悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

114 男なら思いの

2005-11-26 05:05:00 | 新古今集

 おい、お前、男だろう? それなら身分はさておいて、思い切って告白しろよ、と自分に言い聞かせている男。身分が低いとはいっても、「五位の摂政」などとあだ名される貴族。思いを寄せる女は、さらに高根の花か。
 ひらかなy114:おとこなら おもいのうちを あけるのに
          みぶんちがいが きになっている
 ひらかなs1425:ひとならば おもふこころを いひてまし
          よしやさこそは しづのをだまき
【略注】○いひてまし=言ってしまうだろうに。
    ○よしやさこそは=たとえこのように。
    ○しづのをだまき=「倭文(しず)の苧環(おだまき)」。倭文は古代布、倭文を作る
    ための糸球が苧環。「賎(しず)」に掛ける。賎は、身分の低いこと・者を指す。補説
    参照。
    ○藤原惟成(これしげ、これなり、両読み)=雅材の子。花山院の寵臣。出家して悟
    妙。37歳で没。
【補説】倭文①「上代は<しつ>。唐から輸入された<綾(あや)>に対して、日本古来の織
    物の名。こうぞ・麻などの繊維から作った横糸を青・赤などに染めて、乱れ模様に織り
    あげたもの。」
    ②「奈良時代にはシツと清音。古代の織物の一。穀(かじ)・麻などの緯(よこいと)を
    青・赤などで染め、乱れ模様に織ったもの。あやぬの。しずはた。しずぬの。倭文
    織。」
    苧環①「績(う)み麻(お)(=つむいだ麻糸)を、内側を空(から)にして球状に巻いた
    もの。」
    ②「つむいだ麻糸を、中が空洞になるように円く巻きつけたもの。」
    二項とも、①は旺文社版『古語辞典』、②は岩波版『広辞苑』。