YNWC的な日常

街の中でも季節を感じて暮らしたい。生き物や自然のの話を中心に美味しい食べ物、散歩のことなど綴っていきます

密着42日間!アオスジアゲハの卵から羽化まで

2022-05-22 06:00:00 | 昆虫・蜘蛛



小満になると、虫たちの活動も活発になり、ついに羽化した成虫たちが新たに産みつける卵も目立ってきます。

そんな卵を持ち帰り、育ててみるとものすごくたくさんの発見があるものです。育てるからには覚悟も必要ではありますが、ついつい持ち帰って、途中で後悔するのです。

写真はアオスジアゲハの卵。



とても綺麗な蝶です。

翅の青い部分には鱗粉がなく、元の羽の色が見えています。逆に黒い部分は鱗粉で覆われています。



さて、この美しいチョウはクスノキの葉を食べて育ちます。



クスノキは巨木、古木も多い、常緑高木。アオスジアゲハの幼虫は木の高いところで育つとばかり思っていたのですが、意外にも下の方に生えてくる新芽にたくさんの卵が産み付けられているのです。



クスノキはこの季節に新芽を伸ばすんですね。そして、そこを狙って産卵するわけです。なるほど〜。

卵はしばらくすると透けて、中の様子が見えてきます。



孵化が近い証拠です。顕微鏡で見ると、中でもぞもぞしているところも見えるのでびっくり!!



孵化したての幼虫は黒くてトゲトゲしています。これが脱皮すると、抹茶色の頭でっかちなニ齢幼虫になります。


いつも同じ葉で休み、葉を食べに出掛けてはまた同じ場所に戻ってくるようです。

そうして4度ほど脱皮を繰り返し、食べる量も出す量もどんどん増えていきます。初めは柔らかい新芽しか食べないのですが、最後はかたい葉もバリバリと…。



ちなみに、葉があるからと安心してはいけません。かたすぎたり、枯れかかってきていたりすると、餌切れを起こします。

そんなわけで、夜中にあわてて餌をとりに行ったりしつつ、ようやくこぎつけた蛹化。



ここまで来れば一安心。あとは羽化を待つばかり。

やがて目とおぼしき膨らみが見えてきて、中の翅もすっかり透けて見えるようになります。



ついに羽化の始まりです。殻が破れて体が全部出るまでの時間は5分とかからない早業。

そしてその途中、殻の中に蛹便(余分な体液)を出します。



出てきたアオスジアゲハは、体液を羽に送り込み徐々に広げていきます。時間にして1時間ほど。

わずか1mmで生まれてきたあの幼虫が、青く輝く美しい姿に変身!!
いったいあの殻の中にどうやって収まっていたのでしょうか。
 
生き物を飼育するのは、本当にハラハラドキドキの連続。毎回命を預かるということの重さを感じます。
だからこそ無事に育ってくれた時の安堵感と感動はひとしおです。

さてさて、アオスジアゲハの飼育の記録を動画にまとめてみました。脱皮や羽化の様子も何とか撮影できましたよ。3分ほどですので、よろしければご覧ください↓




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カイコの季節!クワの実熟す!!

2022-05-21 06:00:00 | 七十二候



今日から季節は「小満」。初候は「蚕起食桑(かいこおこってくわをくらう)」。

クワの実も熟す頃です。

日本では野山で木からもいで食べるイメージですが、コロナ前にタイに遊びに行った時、市場に並んでいて驚きました。



赤と黒の実が入っていて、見た目に美味しそうですが、黒く熟したものの方が甘味がありますよね。

ジュースも売っていました。



英語ではマルベリー。
ジャムなんかにもするようです。

 

クワと混同しやすいのが、コウゾ。和紙の原料になる植物。葉が似ているうえ、どちらもの葉も変形が多く、慣れていないと見分けが難しいかもしれません

コウゾの方が丸に近い実をつけますが、これも個体差があります。味はクワと同じように甘いです。

さらにヒメコウゾという植物があり、こちらもよく似ています。ところが実は味こそ一緒ですが、かなり粘つき、毛のようなものがたくさん口に残るので後味が悪いです(^^;;

