千年後にまで名を残す偉大な歌人が、こんなふうに詠んだ。これを書く私も読むあなたも、いずれこういう心境を受け入れるのか。作者八十八歳(数え年表記が通用)の詠。「文字どおり、明日[も]知れない老境」の作(小学版)である。
巻六冬歌(ふゆのうた)は 0706 で終わる。
【略注】○今日ごとに=毎年の大晦日が来るたびに。
○藤原俊成=悠 026(07月28日条)既出。
写真は自宅のではなく、公園の富貴草のなかにただ一輪の彼岸花。
曼珠沙華(まんじゅしゃげ)はサンスクリット由来で、「天上に咲」き、「見る者の心を柔軟にする」と言われる花。(広辞苑) テラヴァーダ(上座部)仏教(平安期までの日本の仏教)以来、仏典の吉祥(赤い花)天来の思想に合い、彼岸のころに咲くということで、仏教で大切にされている。
葉と花が入れ替わりに現われることから、朝鮮民族の間では「相思華」と呼ばれるとか。
万葉集にも「いちしの花」としてあるというが、未確認。
読み:吉祥=きっしょう。(瑞祥=ずいしょう=と入れ換えてもほぼ同じ)