
[北海道新聞 昭和26年7月6日付]
我が母校、北海道立旭川東高等学校には、単調ながら哀調を帯びたメロディーの逍遥歌があります。作詞者は大村正次という生物の先生であったことを最近になって知りました。調べた結果何と昭和初期の富山県では「日本海詩人」という詩誌の主宰者となり、詩集「春を呼ぶ朝」を刊行した抒情詩の草分け的な存在ということでした。
作者がわかって、その人となりを知るにつけ逍遥歌はわたしにとって特別な歌になってます。
特にその五番の歌詞・・
―かくまで遠く来しものを―
―故郷母の呼ばふなり―
大村正次は室生犀星と同郷の誌友なので、誰もが口誦める「ふるさとは遠きにありて思ふもの」に相通じる抒情的な余韻を感じますが、逍遥歌は詩人・大村正次のふるさとを愛し母を愛する気持ちの発露なのだと思います。
詩集「春を呼ぶ朝」を読むと、あらためて恩師・大村正次は母と子の愛を詠う詩人であったことに深い共感と感動をおぼえるわけであります。

摂津国の怪人
旭川東高生逍遥歌 (←クリックすると同窓生・飛世政和さんの動画にリンクして逍遥歌が再生されます。)
作詞:大村正次 作曲:後藤 功