歌集のこの辺りは、恋の苦しさ・辛さ・恨みなどに、溢れる。
こんな調子である。
1224 つらしとは思ふものから伏柴の
しばしもこりぬ心なりけり 藤原家通
1225 頼め来し言の葉ばかりとどめ置きて
浅茅が露と消えなましかば 読人しらず
1226 あはれにもたれかは露も思はまし
消え残るべきわが身ならねば 源雅通
1227 つらきをも恨みぬわれにならふなよ
憂き身を知らぬ人もこそあれ 小侍従
ひらかなy098:ねえあなた わたしのどこが きらいなの?
みじかいいのち さかせましょうよ
ひらかなs1228:なにかいとふ よもながらへじ さのみやは
うきにたへたる いのちなるべき
【略注】○なにかいとふ=(何か厭ふ) Why do you dislike me (so)?
○よも長らへじ=まさか、長生きしないだろう。
○さのみやは=そういつまでも。
○大輔=悠 019(07月20日条)既出。
【補説】評価。「恋慕の苦しさで死ぬ思いでいるのに、近寄らない男に恨みを訴え
た作。」(小学版)