悠山人の新古今

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101 あのころの青い

2005-11-10 05:00:00 | 新古今集

 これは予備知識が必要な歌である。
 原作の詞書に、「以前、情をかわしていた女に、枯れた葵を、みあれの日[後述]に贈った、それに添えた歌」(小学版)とある。このことから、枯れ葵を贈った、というところが、この歌を理解する鍵になる。どうしてそのようなものを、と、あなたは思うだろうけれど、あのころの御阿礼(みあれ)祭に贈った葵は青青としていた。それがこんなに枯れてしまったけれど、私は大切にしていて、忘れてはいないんだよ。
 ひらかなy101:あのころの あおいあおいと いわれても
          みあれまつりは わすれられない
 ひらかなs1254:いにしへの あふひとひとは とがむとも
          なほそのかみの けふぞわすれぬ
【略注】○あふひ=「葵(あおい)」「逢ふ日」を掛ける。
    ○そのかみの今日=親しかったあのころの、御阿礼祭の日。
【補説】みあれまつり(御阿礼祭) 「京都の賀茂神社で、陰暦四月、中の酉の日に行なわ
    れた葵祭の前日の、申の日に行なわれた祭。」(小学版) 「御生・御阿礼 ①神ま
    たは貴人が誕生・降臨すること。②京都の上賀茂神社で、葵祭の前三日、すなわち
    四月の中午の日(今は五月十二日)の夜に行われる祭。阿礼と称する榊に神移しの
    神事をいとなむ。賀茂のみあれ。御阿礼祭。③転じて、賀茂神社の称。」(広辞苑)