横須賀うわまち病院心臓血管外科

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横須賀市立うわまち病院のハートチームカンファレンス

2019-08-27 02:20:48 | 心臓病の治療
 最近は治療方針の決定はハートチームで協議のうえ、患者さんに最適の方針を決定する、ということが学会などでも言われています。
 たとえば、冠動脈疾患の血行再建治療において、カテーテル治療にするのか、バイパス手術にするのか、ということを循環器内科と心臓外科とで協議のうえ、方針を決定する、というようなことです。当たり前のようにも聞こえますが、特にこのカテーテル治療の場合は、主なゲートキーパーは一般には循環器内科であり、心臓血管外科との関係が良好かどうか、心臓血管外科の手術成績が循環器内科を満足させられているか、というようなことで治療方針が大きく左右されます。なかなか対等の立場、ということになりにくい面もあり、特に日本においては、循環器内科に治療方針の決定権がより大きく与えられていて、それがカテーテル治療の独走態勢を生んでいます。海外よりも、冠動脈バイパス術の比率がカテーテル治療に比べて低く、海外では3:1~5:1と言われている時代に日本では10年前に10:1だったのが現在では20:1になっているとも言われています。このハートチームの機能が効力を発揮している施設ほど、冠動脈バイパス術の比率が高くなるとも言えます。横須賀市立うわまち病院の場合は、カテーテル治療400件に対して冠動脈バイパス術40件ほどで10:1であり、全国平均よりは冠動脈バイパス術の比率が高くなっており、これは、ハートチームが機能している一つの証拠といえます。
 心臓血管外科としては当然、冠動脈バイパス術の比率が上昇するべく循環器内科に外科治療の有効性等についてアピールする、その場がハートチームカンファレンスでもあります。心臓血管外科としては、低侵襲な冠動脈バイパス術が実施可能である事、ハイブリッド治療によりカテーテル治療がしにくい部分だけ冠動脈バイパス術を低侵襲、小切開手術で実施し、残存した狭窄にはカテーテル治療を行うことを提案すること、心臓血管外科が実施する冠動脈バイパス術の成績が良好である事をアピールし、より選択を考慮されるように誘導すること、などをカンファレンスで実際には努力することになります。すなわち、仲良く治療方針を相談する場ではあっても、それぞれがより自分たちのやりたい治療を実現できるように協議(競技)する真剣勝負の場でもあります。
 こうしたカンファレンスを、横須賀市立うわまち病院では、火曜日心エコーカンファレンス、水曜日循環器カンファレンス、木曜日心臓血管外科カンファレンス、金曜日循環器カンファレンスと週に4回開かれています。循環器内科と心臓血管外科は車の両輪とも言われていますが、うわまち病院では病棟も外来もカンファレンスもすべて一心同体で運営されており、こうしたカンファレンスを通じて、より密接した関係を維持しています。
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