マニアックな話になりますが…
キヤノンのカメラに付属するRAW現像ソフト「Digital Photo Professional (DPP )」のバージョンが「4.5.20 」に更新されました(2 月21 日)。
ご承知のように、キヤノンのデジタルカメラで「JPEG」でなく「RAW」で撮った時、現像のさい必要になるソフトで、新製品が発売されるたびに、その機種に対応すべく更新されています。
← 「Digital Photo Professional 4.5.20 」の画面(クリックで拡大します)。
新製品を買ったわけでもなく、しばらく放っておいたのですが、このたびダウンロードして更新しておきました。
そのさいに、ふと気付いたことが…
◆古いカメラ・レンズにも対応
キヤノンのソフトウエアダウンロードページによると、今回の新バージョン「DPP 4.5.20 」(Windows 版)での変更点は以下の通り。
『 ・新たに PowerShot G9 X Mark II, EOS-1Ds Mark II, EOS-1D Mark II N, EOS-1D Mark II, EOS 5D, EOS 40D, EOS 30D, EOS 20Da, EOS 20D, EOS Kiss Digital X, EOS Kiss Digital N, PowerShot G15, PowerShot S110, PowerShot S100 に対応しました。
・EF70-300mm F4-5.6 IS II USM に対応しました。
・EF50mm F2.5 コンパクトマクロ, EF24-85mm F3.5-4.5 USM, EF-S60mm F2.8 マクロ USM 用のデジタルレンズオプティマイザのレンズデータの精度を向上しました。』(キヤノンのページより)
最新のコンパクト機「PowerShot G9 X Mark II」( 2月23日発売)や、リニューアルされた便利ズーム「EF70-300mm F4-5.6 IS II USM」(2016年12月発売)に対応したのは、まあ当然として、よく見てみると、古~い機種も目につきました。
・「EOS 5D」(2005年発売)! ----ハイアマチュア向けとして初めて、35ミリフルサイズのデジタル一眼レフカメラとして発表された、歴史的な機種(1280万画素)。12年前のこんなカメラにも対応することに。
EOS 5D (CANON CAMERA MUSEUM より)
ほかにも…
・「EOS 20D」(2004年発売)----おお、これもかなり古い中級一眼レフ(820万画素)。なお「20Da 」は「20D」を天体写真撮影に特化させたモデル。天体写真では以前からキヤノンの人気が高く、今でも使っている人がいるかもしれません。
・「EOS Kiss Digital N」(2005年発売)----懐かしいなァ、私も使っていたエントリー一眼レフ(800万画素)。
「DPP 4 」 は、2014年6月にそれまでのバージョン「DPP 3 」より大幅に機能をアップさせて登場(当ブログ記事『キヤノン「DPP4.0」を使ってみた』参照)。当初は、EOS-1D X、EOS-1D C 、EOS 5D Mark III、EOS 6D の 4 種類のカメラだけに対応していましたが、今では多くの機種に対応するようになりました。新しい機種だけでなく、こうした古い機種にも対応するよう、地道なサポートを続けているのはメーカーとして良い姿勢だと思います。
レンズも同じで、DPP 4 対応レンズは次々に増えています。
で、気が付いたのが、
・「EF - S 60mm F2.8 マクロ USM 」(2005年発売) ----EOS Kiss X4 に付けてよく使っていたマクロレンズです。
「DPP 4 」には対応済みで、今回は『デジタルレンズオプティマイザのレンズデータの精度を向上しました。』(キヤノンのページ)
とのこと。
しまいこんでいたレンズですが、「フムフム、どれほど精度が上がったのかナ…」と、試してみました。。
◆「EF-S60mm F2.8 マクロ USM 」RAW現像時に精細感アップ
EOS Kiss X4 に付けた EF - S 60mm F2.8 マクロ USM 。
APS-C サイズ機専用のコンパクトなマクロレンズ。35判換算約96mm相当。
