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言葉のクロッキー

本とかテレビその他メディアから、
グッと感じた言葉・一文などを残してゆきたい。
その他勝手な思いを日記代わりに。

亀井忠雄

2023-06-09 | 能・芸能
能楽囃子大鼓方の亀井忠雄師が肺炎で亡くなった  81歳

テレビなどで観る能楽には
必ずと言っても良いくらい出演されていた
                    

あの腹にズシンと来るような音声は

舞台にハリとシマリを与えてくれたように思う
                 
大鼓は迫力が大切 と言い

全身 火の玉となって鼓を打て  と3人の子に芸を仕込んだ

長男は葛野流 能楽界に

次男 三男は 歌舞伎囃子田中を継承  

鬼の佐太郎 閻魔の忠雄と言われ

家には父が二人いると子達に言わしめた

すごい能楽師だったのだ


   映像は NHKスペシャル「鼓の家」から拝借しました


天鼓・小督

2023-05-08 | 能・芸能
観世会定期能 5月7日 観世能楽堂

演目
     ● 能 『小督』
              シテ(源仲国): 武田宗典
              ツレ(小督局): 北浪貴裕

     ● 狂言 『昆布売』 
              昆布売:三宅右近    何某:三宅右矩

     ● 仕舞  弓八幡:角幸二郎 杜若:津田和忠 蝉丸:武田尚浩 女郎花:藤波重彦

     ● 能 『天鼓』弄鼓之楽
              シテ(天鼓) : 観世喜正
              ワキ(勅使) : 宝生欣哉

高倉天皇の寵愛を受けた小督局
しかし正妻の父親 清盛の目を恐れ 宮中を出奔し身を隠す 
彼女を探す勅使 頃は 三五夜中の新月の頃
・・・峰の嵐か松風か それかあらぬか 尋ぬる人の琴の音か
     楽は何ぞと聞きたれば 夫を想ひて恋ふる名の 想夫恋なるぞ嬉しき・・・・

帝の命に背き処刑された天鼓 しかし召し上げた鼓は鳴らず天鼓の父を召し出し鼓を打たせる 
我が子の不憫を想い嘆く父に帝は思いを寄せ 濾水の堤で管絃講を催し弔う やがて現れる天鼓の霊 そして弔いに感謝し舞う
・・・人間の水は南 星は北にたんだくの 天の海づら 雲の波立ち添ふや濾水の堤の月にうそむき水に戯れ・・・・

太鼓の入った弄鼓之楽は良かった


三人の会

2023-03-12 | 能・芸能
「第八回 三人の会」  3月11日  観世能楽堂
                        
番組
● 仕舞 「春日龍神」  谷本康介

● 能   「俊寛」
         シテ:俊寛 坂口貴信  ツレ:谷本健吾 井上裕之真
         ワキ:宝生欣哉
         地謡:観世清和 山階弥右衛門 久田勘吉郎 関根祥丸
            清水義也 角幸二郎 上田公威 浅見重好
         囃子:大鼓 亀井忠雄   小鼓 飯田清一   笛 竹市学

● 狂言   「附子」
          シテ:山本則重   アド:山本東次郎 山本則秀

● 仕舞    「夕顔」  梅若紀彰
         「邯鄲」  観世清和

● 能     「山姥」
            シテ:山姥 川口晃平  ツレ:鵜澤光
            ワキ:森 常好
            地謡:梅若桜雪 坂口貴信 谷本健吾 梅若紀彰 
               松山隆之 安藤貴康 角当直隆 山崎正道 
            囃子: 大鼓 亀井広忠  小鼓 大倉源次郎  太鼓 林雄一郎  笛 松田弘之

同年代 それぞれ違う師匠に内弟子入門し いまや立派な中堅能楽師三人
地謡には同じ社中の先輩方で固め とてもしっかりした能だった
狂言では代役として東次郎師が出演しこれもメリハリの効いた狂言で面白かった





