悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

069 お互いの妻は

2005-09-29 06:05:00 | 新古今集

 詞書に、同じころ妻を失った藤原実資(小野宮右大臣)が、作者に「遣はし」た歌への「返し」とある。古事記以来、黄泉(よみ)の国へは地下道を通ることになっているが、「空の旅」と明言するのは珍しいのではないか。前に挙げた、野辺送りの煙からの連想と思われる。いずれにしても、この巻のどの歌からも哀切の情が、時空を超えてひしひしと伝わってくる。
 現代詠の「みんな」は、残された男二人と空の女二人のつもり。

【略注】○ひとりにもあらぬ=(悲しいのは)あなた一人だけではない。
    ○なき人=(「たち」を補って)亡くなった妻たち。
    ○藤原為頼=雅正の子。弟為時の娘は紫式部。この一首だけ。

短歌写真2005-0929 温泉は

2005-09-29 05:55:00 | 短歌写真

 下部温泉は武田信玄の隠し湯として有名である。その、とある宿へ入ると、壁のあちこちに短歌の短冊が掲げられている。案内された部屋には「月読」の標札。もしやと思ったら、やはり床の間に「月読み」の条幅が薄暗く見える(写真右上、落款不読)。聞いてみると、女将が高校時代は文学少女だったそうで、何年か前から万葉の会へ通っている。ほかの部屋も同じように、万葉ゆかりにしてある、という。鄙には希なりと驚いた次第。帰宅後、写真を見ながら、解読してみた。
   (活字写し)  月読の光爾記満せ足引の
            山来へ奈里弖遠から那くに  [湯原王]
   (平仮名読み)つきよみのひかりにきませあしひきの
            やまきへなりてとほからなくに
 万葉仮名・万葉文法・万葉植物などなど、万葉集は、いちだんと難しい。
* 夕方のNHK-TVで、富士山頂に初雪との映像が全国ニュースに出た。