世の中には猫の好きな人が百万といることだろう。
私は 姫 が我が家の一員になるまで、猫のことなど、どうでもよかった。興味は皆無だった。
猫の飼い方も知らなかった。
我が家へ、 姫 を預けに連れて来た人は、餌と、トイレのセットを置いて、お願いしますと帰って行った。
姫 はその時3才くらいだったろうか。
夫は定年前で、まだ勤めに行っていた。
夫が休日など、たまに気が向いて、姫 と遊ぼうとすると、夫が差し出した手を、さっと自分の手で振り払う。まこと、そばで見ていても、なんとじゃけんで意地悪な可愛げの無い猫だろうと思ったことか。
夫が触れようとしようものなら、口をかっと開けて、威嚇さえする。完全に夫を無視していた。
夫は猫のこと、嫌いではなかったのか?たいして好きそうでもなかった。その頃から我が家の序列が出来て、一番を猫が勝ち取った。次が夫で、私は三番手。夫の世話はおざなりになっても、猫の僕に成り、世話に追いまくられていた。
その頃は、猫も元気。マンションに住んでいたから、運動が満足に出来ない。猫の玩具で、毎日2~3時間遊びの相手をさされた。許してくれないのだ。腹が立つと、どこへでも、おしっこをする。これには、参ったな。
夫が退職をし、犬が我が家にやって来た。犬はマンションで飼えないので。マンションは人に貸し、今の海が見える家に越して来た。
それなりに、犬と猫は仲良しであった。メス猫の 姫 はオスである夫の方が好きみたい。オス犬の 殿 とメスの私が気が合う。不思議と思った。そんな関係を築いていたが、犬が癌で亡くなった。姫 は 殿 の死を理解できていない。少し気になるのか、毎朝 殿 の小屋を覗きに行く。
今では夫に甘えるのがどんなに上手なことか。夫の足元にすり寄って「ニヤァーー」「ニヤァーー」と夫の顔をうるんだ目で見上げる。ひとたまりもなく、夫は陥落して、姫 の思うとおりの行動に付き従っている。庭に出たり、鬼ごっこをして、階段を上に下にと走っている。言葉が解るのか、鬼ごっこと言うと、後を振り返りながら走り出す。椅子の下に隠れたり、別の部屋に逃げ込む。追って行かないと、探しに戻って来る。猫の知恵の凄いこと。
殿 が亡くなって、寂しいが、姫 が充分に私達を癒してくれている。興味のなかった猫が、我が家の宝になり、生活を左右する存在になっている。
世の中の猫好き、犬好きの人々、それぞれの思いで、犬猫に接しているのだろうな。良く理解できる。姫 元気でいてよ。
無花果を採りてくれけり垣根ごし 葉
小鳥来る席ゆづり合う足湯かな 葉
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