上の場合、単身世帯や障害者のみの世帯などは月10時間を20時間に増やした。

 一方、ヘルパーを派遣する事業所では収入減も起きている。和歌山市社会福祉協議会は、障害者へのヘルパー派遣利用時間が799時間(05年5月)から637・5時間(07年5月)に激減。07年5月の収入は約129万円で、05年同期比3割減となった。

 同市障害福祉課は「私的理由でのヘルパー利用は個人差がある。特別な事情を除き、過去の平均利用時間に基づいて、公平公正なように一律10時間とした。今後も利用者の声には耳を傾けたい」と説明する。

 趣味を持ち生活の幅を広げようとするヘルパー利用は、そうした人たちにとって著しく制限されている。和歌山市障害児者父母の会事務局長の岩橋秀樹さん(49)は「当事者であるはずの障害者が置き去りにされている。利用者の立場にたった制度を考えて」と訴える。

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 ■ことば

 ◇移動支援
 社会生活上、必要不可欠な外出や、余暇活動など社会参加のための外出時の移動を支援する事業。厚生労働省は「全国一律でなく、地域の実情に応じ柔軟に提供すべきサービス」として、障害者自立支援法で市町村主体の「地域生活支援事業」に位置づけた。利用料や利用範囲は、各市町村が独自に定める。

毎日新聞 2008年4月16日 地方版


授産施設利用にお金がなぜいるの?

2008年04月15日 22時00分00秒 | 障害者の自立
揺れる障害者福祉:自立支援法2年/1 授産施設利用にお金がなぜいるの? /和歌山
 ◇何が自立、不安だらけ--42歳の岡田さん
 「一生懸命働いているのに、なぜお金を払わないといけないの?」。和歌山市の知的障害者通所授産施設「はぐるま共同作業所」を利用する岡田正雄さん(42)はこの2年間、思い続けている。

 ほぼ毎日、朝5時に出勤して約6時間、パンを焼いて販売する。「仲間に会えるし、仕事も楽しい」と言うが、施設の利用料を払うことが強い疑問だ。

 収入は月6万6000円の障害基礎年金と、月3万5000円の工賃(賃金)。支出はケアホームの家賃や生活費計約7万円のほかに、作業所利用料や給食費など計約1万3000円の負担が重くのしかかる。頼れる肉親はいない。「将来のための貯金もできず、1人の生活になるのが怖い」と不安を抱える。

 県障害福祉課によると、県内の認可施設で障害者が受け取る平均工賃は月額1万2045円(06年度)。中には時給6円の施設もある。別の作業所に通う男性(23)は「利用料を取る前に、賃金保障をして」と訴える。

 障害者自立支援法は、福祉サービス利用者に自己負担1割を求め、給食費などの実費負担を課した。低所得者には負担上限額があったものの、すぐに「生活していけない」と困窮の声が続出。国は上限額を4分の1に見直し、年収80万円以下の人の上限額は3750円になった。今年7月からは、さらにそこから2分の1に引き下げる。

 だが、収入の少ない障害者にとっては1円の支出も深刻だ。岡田さんは言う。「お金だけとられて、その分の支援は何一つ受けられない。一体、何が自立なのか。不安だらけの毎日はもうたくさん。1日でも早く施行前の生活に戻してほしい」

   ×  ×

 障害者自立支援法施行から2年。「障害者の社会参加」の理念とは裏腹に、「自立」が見えない現状と将来に不安が広がっている。揺れる障害者福祉の今を現場から報告する。(この連載は清水有香が担当します)

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 ■ことば

 ◇障害者自立支援法
 「施設から地域へ、福祉から就労へ」を理念に、障害者の地域社会での自立を目指す。身体、知的、精神に分かれていた障害者施策を一元化。福祉サービスの従来の利用者負担は収入に応じて決めたが、施設利用やヘルパー派遣などあらゆるサービス利用者に、利用料の1割の自己負担を原則とした。サービス支給決定の指標として、6段階で判定する「障害程度区分」を導入した。06年4月に利用料負担など一部施行、10月から完全施行。

毎日新聞 2008年4月15日 地方版


自立支援法:生活苦でも施設利用料1割負担 東京

2008年04月15日 21時56分33秒 | 障害者の自立
自立支援法:生活苦でも施設利用料1割負担 東京

 東京都内の知的障害児施設に入所する少女(14)について、父親(64)が施設と正式な利用契約をしていないのに、都が障害者自立支援法に基づき、利用料の1割などを負担させる「契約制度」を適用していたことが分かった。父親は生活苦で利用料などが払えないため、施設が経費負担を余儀なくされている。施設側は、契約制度の適用をやめて事実上入所者の負担が減る「措置制度」の対象にするよう求めているが、都は応じていない。

 施設によると、少女は父子家庭。04年4月、児童相談所が父親の養育困難を理由に少女と妹を一時保護し、都内の児童養護施設に入所させたが、05年11月に障害のある少女だけが知的障害児施設に移された。

 06年10月に障害者自立支援法が本格施行され、施設利用料の原則1割などを保護者に負担させる契約制度の適用が可能になった。都は父親に契約能力があると判定し契約制度を適用した。

