つれづれ写真ノート

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富士「X-T2」を触ってみた

2016年07月13日 | カメラ

富士フイルムの新しいフラッグシップ「X-T2」(9月発売予定)が、大阪・本町の「富士フイルムフォトサロン」で先行展示されていたので触ってきました。

2014年2月に発売された「X-T1」の後継機。一眼レフ風の外観を引き継いでいます。(ニュースリリース参照)

富士フイルムは、レンジファインダーカメラ風のX-Pro シリーズと、一眼レフカメラ風のX-T シリーズを“ダブルフラッグシップ”としているそうで、今回の「X-T2」は最新の機能が詰め込まれた、相当に力の入ったモデルになっています。

なかでも、動体撮影に強くなったのと、4K 動画に対応したのが目玉。

 

FUJIFILM X-T2

縦位置パワーブースターグリップ付きで展示されていました。こうしてみると、ミラーレスとしてはゴツイ印象…

たまたまパンケーキレンズ「XF 27mm F2.8 」が付いていました。キットレンズというわけではなく、お客さんの要望で付けたものでしょう。

 

レンズを「XF 16-55mm F2.8 R LM WR 」に替えてみました。

明るく高画質の標準ズーム。カッコいいですね。

大きいレンズなので、パワーブースターグリップを付けてちょうどバランスが良くなるかも。

 

 「X-T2」の背面。

 

BOOST モードでカメラ性能アップ!

カメラ下部に付ける、オプションのパワーブースターグリップにはバッテリー2個を収容。左側にNOMAL / BOOST モード切り替えレバーがあります。

NOMAL モードだと、たとえば連写が8コマ/秒(メカニカルシャッター時)で、「X-T1 」と同じですが、BOOST モードにすると11コマ/秒にパワーアップ。 同じAPS-C サイズで動体撮影に適したニコン「D500」やキヤノン「EOS 7D Mark II 」(いずれも連写10コマ/秒)を上回ります。

D5007D Mark II 以上!? ホンマかいな、と思うほどの連写性能…

この高速連写にはどうしてもバッテリーが2 個必要だったとのこと。

 

BOOST モードでは、連写だけでなく、AF速度、撮影間隔、レリーズタイムラグ、電子ビューファインダー(EVF)のフレームレートなどカメラの全体性能もアップするそうです。

レリーズタイムラグが短いと素早く撮影できますし、ファインダーのフレームレートがアップすると、ミラーレス特有のカクカクした動きがなくなり滑らかな表示になるので、「動きもの」中心に撮影する人にとっては、このパワーブースターグリップが必須のアイテムになるかも。

 

では、パワーブースターグリップがないとどうなの? という質問も出そうですね。実はパワーブースターグリップを付けなくても、メニューからBOOST モードを選ぶのは可能。連写枚数こそ伸びませんが、フレームレートのアップで滑らかな表示は体験でき、AF速度向上も期待できるそうです。ただし、BOOST モードではバッテリーの減りが早いとのこと。

この辺り、ややこしいので、富士フイルムのページにある一覧表を引用(左右縮小)してみました。

 

BOOST モードでの性能向上(パワーブースターグリップを付けるとすべての項目が向上)

 

実際に、パワーブースターグリップなしでBOOST モードを試してみました。NOMAL/BOOST モードの切り替えを背面ボタンに割り当てておけば簡単にモードの切り替えが出来ます。

BOOST にすると、カメラを横に振った時やズームしたときのファインダーの滑らかさが格段にアップ。NOMALより、絶対BOOST モードの方が気持ちいいです。

フレームレート100fps はすごいですね。これだけでも値打ちがあると思います。バッテリーの減りが早いとしても、予備バッテリーをいくつか持っておけば済むことですから。

 

 パワーブースターグリップを外したところ。

左上は「X-T1 」(グラファイトシルバーエディション)。

 

パワーブースターグリップ付きで連写、連写

今度は、パワーブースターグリップ付きでBOOST モードの連写を試してみました。

11コマ/秒。おお速い!

ミラーレスなので当然ですが、連写の振動が強くなく、音も「シャ、シャ、シャ… 」という感じ。

いい感触ですね~

ただ、これだけの高速連写になると、転送速度の速いSDカードを使わないと、画像転送待ちが発生して、せっかくの連写能力を生かしきれないように思います(展示機はそれほど速いカードを入れていないということで、しばし待ちが発生)。

「X-T2」は「X-T1」と同じように、高速転送のUHS-II SDカードが使えます(しかも今回ダブルスロットになりました)。連写を多用する人は、高速カードも欲しいところ。

ますますお金がかかりますね。

富士フイルムでは、「X-T2」を予約して購入した人にUHS-II SDHCカード(16GB)をプレゼントするキャンペーンをやっています。

 

AFはスムーズ

AF が進化したのも「X-T2」の特長。

遠景から近景へカメラを振ってAFを試してみました。全般的にスムーズで速い印象。

X-Pro2 」で好評だった、背面のジョイスティック形式の「フォーカスレバー」を搭載。直感的に使いやすいです。

 

「AF-Cカスタム設定」も面白そう。今回は、動く被写体がなかったので何とも言えませんが、16日から7都市で開催される「X-T2体験イベント」で試す機会があるかも… (デジカメWatch参照)

それにしても、ニコン、キヤノンが得意とした、スポーツ、野鳥、飛行機をダダダダ…と追って連写するようなジャンルに、富士Xシリーズが食い込んでくるとは思いませんでした。

