常念が見える部屋から

ここから北アルプス常念岳が眺望できます。
季節の移ろいに写真を添えて発信します。

父からの手紙 6

2008年06月10日 | 季節の便り
サルナシの花
川沿いの樹木にサルナシの蔓が絡まって果樹園の棚の様相である。
深山の珍しい植物と思っていたサルナシが、人家の間近に茂っていることに驚いた。見るほどにキーウィフルーツに似ている。



「それから伯母はまだ来ないらしいが、向こうも要二郎の方への気兼ねが多過ぎて居づらいだろうと考えるから、来なければ来ないで好い覚悟をきめなさい。
成程寒いうちこそ他人の所は辛い苦しいと思っても、幾分にても暖かになればそれは忘れてしまって、自分さえよければ他の為に骨を折ってやるなどという気は更にないのだから、家に来ればお前も多少楽にはなるが、しかし苦労も増えないわけではないから、一層来なければ来ないで宜しい。
それから、退去届はたしかに受け取った。しかし返電は着かなかったよ。
それからトランク代二十円返して呉れて有難う。
それに叔父にはこちらで、可野さんの奥さんから、苦力頭へ渡して呉れと預かった五十円を叔父が金がないと言っていたので叔父に融通してしまったから叔父からの借金は済んだよ。
尤も叔父は月末には千円ばかり這入るそうだからそれは返すし小遣ひ位少々寄越すと言っているが。」
コメント
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