大阪水曜ほっと集談会一世です。
森田先生の言葉を読みすすめていく中で、現代に生きる私たちに何かしら誤って解釈されて伝わっているのではないかと思うことがあります。
その一つが恐怖突入です。
これは、必要に迫られて不安を抱きながら行動した結果として、そうなることがあるということで、恐怖突入することが治る早道でも目的でもありませんね。
更に言えば努力即幸福です。
これも生の欲望に導かれて、努力している自分を幸福と感じる感性を述べたもので人間は常に努力しなければならないとかいう教条主義的な意味ではありません。
他にも悩みには意味があるとか、症状の背後には強い欲求があるとか、あるがままには受動的側面と能動的側面があるとか、どうも森田博士の説かれた内容がいつのまにか行動する事やその成果にすり替えられていると感じるのです。
症状の背景には、逃げられない家族関係や職場での強迫観念を生みやすい過酷なノルマや過労、ギスギスした人間関係などのブラックな環境も側面としてあると感じています。
経験上抑鬱などの症状には、特に明確な原因が見つからないこともあります。
なぜ私がこのような事を申し上げるかというと今の10代~30代の若い人たちに今一つ森田療法の本質が、きちんと届いていない気がするのです。
為すべき行動や人のために尽くすが、逆に彼らを追い詰めているような気がするのです。
ほとんど現在の発見会を運営しているリーダーは、私も含め昭和の時代を果敢に生きてきた人たちです。
努力すればそれなりに給与やポストに反映された時代を生きていた人たちです。
今はどうでしょうか?
非正規社員の割合が増え、働き方も随分変わりました。
様々な理由によりシングルで生きることを選択する人も多く、家族の概念も変わりました。
更に個人情報やハラスメントへの過剰な配慮により、若者の心に踏み込むことに臆病なオジサン世代の葛藤も感じます。
混迷の時代に森田療法を通じて私たちは、これから若者に一体何をどう伝えていくべきなのでしょうか?
2022.12.12 一世