「もう、撮れないものはない」と富士フイルム。

 

便利な3方向チルト液晶モニタ

 

液晶モニタは3方向チルト式。上下のほか、右横へ開くことが出来ます。

 

横へ開けるのは縦位置撮影の時、とても助かります。

低い位置から縦位置で狙う場合、液晶モニタがこのように開かないと、思い切り低くかがむか腹ばいになるしかなく、とてもしんどい。

この前、EOS 6D でカタクリの花を撮りに行って、ホトホト参りました。

 

バリアングルのモニタでも出来る、といえばそうなのですが、バリアングルはモニタがレンズの光軸から離れるのが欠点。それを解決し、どの角度に傾けても光軸からずれないようにしたのが、PENTAX のフルサイズ一眼レフ「K-1」に搭載された フレキシブルチルト式液晶モニターでした。(ペンタックス「K-1」の魅力(CP+2016 & 体感イベント) 記事参照)

そのPENTAX と同じ仕組みなのか、くわしく見てみました。

 

液晶モニタを横に開く仕組み。モニタ左端にあるギザギザのついたレバーを上へ押し上げると、モニタがパネルから外れ、横に開けます。

モニタをパチンとパネルに戻すと、今度は上下にチルトできるようになります。

 

上下にチルトしているところ。横位置撮影でおなじみのスタイルです。

 

PENTAX 「K-1」の液晶モニターは、4本の金属棒(ステー)でモニタを支える(浮かす)複雑な構造でした。一方、富士「X-T2」の3方向チルトは、簡便な方式といえます。

 

ボディーはやや大ぶりに

 

「X-T1 」(グラファイトシルバーエディション)(左)と 「X-T2」(右)の大きさ比較。

 

寸法的に正確な写真ではありませんが、「X-T2」が大ぶりになったのが分かると思います。

ボディーの横幅が3.5mm 広がり、ISOダイヤル(写真上方)も大きくなっています。

重さは507g で「X-T1 」より67g の増(バッテリー、カード含む)。

まあ、これぐらいの増加なら、個人的には許容範囲かな、と思います。

 

その他、「X-T2」と「X-T1 」の主なスペックを比較してみました(自分が関心のある項目だけ)。

  FUJIFILM X-T2 FUJIFILM X-T1
カラー ブラック ブラック/グラファイトシルバー
有効画素数 2,430万画素 1,630万画素
撮像素子 X-Trans CMOS IIIセンサー X-Trans CMOS IIセンサー
撮影感度 ISO 200~12800 ISO 200~6400
液晶モニタ 3.0型 3方向チルト式 
約104万ドット
3.0型 チルト式 
約104万ドット
記録メディア SDカード UHS-Ⅱ対応 
ダブルスロット
SDカード UHS-II対応 
シングルスロット
連写 約8.0コマ/秒
パワーブースターグリップ装着時は約11コマ/秒
約8.0コマ/秒
4K動画 4K 3840×2160 29.97p/25p/24p/23.98p 
連続最大 約10分まで
        --
シャッタースピード 4秒~1/8000秒(メカニカルシャッター) 4秒~1/4000秒(メカニカルシャッター)
フィルムシミュレーションモード 15モード 11モード
ビューファインダー 0.5型有機ELファインダー 
約236万ドット
0.5型 有機ELファインダー 
約236万ドット
寸法 幅132.5mm×高さ91.8mm×奥行き49.2mm(最薄部35.4mm) 幅129.0mm×高さ89.8mm×奥行き46.7mm(最薄部 33.4mm)
重さ 約507g(付属バッテリー、メモリーカード含む)
約457g(本体のみ)
約440g(付属バッテリー、メモリーカード含む)
約390g(本体のみ)
起動時間 約0.3秒 約0.5秒

 画素数、高感度性能、シャッタースピード、レスポンスもアップ。充実のフラッグシップというところでしょうか。

ちなみに、「X-T2」にシルバーは用意されていませんが、『数日前にオーストラリアのショップのページにあった、X-T2 のシルバーが消えている。』という記事が、噂サイトのFuji RUMORS に出ていました。ひょっとして、後日にシルバーモデルが登場する伏線かもしれません。

 

4K 動画に期待

まだ撮ったことのない4K 動画について、あれこれいうことは差し控えますが、「X-T2」の4K、かなり期待できるかも。

「4K記録は連続最大約10分まで」という仕様が、本格的な映像製作にはどうか… という気もしますが、「X-T2 スペシャルコンテンツ」にある、サンプルムービーはどれも美しい。

とくに、このモノクロ作品がフランス映画を思わせて、個人的に好みです。

これを撮影したと思われる映像制作者が「(X-T2は)モアレがない。シャープで、GH4(パナソニック)よりもっと映画的だ。」と言っています(Fuji RUMORS

上のモノクロ作品撮影のメイキング映像も見つけました(Vimeo より)。

X-T2 を手に入れたら、こんな映像が簡単に撮れそうに思えたりしますが…

でも、モデルから始まってアシスタント、機材など製作に必要なものが相当ありそうですね。

 

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関連記事・サイト

 ・「X-T2 スペシャルコンテンツ」(富士フイルムのページ)

 ・「X-T2 新製品体験イベント」(富士フイルムのページ)

 ・『富士フイルム、動体追従性を高めたミラーレスカメラ「FUJIFILM X-T2」』(デジカメWatch)



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