常念が見える部屋から

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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

父からの手紙 3

2008年06月06日 | 季節の便り
シラン

色褪せた便せんに万年筆でびっしりと書かれた父の手紙を読みながら、何一つ知らなかった事実を噛みしめた。
このことを口で語れる人は誰もいない、せめて私より当時の事情を覚えているであろう姉二人にあって、父の手紙に奥行きを求めたいと思った。


「手紙では詳しく書いていられぬから簡単にしておくが、このように自分一人にばかり苦労させて、浜さんが可野さん宅にぼんやりしているのを可野さんの奥さんは大変憤慨して浜さんとものも言わなかったという。
これは無理もないので、一体可野さんは初めから何も知らない私に苦力小屋を建てさせる気はなく、多少でも事情に明るい浜さんに頼んで置いて四平街へ立ったのです。
それを浜さんが役に立たなかったので私にお鉢が廻ってしまったのです。
実際大変苦労したよ。しかし今ではもう私が可野組の現場主任格で、組から何を持ち出すにも自分の認印がなければならず、私が一切切り回しています。
満語も多少出来るようになり仕事の方面もすっかり明るくなりこの二、三日漸く落ち着けるようになりました。」

コメント
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