赤とんぼ
正派創始百周年記念筝曲演奏会
子ども3人に孫一人を加えて演奏会を聴きに行き、休憩時間にホールの喫茶店で子供たちとコーヒーを飲んだ。
こんな形のコーヒータイムは今までありそうだけれど、なかったと思う、多分初めてだろう。
いろんな話を聞いた。
隼人は夏休みに西穂山荘でアルバイトしたこと、冬山登山の装備購入に充てるのだという。
危ないことするなよ、というのが正直な気持ち
高齢者施設で働く子供の話
「90歳をこえるショウトステイ利用者が午後になって、かたくなに家に帰ると云いだした。
この人は神奈川県大和市からS市の孫に引き取られそこで生活している、曾孫さんの行事に家族で出かけるので、施設で預かった。
午前中楽しく過ごしたのだが、午後になると急に人が変わったようになってしまった。
もう遅いから、家(大和市)に帰ると駄々をこね、もうすぐ自動車が迎えに来るからといっても納得せず、歩いて帰ると云いだした。
そして、電源が切られた自動ドアを、体全体で開き、外に出てしまった。
後を追うと、外に佇んでいた彼は、何かを探すように目の前にそびえる山を眺めながら「あの山はなんというのか」と聞いた。
山の名前を聞き、遠くにいることに気が付いたようだ、すっかり萎れて「中で待たしてくれ」といって室内に入り、廊下の片隅の椅子に座った。
「若い者が一生懸命働いているのに、私が一日遊んでいるわけにゆかない、早く帰らないと申し訳ない」と迎えの車が来るまでいい通した。
話を聞いて、私は『何とも切ない話だね』とだけいった。