大村正次著「春を呼ぶ朝」―神様に召される前
―逝ける妹ふさ子の霊に捧ぐ―
通 夜
―それは死ぬ直ぐ前の日曜のこと
ふと寝てゐた頭をもたげ
今日 兄さんが歸られぬかしら
しきりに
(おゝ
煮えた重湯を下ろしながら母は答へただよ。
あの子はよろこんで寝たよ。
高村光太郎
あなたの詩をはじめてよくよみましたが。今朝秋晴の中で十五頁までよみ、この生きた心の匂につゝまれました。もっとよみ味ひたいと思ってゐます。
杉江重英 (←クリックで人物紹介)
「神様に召される前」四編はいづれも肉親の死の前後をうたつたものであるが、この四編はどれもよい。
中でも「通夜」「八文字柿」「神様に召される前」は特によいものだ。