浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

恩師の歌集「愛」より

偉大なる光の王に導かれ
我が身は動き口は語らん

「心行の解説」より。

2014-04-04 00:34:57 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

※ お写真はお釈迦様がお生まれになったルンビニに建立されている仏塔です。
   仏塔は当時の全インドを制定されたアショカ王の寄贈によるものです。


           ~ 恩師の「心行の解説」より ~


先の続き・・・

竹藪の中に入って手頃な竹を見つけ片足をその斜面にあげて落ちないようにしてから
鉈を振り下ろした時、自分の足をスパッと切ってしまったのです。
足の外踝の上十センチ辺りに鉈が当たってしまいました。
ここは案外血管も少なく骨が近いところですからパカンと割れて真っ白なみと中の骨が見えています。
さあ、これはえらいことをしたと思いました。
もし畑とか仕事をしていて怪我をしたのなら、「お母ちゃん、えらいことをした、何とかして」と言えるのですが、
嘘をついて隠れて悪いことをしたのだから言うこともできません。
まず血が出ないようしなくてはいけないと考えたのです。

私は田舎で育ったので薬草や血止めの草のことをよく知っていましたから、血止めの草を取って、
ぐっとしぼって傷につけて、その上から血止めの葉で押さえ、ここを何とか括らなくてはいけないと思って、
やっと道まで出て来て、道の端に落ちていたボロ布で足を縛ったのです。
「えらいことをしたなあ、何と言って言い訳をしようかなあ」と七歳の幼い頭で一生懸命考えたのですが、
いい考えが出て来ません。家の近くまで帰って、私の家と隣の家との
間が一メートル近く空いているところへ、冬の間は田の稲を干す長い木が使わないでかこってあるのですが、
その隙間へ入って、「どうしようか、どう言って親に言い訳をしようか」
と思いあぐねていました。他の山へ木を切りに行って、自分の足を切ったと言えば怒られますから、
何とか逃れる方法はないものかと考えているうちに外が暗くなり、
もう仕方がないから勇気をふるって家の横の入口から「ただいま」と言って入ったのです。

「遅かったなあ、今まで何してたのや」と母が聞くので、「友達の所で遊んでいて怪我をした」と言ったのです。
その時、母は「ちょっとみせてごらん」と言って「こんな汚い布で。
どうして向こうのおばちゃんに行って按配してもらわなかったのや、こんなえらいことになっているのに、
痛かったやろう」と薬を塗り、新しい包帯をしてくれたのです。
その時、私は大きな嘘をついているのですが、親はそんなことには関係なしに、
「ああ痛かったやろうなあ、可哀そうになあ、辛かったやろう」
「友達のお母ちゃんはなんで按配してくれんじゃったろう」と言ってくれたそのことを、
ずっと反省させていただきました。


               ~ 感謝・合掌 ~






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