ミラクルな夜~その2 炙り焼き
谷村新司さんの<音帰しコンサート>が
行われたNHKホールを後にして
カヨコさんと、タクシーに乗り込む。
”西麻布へ”
大人の、隠れ家
昨年の夏に、カヨコさんに連れて来ていただいた
西麻布のバー。
そこの2階で美味しい炙り焼きが食べられる、というので
カヨコさんにお願いして
連れて行っていただく。
ここは、オーナーさんの意向で
限られた人しか入れないし、
お店の場所も非公開。
でも、中に入ると
お洒落なのだけれど、
ほんわかとした空気が流れていて
時間が過ぎるのを忘れてしまう。
日本各地の焼酎がずらり
のどもカラカラ、
お腹もペコペコ、
私たちはまず、で乾杯。
カウンター越しに、ユウさんが
ピカピカな、本日の食材を持って現れる。
ユウさんが、バイクで日本全国をまわり
<ホントウニ、オイシイモノ>
だけを炭で炙って、頂く。
私も<食>の仕事の従事者だけれど
こんなにひとつ、ひとつの食材が
驚くような、食材の本来の甘味や苦味、
触感で頂いたのは、はじめて
”このトマトはどこの?”
”徳島”
”このお魚は?”
”長崎”
”このハマグリは?”
”千葉”
”この鶏は?”
”福島”
まるで、私たちもバイクにのって
日本各地を巡っているような感覚に、なる。
カヨコさんは<ナチュラリスト>でもある。
すごい標高の山でスキーをしたり、
大海原をカヌーで渡り、イルカの群れに遭遇したり・・・
そのカヨコさんの原点、
故郷の長崎の島の話になった。
”海が透明で、エイッとさざえをつかまえたり、
ゆらゆらとした小船の上でお昼寝したり・・・。”
長崎、といえば
私の母方の曽祖父母も長崎生まれ。
”同じ土地の血が流れているねぇ”
と、私たち。
長崎(九州)人の気質について話す。
ユウさんがそれを聞いて、目の前にドカッと1本。
壱岐の、焼酎
私の曾祖母の故郷、壱岐の焼酎だ。
カヨコさんとは何でもお話するけれど
その日は私の夢について
はじめて、カヨコさんに話をした。
私の夢は2つ、ある。
ひとつは今のお店をキレイにすることだ。
(いわゆる、改装という話ですが)
もしかしたら、来年の2月にかけて
これは実現しそうで、
しかも、
カヨコさんの会社はインテリア(内装)も手がけることを
知った私は、
”カヨコさんと出来たら、素敵ですね”
なんていう、話になっている。
そして、もうひとつの夢が
<映画をつくること>
私の曽祖父は日本の映画の草創期の人間で
日本活動写真株式会社の創設者でも、ある。
現存している日本最古のフィルムで有名な
<白瀬中尉の南極探検フィルム>は
大隈重信氏に依頼され、曽祖父の会社がカメラマンを派遣して
撮った映像だ。
映画で築いた莫大な資産を
盟友である、孫文先生の辛亥革命、
その志士らに投じていった人物なのだが
その曽祖父の、叶えられなかったことが、2つある。
ひとつは、日中戦争を阻止すること。
もうひとつは、<大孫文>という映画をつくること。
私は、
昨年の6月、上海国際映画祭の前夜祭のパーティーで
スピーチをした時に、
(この日は、新月でした・・・)
ふと、その時に、降りてきたことが、あった。
曽祖父と孫文先生の<映画を日中共同でつくる>こと、だ。
そう、それが、私の夢の2つめ。
曽祖父の夢が、私に降りてきたのだと、思う。
信濃 戸隠のそばをいただきながら・・・
カヨコさんに、その夢を熱く語ったすぐ後のこと、だった。
・・・・
私は息子に、この夢の映画のことを話す時がある。
つい、前日の朝、通学の車の中で
”主役のおじいちゃまの役の候補も
ママ、決めているんだよ。”
”へぇ~、誰?”
”俳優の、Kさん。顔が小さくてちょっと
おじいちゃまに似ているし、
演技も素晴らしいし、イメージなんだなぁ・・
主題歌はモチロン、日本でも、中国でも活躍している
谷村さんなんだ”
と、話していた。
・・・・
カヨコさんが、
”1階に場所移して、飲もうか”と言って、
後ろを振り向いたとたん、
私は自分の目を疑った
というか、雷に打たれたような
信じられない現実が、そこにあった。
なんと、後ろを振り向いたら
そこに、
<夢の映画の主人公の候補>である、
俳優のKさんが、いたのだった
・・・・信じられない・・・・
私は、正直、身震いさえ、したかもしれない。
だって、今、その<夢の映画>について
カヨコさんと話したばかり、で
つい前の日の朝、
息子に主人公の候補なんだよ、と話していたばかり、の
まったくの私の頭の中で勝手にあれこれ空想している
夢の映画の主人公が、
<そこにいる>のだもの
1階のバーのソファに座り
私は、このミラクルな夜に乾杯した。
幾つも、幾つも
キラ星が降りてきた夜、だった。
その降り注いでいる、目には見えないけれど
素晴らしい光たちに、感謝を捧げた、
ミラクルな夜の、話
谷村新司さんの<音帰しコンサート>が
行われたNHKホールを後にして
カヨコさんと、タクシーに乗り込む。
”西麻布へ”
大人の、隠れ家
昨年の夏に、カヨコさんに連れて来ていただいた
西麻布のバー。
そこの2階で美味しい炙り焼きが食べられる、というので
カヨコさんにお願いして
連れて行っていただく。
ここは、オーナーさんの意向で
限られた人しか入れないし、
お店の場所も非公開。
でも、中に入ると
お洒落なのだけれど、
ほんわかとした空気が流れていて
時間が過ぎるのを忘れてしまう。
日本各地の焼酎がずらり
のどもカラカラ、
お腹もペコペコ、
私たちはまず、で乾杯。
カウンター越しに、ユウさんが
ピカピカな、本日の食材を持って現れる。
ユウさんが、バイクで日本全国をまわり
<ホントウニ、オイシイモノ>
だけを炭で炙って、頂く。
私も<食>の仕事の従事者だけれど
こんなにひとつ、ひとつの食材が
驚くような、食材の本来の甘味や苦味、
触感で頂いたのは、はじめて
”このトマトはどこの?”