二月の矢来

2023-02-12 | 能・芸能
二月に入り天気の移り変わりが激しい
朝の内は雲一つない上天気なのに
午後に入ると急速に雲が湧いてくる

能を観てきた 
観世九皐会 二月定例会  於:矢来能楽堂 12日15時半~

●仕舞   『老松』 遠藤和久
    『雲林院』 観世喜之
     『胡蝶』   佐久間二郎
● 能    『昭君』  シテ 観世喜正   昭君 観世和歌
           ワキ  森常好  他
        頃は中国漢の時代 娘の名を昭君といった
        彼女は美しく育ち 帝に召される
                            しかし北方の脅威を避けるため
        政略結婚させられてしまう
        それを知った両親の嘆きを能にしたもの
             後半場面での 北方の王の舞が面白い

定例会は コロナ禍になってから2部制になった
番組を縮小し 入れ替え制になった
3月から徐々にコロナ体制から脱却してゆくようだけれど
5年前のような社会の在り方に果たして戻るのだろうか?

梅の蕾がやっとチラホラしだした
                                                        

新春の観能

2023-01-04 | 能・芸能
新春公演   令和5年1月2日  矢来能楽堂
番組
● 新春の寿ぎ   笛 一噌幸弘

● みんなで謡う『四海波』(しかいなみ)  鈴木啓吾

● 仕舞 『養老』   観世喜之

● 能 『 巴 』 里女・巴御前の霊   観世喜正
               旅僧    宝生欣哉
               従僧    則久英志 大日方寛
              所の者    野村太一郎
       大鼓:山本哲也  小鼓:観世新九郎  笛:一噌幸弘

新春となると『翁』をはじめ厳粛な番組となるが、これはコロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業として文化庁に協力したプログラム。
能楽堂はほぼ満員だった。  
「・・・四海波静かにて 国も治まる時つ風・・・」と鈴木師の先導で観客全員参加で謡う。 
2時間にも満たないひと時だったが良いお正月を過ごせた。
 

万作を観る会

2022-11-18 | 能・芸能
「万作を観る会 野村万之介十三回忌追善」  11月17日 宝生能楽堂

番組

● 連吟 「鉢叩」   野村萬斎 三藤なつ葉 他

● 狂言 「木六駄」  野村万作 野村裕基  他

● 彦市ばなし     深田博治 高野和憲 野村萬斎

万之介師が亡くなられてから13年経ったんだという思いがする。
あの飄々としてふらっと舞台に現れるたび面白そうに感じた。

冒頭の「鉢叩」は踊念仏の一種らしい。萬斎師中心に9人の社中の狂言師が
供養を込めて連吟した。
万作師の演ずる「木六駄」。91歳を感じさせない切れのある舞台運び・・と
いうか歳を重ねた老爺が、雪の中を12匹の牛を引き連れる一人芝居、茶屋で
届け物の酒を茶屋の主人と一緒に飲んでしまったり、届け先の主に嘘を並べたてる
というような演技に、なにか溌剌としたものを感じた。姿勢が良い。
「彦市ばなし」は民話をベースにした狂言の・・昭和の新作とのこと。
深田師初演かもしれない。ストーリーを理解してるとより面白かったと思う。