 しかし、日雇い労働者だった父親は腰痛で働けなくなり、生活保護の申請も却下された。施設は「親の養育能力が不安」として措置制度の適用を再三要請したが、都は「親の経済事情と契約能力は別問題」と退けた。父親は月約1万5000円の施設利用料などを1年余り滞納し、今は連絡も取れないという。

 契約制度の適用には施設と保護者との間で利用契約書など3種類の書類を取り交わすことが必要だが、法施行に向けた国の準備が遅れ、契約書だけで仮契約していた。

 施設側は「正式契約を結んでいないのに一方的に契約制度を適用するのはおかしい」と都を批判。厚生労働省障害福祉課は「都は契約そのものが適切かどうか再確認すべきだ」と指摘している。【夫彰子】

 ▽措置と契約 児童福祉法に基づく措置制度は、児童の入所に要する費用(措置費)を国と都道府県が2分の1ずつ負担。保護者は自治体に「徴収金」を支払うが、応能負担のため低所得層はほとんど出費の必要がない。一方、障害者自立支援法に伴う契約制度は、低所得の保護者も施設利用料の原則1割に加え、医療費や食費を施設に直接支払う必要がある。児童施設はすべてが措置制度だったが、06年の同法施行で障害児施設に限って「措置」か「契約」かを都道府県が個別に審査して決めることになった。

毎日新聞 2008年4月15日 2時30分(最終更新 4月15日 2時30分)


自立支援法の見直し

2008年04月14日 13時19分23秒 | 障害者の自立
自立支援法の見直し
障全協「運動さらに」
総会開く

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 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協、吉本哲夫会長)は十二日、東京都新宿区で、第四十二回総会を開き、各県代表など五十数人が参加しました。障害者自立支援法(二〇〇六年四月実施)による福祉・医療サービス利用への「応益負担」に反対していくなど、〇八年度の運動方針を討議・決定します。二日間の日程。

 吉本会長が「障害者にとって厳しい時代だといわれる。しかし、自立支援法では二年越しの反対運動で、法律は変えていないが、内容はかなり改善された。こんなことは私たちの運動の歴史でもめずらしい」と指摘。運動をさらに強めるよう呼びかけました。

 来賓として日本共産党の小池晃参院議員(党政策委員長)があいさつ。「自立支援法の『応益負担』を一年間中止するのに必要な予算が五百億円、軍事費のイージス艦一隻が千四百億円です。つまり、イージス艦一隻で自立支援法を三年間、とめることができる計算です。どちらが国民に役に立つ予算の使い方か、明らかでしょう」と指摘。「天下の大悪法、自立支援法の全面的見直しのため、力をあわせてがんばりましょう」と激励しました。

 日本障害者協議会、全国障害者問題研究会、きょうされんの代表が来賓としてあいさつしました。

 総会参加者は十四日、政府交渉や国会議員要請などを行う予定です。


障害者ニーズと隔たり/施設委託費 那覇市が半減

2008年04月13日 21時32分25秒 | 障害者の自立
障害者ニーズと隔たり/施設委託費 那覇市が半減

 障害者が創作活動などを通して交流する地域活動支援センターの利用実績が要綱の基準を満たさないことを理由に、那覇市が本年度事業委託費の半減を決めた問題は、障害者の自由な活動の場を目指す施設側と、生産性や効率を求める行政側との間で考えに大きな隔たりがあることが浮き彫りになった。障害者が必要とするセンターとは何か。利用者の目線に立った契約の見直しが求められている。(社会部・座安あきの)

運営者の責任


 実績を重視した委託契約要綱は障害者自立支援法に基づき市が二〇〇六年度に策定。市は三月末、一日当たりの利用人数が要綱の最低基準の五人に届かなかった支援センター「はんたぴあ」に対し、〇八年度は契約しない方針を伝えた。別の支援センター「あごら」については前年度の委託費五百五十万円の基準だった十人を下回ったとして三百万円に減額して契約することを通知した。

 これに対し利用者や運営者が反発。市は今月に入り、利用者としての正式登録はしていないものの利用している人をカウントする形で、両センターとの契約更新を決めた。

 これにより「あごら」は前年度並みの委託費を維持できる見通し。

 一方「はんたぴあ」は委託費が半減するため、「職員の人件費も捻出できない」として前年度並みの契約を求めている。だが市は「利用人数を確保できなかったのは運営者の責任」とし、これ以上の話し合いには応じられないとの姿勢だ。


潜在利用者も


 県内にあるセンターの多くは、家族や地域が障害者の受け皿の必要性から築いてきた小規模作業所が前身。両センターが利用人数基準を達成できなかった背景には、主に精神障害者を受け入れてきた事情がある。「あごら」の久保田誠施設長は「精神障害者は体調に波があり、定期的な通所を求めるのは彼らの回復を制限する」と話す。

 二十歳を過ぎて発病した利用者の女性は「仕事中に幻聴が聞こえたり、急に落ち込んだりしてもここならみんなが理解してくれる。少しずつ自信を取り戻しているのに、この場所を失うとまた元の状態に戻るのでは」と不安げ。

 あごらの登録者数は市の利用人数の基準を大幅に上回る三十人。実際に利用した人だけをカウントする市の基準では、潜在的な利用者の存在が無視される。久保田施設長は「いつでも利用したいときに利用できる本来のセンターの役割が今の要綱では果たせない」と矛盾を指摘した。