”徳島”
”このお魚は?”
”長崎”
”このハマグリは?”
”千葉”
”この鶏は?”
”福島”
まるで、私たちもバイクにのって
日本各地を巡っているような感覚に、なる。
カヨコさんは<ナチュラリスト>でもある。
すごい標高の山でスキーをしたり、
大海原をカヌーで渡り、イルカの群れに遭遇したり・・・
そのカヨコさんの原点、
故郷の長崎の島の話になった。
”海が透明で、エイッとさざえをつかまえたり、
ゆらゆらとした小船の上でお昼寝したり・・・。”
長崎、といえば
私の母方の曽祖父母も長崎生まれ。
”同じ土地の血が流れているねぇ”
と、私たち。
長崎(九州)人の気質について話す。
ユウさんがそれを聞いて、目の前にドカッと1本。
壱岐の、焼酎
私の曾祖母の故郷、壱岐の焼酎だ。
カヨコさんとは何でもお話するけれど
その日は私の夢について
はじめて、カヨコさんに話をした。
私の夢は2つ、ある。
ひとつは今のお店をキレイにすることだ。
(いわゆる、改装という話ですが)
もしかしたら、来年の2月にかけて
これは実現しそうで、
しかも、
カヨコさんの会社はインテリア(内装)も手がけることを
知った私は、
”カヨコさんと出来たら、素敵ですね”
なんていう、話になっている。
そして、もうひとつの夢が
<映画をつくること>
私の曽祖父は日本の映画の草創期の人間で
日本活動写真株式会社の創設者でも、ある。
現存している日本最古のフィルムで有名な
<白瀬中尉の南極探検フィルム>は
大隈重信氏に依頼され、曽祖父の会社がカメラマンを派遣して
撮った映像だ。
映画で築いた莫大な資産を
盟友である、孫文先生の辛亥革命、
その志士らに投じていった人物なのだが
その曽祖父の、叶えられなかったことが、2つある。
ひとつは、日中戦争を阻止すること。
もうひとつは、<大孫文>という映画をつくること。
私は、
昨年の6月、上海国際映画祭の前夜祭のパーティーで
スピーチをした時に、
(この日は、新月でした・・・)
ふと、その時に、降りてきたことが、あった。
曽祖父と孫文先生の<映画を日中共同でつくる>こと、だ。
そう、それが、私の夢の2つめ。
曽祖父の夢が、私に降りてきたのだと、思う。
信濃 戸隠のそばをいただきながら・・・
カヨコさんに、その夢を熱く語ったすぐ後のこと、だった。
・・・・
私は息子に、この夢の映画のことを話す時がある。
つい、前日の朝、通学の車の中で
”主役のおじいちゃまの役の候補も
ママ、決めているんだよ。”
”へぇ~、誰?”
”俳優の、Kさん。顔が小さくてちょっと
おじいちゃまに似ているし、
演技も素晴らしいし、イメージなんだなぁ・・
主題歌はモチロン、日本でも、中国でも活躍している
谷村さんなんだ”
と、話していた。
・・・・
カヨコさんが、
”1階に場所移して、飲もうか”と言って、
後ろを振り向いたとたん、
私は自分の目を疑った
というか、雷に打たれたような
信じられない現実が、そこにあった。
なんと、後ろを振り向いたら
そこに、
<夢の映画の主人公の候補>である、
俳優のKさんが、いたのだった
・・・・信じられない・・・・
私は、正直、身震いさえ、したかもしれない。
だって、今、その<夢の映画>について
カヨコさんと話したばかり、で
つい前の日の朝、
息子に主人公の候補なんだよ、と話していたばかり、の
まったくの私の頭の中で勝手にあれこれ空想している
夢の映画の主人公が、
<そこにいる>のだもの
1階のバーのソファに座り
私は、このミラクルな夜に乾杯した。
幾つも、幾つも
キラ星が降りてきた夜、だった。
その降り注いでいる、目には見えないけれど
素晴らしい光たちに、感謝を捧げた、
ミラクルな夜の、話