襲名

2022-11-06 | 能・芸能
先日、「NHK特集 大看板 團十郎へのみち」というのを観た。
先代12代目が、襲名披露するまでのドキュメント。
           
披露演目の稽古、挨拶回り等々をこなしながらの忙しい日々。
見せる為に努力するサマは、人には知られたくないものと思うが

それすら白日の下に晒されるのは辛いだろうなと思ってしまう。
ドキドキするような初日。
              
多くの人に支えられ、頼りは自分ひとりという世界。
生の歌舞伎を観たことないけどチョッピリ感激した。

松門之出

2022-09-05 | 能・芸能
観世会定期能 九月    9月4日    観世能楽堂

演目

● 能 『景清』松門之出 小返之伝   シテ 山階弥右衛門
   
        ツレ 武田友志  トモ 大松洋一  ワキ 森常好

          笛 松田弘之  小鼓 大倉源次郎  大鼓 國川純

● 狂言 『鎌腹』  太郎 野村萬斎

           妻 野村太一郎  仲裁人 石田幸雄

● 仕舞  『邯鄲』武田尚浩  『清経』坂井音雅

      『松風』武田宗和  『歌占』 清水義也

● 能  『船弁慶』前後之替 早装束  シテ 観世三郎太

        子方 谷本康介  ワキ 福王和幸  船頭 野村裕基

  笛 一噌隆之 小鼓 飯田清一 大鼓 亀井広忠 太鼓 林雄一郎


「松門之出」をききたかった。

「景清」が始まっていくらも経たないうちにその場面はやってくる。

ひとしきり笛が奏されたあと作り物の中から、何とも言えない孤独感・寂寥感・存在感なんかがないまぜになったような一節が謡われる。

平家の侍大将だった景清。戦に敗れ九州に配流されめくらになり極貧の日々を送るその気持ち。その情景。

そうゆうのが髣髴として伝わってくる一節。

今回はとりわけ寂寥感が伝わるような一節に感じた。


狂言 月と狐

2022-06-28 | 能・芸能
NHK 古典芸能への招待  6月26日

山本東次郎  『月見座頭』
       『通園』  (小舞)

野村万作   『釣狐』 (袴狂言)

  すごかった


「序の舞」 四番

2022-05-08 | 能・芸能
「序の舞」を四番観た。

● 能 「姨 捨」  シテ(里女 老女の霊)  梅若 紀彰      (4月9日 横浜能楽堂)
    
      笛:松田 弘之   小鼓:大倉 源次郎   大鼓:國川 純   太鼓:前川 光長  
              
      (年老いて山に捨てられた女。中秋の名月が限りなくその光を放つ中、老女の霊が現れ若き日を偲んで舞う。)

●能 「采女」           シテ(采女) 坂真太郎   (4月10日 矢来能楽堂)

        笛:一噌 隆之   小鼓:鵜沢 洋太郎   大鼓:原岡 一之  
             
       (かつて天皇の情けを受けた采女。だがはかなくも、その心変わりを恨み猿沢の池に入水する。弔う僧の前に幽霊となって現れ、天皇への想いを込めて舞う。)

●能 「檜垣」      シテ(老女・檜垣女)  大槻 文蔵  (5月7日 横浜能楽堂)

        笛:杉 市和   小鼓:大倉 源次郎   大鼓:亀井 忠雄  
                 
        (その老婆、檜垣という名の女は若いころ美貌を誇った白拍子だった。それゆえに多くの人々を惑わした罪で成仏できずにいる。その老残を晒し、昔を偲び弱々しく舞い、僧に救いを求める。)

●能「杜若」        シテ(杜若の精)  中所 宜夫      (5月8日 矢来能楽堂)

        笛:杉 信太朗   小鼓:大倉 源次郎   大鼓:澤田 晃良   太鼓:佃 良勝  
                  
        (杜若の精が、在原業平の形見の初冠と二条后の形見の唐衣を着し、昔を偲び、舞う。)


     いずれの曲目も在りし日の罪科で成仏できず、冥界に漂う霊魂が、容を現し舞を舞うというもの。
     それぞれの背景が異なるゆえに、きまり切った「序の舞」を舞手がどのように表現するのかとても楽しみだった。
     立ち姿で、観客に主人公の「老い」を感じさせるには、演者から「老い」相応の風姿を観客が感じ取れるオーラのようなものが無いと面白くない。
     老人の仕草を真似ただけではダメなのだ。「・・もどき」ではなく「そうなんだ」と思える主人公。
     「檜垣」は良かった。また老女ではないけれど「采女」も良かった。