口に入れるなら、俵型をしたクワの実が安心。


ただ、クワの実を狙っているのは人間だけでないから要注意。特に手強いのは、チャバネアオカメムシやクサギカメムシなどのカメムシ。

もちろんカイコもクワを食べますが、カイコは野生には存在しません。原種はクワコ↓



そのクワコを長い年月をかけ、改良に改良を重ねたのがカイコです。カイコは蛾でありながら、もはや飛ぶことができません。そもそも繭を作った時点で茹でられ、身包み剥がされてしまうわけで…。

今では養蚕業がほぼ廃れてしまったためルールが変わりましたが、昔は成虫を野外へ逃すことも禁止されていました。完全に人間のために管理された家畜。莫大な財をもたらす金の卵。おカイコ様。、

ちなみに養蚕農家では、カイコの卵を「タネ」、「蚕種(さんしゅ)」と呼んだそうです。



それが孵化するのがちょうどこの頃。養蚕シーズンのスタートです。

新鮮なクワの葉を朝も夜も食べ続け1ヶ月くらいかけて繭を作ります。



新幹線のような終齢幼虫ともなると、ものすごい勢いでいで葉を食べるので、農家の人々はまとまった睡眠時間が取れなかったそうです。

カイコが生み出す絹糸は高値で売れたため、そこまでして育てる価値があったのでしょうね。

今では日本の養蚕は衰退してしまいましたが、世界的にはいまだに成長が止まらない産業です。

以前、手違いで300近いカイコを育てることになりましたが、それはそれは大変でした。養蚕農家では5万頭育てて初めて1人前と認められたそうなので、気が遠くなりそうです。

蚕起食桑。

農家の人々にとって、それは決戦の幕開けだったのかも!!



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小満

2022-05-20 18:00:00 | 歳時記



陽気が良くなり、万物の成長する気が高まり、天地に満ち始める季節、それが小満。


「小さく満たされる」って、なんだかいい感じ♪それくらいが幸せなのかも。


小さな卵から幼虫が孵化したり…


孵化直後に卵の殻を食べるアゲハの幼虫

小さな種子が芽を出したり…



そして日に日に成長したり…

森の中で、草むらで、我が家の小さな庭の中でも、生き物たちの命のドラマが繰り広げられる季節。
そんな生き物たちの様子をじっくり観察すると、小さな命に備わった素晴らしい能力に驚かされます。












〜七十二候のページ〜

初候(5/21頃〜)→ 蚕起食桑
次候(5/26頃〜) → 紅花栄
末候(5/31頃〜)→ 麦秋至




【二十四節気・七十二候とは】
旧暦(太陰太陽暦)が使われていた時代、季節のずれを調整するために作られたのが二十四節気。地球の周期をもとに、夏至と冬至、春分と秋分を設け、さらにその間を分けて1年を24等分して、季節の特徴を表した言葉を当てています。しかし、梅雨や台風などがない中国で作られたものがそのまま使われているため、日本の季節とは多少ずれるところもあります。
七十二候は二十四節気をさらに3等分ずつして、季節の特徴を当てはめたものです。日本独自に作り直された経緯があり、より、日本の季節にあったものとなっています。


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カルミア〜驚きの受粉システム〜

2022-05-20 06:00:00 | 樹木




カルミアはアメリカ原産のツツジ科の植物。甘いお菓子のような名前ですが、植物学者カルムさんにちなんでつけられたようです。

日本では庭木や公園木として植えられ、お椀型をした花の姿から「花笠シャクナゲ」とも呼ばれています。金平糖のような蕾も可愛らしい♪



しかしこの可愛らしい花の形には、受粉のための巧妙なシステムが隠されているのです。

というわけで、カルミアの花をよく見てみましょう。



雌しべは普通についているのですが、雄しべは先端の葯の部分を花弁のくぼみに埋まっています。

横から見るとこんな感じ↓



蕾の時に金平糖のように見えるあのゴツゴツは、雄しべの葯を格納するためのスペースだったのです。

もちろん、このままでは受粉できません。

子孫を残すためにいちばん手軽な方法はは自家受粉です。しかしながら、多くの植物はそれをしません。代わりに風に花粉を飛ばしてもらったり、虫に運んでもらったりします。

自家受粉では、遺伝子が混じり合わないため、同じ形質の子孫しか残せないからです。そのため、カルミアは同じ花の中で雌しべと雄しべが距離を保てるよようにできています。



そして、花粉の媒介者である虫が花に着地したとき、葯は格納庫を離れ、虫の体をめがけて勢い良く投げ出されます。それは投石機を思い起こさせる動きです。なんて、攻撃的!!