これまで使っていて、別に感心するほどのレンズではなかった印象。手ブレ補正なしですし、描写も「何か甘いな~」という感じでした。
12年前に発売、今も販売されています。実売4万円前後。
このレンズで昨年6月に撮ったネジバナの写真です。以前のバージョン「DPP 4.5.0 」で現像したデータが残っていたので、今回の新バージョン「DPP 4.5.20 」で現像したデータと比較してみました。(いずれもJPEG)
旧バージョン「DPP 4.5.0 」で現像 新バージョン「DPP 4.5.20 」で現像
共通デ―タ : EOS Kiss X4 、EF-S 60mm F2.8 マクロ USM、1/60秒、絞りF8.0、ISO 800、シャープネス「3」
違いが分かりますかね~
茎の短毛の部分を等倍にアップしてみます。
旧バージョン「DPP 4.5.0 」で現像 新バージョン「DPP 4.5.20 」で現像
これで分かると思います。新バージョンでの現像の方がクッキリして精細感がありますね。同時にノイズも少し増えていますが…
「これなら絶対、新バージョンで現像するべし!」ということになりますが、実はこの比較、あまり正確ではないのです。
というのは、昨年6月時点で、そもそもEF-S 60mm F2.8 マクロ USM のレンズデータが提供されていたかどうか記憶がさだかでなく、現像時に「デジタルレンズオプティマイザ(DLO )」を適用していなかった可能性もあるので…
「デジタルレンズオプティマイザ(DLO )」はDPP の重要な機能。キヤノン純正レンズのレンズデータをもとに、デジタル的に画像補正する仕組み。
レンズデータが必要で、それがなければ補正できません。
昨年6月時点でレンズデータがなく、DLO を適用していなかったとすれば、今回のDPP 新バージョンでDLO を適用した画像と差が出るのは当然といえます。
な~んだ、と言われそうな “実験”に。しかし、ともあれDPP 新バージョンで現像したほうがベターなのは確かなようです。
◆レンズデータのダウンロード方法
レンズデータがあればDPP では下のように表示されます( 図 1 )。
回転矢印ボタンを押すと、レンズデータのリストが表示されます。
「デジタルレンズオプティマイザ(DLO )」で使用できるレンズのリスト。
一番下にある、お知らせ(2017.3.10 )に、EF-S 60mm F2.8 マクロ USM のレンズデータの更新があると表示されていました。
そこでリストのこのレンズにチェックを入れ、「開始」ボタンを押すと、レンズデータがダウンロード。
あとは( 図 1 )の「デジタルレンズオプティマイザ」にチェックを入れると、数秒~10数秒で画像補正が完了。
もし古い写真のRAWデータが残っていたら、新DPP バージョンで現像し直してみると、以前より精細な写真になる可能性があるのでお薦めです(キヤノン純正レンズでDPP に対応していることが前提ですが…)。
◆インコを撮ってみた
EOS Kiss X4 と EF-S 60mm F2.8 マクロ USM の組み合わせで、我が家のインコ「ぴーちゃん」を撮ってみました。
EOS Kiss X4 、EF-S 60mm F2.8 マクロ USM、1/25秒、絞りF2.8、ISO 100、シャープネス「3」
「何してるの?」というような表情。
目の付近を、どアップ(等倍)に!
こうしてみると、結構荒々しい…
DPP 新バージョン(DLO 適用)のおかげで、ピントのあったところは解像感がいいですね。
次は羽の部分。
EOS Kiss X4 、EF-S 60mm F2.8 マクロ USM、1/80秒、絞りF2.8、ISO 100、シャープネス「3」
等倍にした画像。シャープですね。
このレンズ、まだまだ使えるな… という印象に。
Kiss X4 と一緒に売り払って、「EOS 6D II 」の購入資金にあてるつもりだったのですが。
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・『「EOSシステム」が誕生30周年』(キヤノン・ニュースリリース)
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