家の中が芳香に包まれている
春の先触を告げる文旦が届くようになって何年になるだろう。
今年も香り高い文旦が南国土佐から送られてきた。
勿論私の手元に届くまでに、大勢の方々の手数を煩わせているのだけれどそれは省略する。
例年何箱か送っていただき、地元の文旦フアンに頒布する。
始めた当時 文旦を知っている人は少数派で、珍し物がり屋の域を出なかったが、最近になってスーパーの果物売り場に並ぶようになった。
抑えられた甘さと、程良い酸味が信州人の味覚をくすぐるのか人気が高い。
家の中が芳香に包まれている
春の先触を告げる文旦が届くようになって何年になるだろう。
今年も香り高い文旦が南国土佐から送られてきた。
勿論私の手元に届くまでに、大勢の方々の手数を煩わせているのだけれどそれは省略する。
例年何箱か送っていただき、地元の文旦フアンに頒布する。
始めた当時 文旦を知っている人は少数派で、珍し物がり屋の域を出なかったが、最近になってスーパーの果物売り場に並ぶようになった。
抑えられた甘さと、程良い酸味が信州人の味覚をくすぐるのか人気が高い。
地上の星
仕方がないから携帯電話を買いに近くのショップに行った。
ショップは順番待ちのお客で溢れていた、3月期の休日はいつもこんな風に混雑するらしい。
1時間ほど待って窓口に呼ばれた、担当者に顛末を話すと、パソコンキーを叩いて「お客様は紛失保険に加入していましたので、安い費用で更新できますがいかがいたしましょうか」という
今流行のスマホに変えてみようかとの思いもあったが、私の携帯電話の使用目的は単に通話だけである、迷うことなく補償サービスを受けることにした。
しかし そのためには警察が発行する携帯電話紛失届受理番号が必要だという。
帰りに交番によって紛失届を提出し、受理番号をいただいた、アルファベットと数字の19桁である。
家に帰って補償サービスセンターに電話で手続きを終えた。
同じ機種はないけれど同種の最新型を宅配便で明日届くように送ってくれるという。
凄く得したと思う反面、これからのデータ入力を思うと暗澹とする。
屋根の烏が持ち去ったのではない事は確かだ
昨日 雨の中を東京に行ってきた。
春先に相応しいウキウキするような会議ではなく、避けては通れないのだけれど、できれば先送りしてしまいたい部類に属する会議であった。
会議は難航が予想されていが、司会者の絶妙なリードで方向性が決まりレールが敷かれ安堵した。
しかし この日の一連の行動の中で携帯電話を紛失してしまった。
日常当たり前に使っていた携帯電話がなくなって、その便利さに気付いた。
連絡の利便性が瞬間に消えて、昭和の時代に戻ってしまった。
バックアップの重要性を再認識した。
私の様に、単に通話機能だけを託した電話でこのありさまである。
あらゆる機能と情報を詰め込んだ流行りのスマホを失くしたらどうなるだろう。
高機能な電話は持ち歩いてはいけないと悟った。
ドコモセンターに連絡して紛失電話の機能停止手続きの折り「貴方は3年前にも紛失しましたね」といわれた。
その時も出張先は東京だった。
倒木の先が新しい農道を遮断していた。
先週の雪で、道路を塞ぐ倒木があった。
冬季間使う事がない道路なのでだれも気付かなかったらしい。
通行者の通報で倒木を知った町会担当者から、私のところに連絡があった。
山林の所有者が私の遠縁にあたることを知っていたからである。
担当者には所有者に連絡することを約して、現場の確認に向かった。
日陰の道なのでまだ残雪があり、雪は昨夜からの暖気に溶けて側溝に流れ込んでいた。
現場では直径30センチを超える落葉松の大木が道路をまたいで見事に倒れていた。
この落葉松を植林した当時をおぼえている。父の従兄がその家の当主で私も植林を手伝ったように思う。
確認の結果、通交を妨げる部分を切断し、車の通行を確保することは難しいことではないと判断し作業に取り掛かった。
驚いたことにこの大木は枯れていた。
枝を払い、幹を短く切断して短時間で応急作業を終えた。
後は所有者に託すべく連絡した、従兄の子供同士だからハトコである、普段の付き合いは疎遠だ。
ハトコは恐縮し、業者に依頼し早急に処理すると言ってくれた。
細かな春雨の降る朝の出来事であった。
旧道を塞ぎ下方の農道を遮断した倒木
今朝 初めて北側の窓から朝日が差し込んできた。
北向きの冷たい部屋のカーテンに淡い光の模様が揺れている。
春彼岸がそこまで来ていた。
少し早いと思ったけれど、昨日 前会長のお宅に伺いご夫妻の彼岸参りを済ませた。
仏壇の御二方の遺影に向かうと、普段忘れ掛けていたことをしみじみと思い出した。
会長も奥様も、私達も皆若かった。
常念新雪
東京から深刻な話を持って来たお客さんが 、快晴の空に映える新雪の常念を仰いで感嘆の声を上げた。
それほど昨今の松本から見上げる常念は迫力を持って迫る。
今年はまだ常念坊の雪形は、その兆しすら感じられないけれど、たなびく一条の雲に季節の移ろいを感じる。
仲介した深刻な話は、様々な課題は残したものの和やかに前進した。
東雲
ホー ホーと夜明けの森で梟が鳴いた。
毎年この季節に渡ってくるようだ、梟は子供のころ神社の古木の洞に毎年雛を育てていた。
台風で老木が倒れてから、身近に鳴き声を聞く事もなくなったが、森の中で今も営巣しているのだろう。
久しく森に入ることはなかったけれど、洞ができるほどの古木が立ち並らぶ森はどのあたりだろうか
窓の外が明るい、夜が明けるにはまだ早い時間である。
外は新雪が少し積もって一面の銀世界である、中天に煌々と冴える月光に励起された雪が発光しているようで、あたりは夜明けの様に明るかった。
ガラス窓を通して冷気が忍びこんでくる。
夜明け、常念の頂きを薄紅に染めた光が山腹を駆け下りて、安曇野まで広がった。
槍ヶ岳がいつもの位置に見えないのは、日本海側に雪雲が厚いのだろう。
しかしその雪雲はこちら側から形として見ることはできない、霞のような存在で槍ヶ岳を包み隠している。
アボカドがしなやかに伸びて部屋の中が湿潤するようだ。
3月中旬というのにに 外は戻りの寒が厳しく凍てついている。
昨夜 近くのワイナリーに隣接するレストランマリアージュで小さな会合があった。
この日ばかりはナイフ フォークを使いワインを飲む。
信州特産の生食葡萄「黄華(オウカ)」を熟成したワインは、無色に近い透明なワインである。
ワインの定義から、それるかもしれないが、しなやかな若葉を連想させる味わいであった。
ひと時 強烈な吹雪が荒れ狂って窓を叩き、洋食のほの暗いテーブルに一層の趣を添えた。