矢印の部分の葯が飛び出しているのがわかるでしょうか?

このとき、雌しべは高い位置に伸びているため、両者がぶつかり合わないようになっているようです。

しかも雄性先熟との記述を見かけましたので、雌しべはまだ受粉できる状態でないものと考えられます。

やがて時間が経つと、葯は再び格納庫へと戻って行くそうです(これは自分では観察していません)。


徹底した分別と、何度も受粉の機会を狙うこのシステム。可愛らしい花の形はカルミアという種の存続にかける執念(知恵?)が形になったものだったのです!!

このことは、見た目から勝手に可愛らしい想像を巡らせていたわたしにとって、衝撃的な事実でありました。

動画も撮れたので是非ご覧ください↓



わたしは、このことをずっと昔に参加した研修会で教えていただきました。その時の講師の先生はこのことを自分で観察して発見したそうです。すごい!!

カルミアは庭木や公園木として普及しています。観察できそうな花を見つけたら、中心をちょこんとしてみてください(*^_^*)



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庭のバラを楽しむ7つの方法

2022-05-18 07:37:00 | ガーデニング


我が家の小さな庭で一際目立つ大輪のバラ。横浜の名を持つ「はまみらい」様です。サーモンピンの美しい花を咲かせてくれます。



香りも良く、とってもゴージャス♪
せっかくならとことん楽しみ尽くしたい!

…というわけで楽しむための7つの方法!!

まず1つ目はそのまま愛でる!



たった1輪でもなかなかの存在感。

続いて2つ目の方法は切り花にして室内で1日中愛でる!!



切った後もちゃんと成長を続けてくれる生命力!
美しさだけでなく、なんでたくましい!!

綺麗に咲いた花を摘んでしまうことには勇気もいりまが…



外にあるとあまり眺めずに終わってしまうし…

もっと長く楽しむために、吊るして楽しむのもいいですね。これで3つ目。



ちなみにバラはドライフラワーになりやすく、乾燥することで色が濃くなります。



単体で吊るしたり、他の植物と組み合わせて吊るしたり…





せっかくドライになったなら、さらに長持ちさせるため、保存容器へ移しましょう。これが、4つ目。





セリアで見つけた円柱型のコレクションボックス。



グリーンモスの下に隠れるようにして乾燥剤を入れています。



さらに色鮮やかに残したいなら、乾燥剤でドライフラワーに!5つ目


完成したら、乾燥剤とともに容器入れて密閉。


乾燥剤で乾燥させたドライフラワーは自然乾燥のものよりさらに湿気に弱いので、乾燥状態をキープすることが長持ちの秘訣。

それから、「はまみらい」様は目で楽しむだけでなく、食べても楽しめます。6つ目の方法はジャムにする♪


味を楽しむというよりは、色と香りを楽しむ食べ物。

バラジャムを入れた紅茶を楽しむティータイム。なんて優雅!!
気分は貴婦人(笑)

そして最後7つ目の方法は香りを楽しむポプリ。



普通に花びらを乾燥させたものも良いですが、香りを塩に移すモイストポプリという楽しみ方もあるようです。



要するに花びらの塩漬け。熟成して塩に香りが移ったら、瓶から出して香りを楽しみます。顔を近づけて初めてわかるくらいの香りですが、香りは長持ちするようです。



モイストポプリ(塩)の上に、普通のポプリ。さらにアロマオイルを垂らして香りを追加しても楽しめます。

小さな庭ですから数はほんの少しなんですけどね。だからこそ、あれこれ工夫して楽しまないと♪

紹介した7つの方法は、もちろんバラ以外の植物でもできるものが多いです。ガーデニングは育てる楽しみだけでなく、飾る楽しみも奥が深い!!


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