巻第十四(恋歌四)は、1234~1335。「恋の部五巻中、本集時代の[同時代の]歌人の作がもっとも多く、この巻の後部約七十首に集中して哀艶な情趣の歌境を展開している。」(小学版)
これは作者が「少将滋幹[しげもと]に遣はしける」歌。かの谷崎潤一郎作品の、あの人である。現代詠に「恋焦がれる」「焦がれ死ぬ」を入れてみたが、死語集に登録済みなのかもしれない。
ひらかなy099:こいしさに こがれしぬのを まつだけよ
もしきかれたら いないとこたえて?
ひらかなs1236:こひしさに しぬるいのちを おもひいでて
とふひとあらば なしとこたへよ
【略注】○読人=中務(なかつかさ)らしい。中務は悠 003(06月30日条)既出。