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父の手紙 満洲から その2

2008年06月05日 | 季節の便り
ユキノシタ この花には玩具の趣がある


正確な年代は判らないけれど、当時父の年齢は35歳前後だと思われる。
満州に永住する積もりはなく短期的な出稼ぎという感覚だったようだ。

前に十三日に間島市の可野さん宅から第三信を出して翌日、苦力を連れて東盛湧へ来ることは知らしたと思うが、浜さんと二人で東盛湧へ来て苦力小屋を建てるわけですが、浜さんという人は気の弱い全然役に立たない問題にならない人で、その日の内に間島市に帰ってしまった。
それで私は西も東も解らない土地へ一人で放り出されて、只一人で何も知らない苦力小屋を建てなければならない破目になってしまった。
それも満語が更に出来ないので苦力達(十七人連れてきた)に話が通じず全く困り抜いた。
しかし私は遂々一棟五十人入れの小屋四棟と、すい事場三棟建て上げました。
材料は小屋を建てる場所から、小一里も離れている組というよりも軍の経理部の倉庫から運ぶのです。
荷馬車をやとえば訳はないのですが、土地の勝手がわからず言葉が通じないのでそれを頼む訳にもゆかず、全部苦力の肩で運ばせました。
コメント (1)
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