3月26日(水)。雨。勤務のない日。“自然となかよしおじさん”としては,お蔭さまでハッピーデイになりました。それについて書きましょう。
先日,ヒラタアブの孵化の瞬間をどうしても見たくて,わたしなりの作戦を立てました。たくさんの卵を採集してきて,適宜,継続観察を続けるというものです。ずっと目を向けておくというのは,労力がかかり過ぎます。
10割の確率で目撃するなんて,そんな話は夢物語ですし,それを望むことは実際には無理というものです。マア,3割なら上出来じゃないかと思って始めました。
この日までに,「読みが外れたー!」「あー,立ち会えなかったなあ」とがっかりしたこともあります。ところが,26日はなんとも幸運! 誕生場面をばっちり見届けることができたのです。その報告をします。
「中に薄い黄色と黒っぽい色が見える。ははーん,これは孵化近しだな」と直感。度々確認して見逃さないようにしていました。それで,ちょっと外に出て作業をしてから,また確認すると,ちょうど出ていたのです。
じつにゆっくりとした動きで,もうすぐ出終わるという格好で,そのままじっとしてました。そして10分以上が経ったでしょう。
からだを大きく動かして,完全に出ようとし始めました。
するするっと出ると,からだを尺取虫ふうに曲げて,殻から離れました。
そのまますこし歩いて,今度は反対側に向き直って,そのまま殻から離れていきました。殻には見向きもせずに。
これまで,幼虫が殻を食べる場面を見たことがありません。たぶん,食べる習性はないのでしょう。なにしろ,大好物のアブラムシがたくさんいるところで生まれ,育つわけです。種として自然淘汰された結果,アブラムシを食べる形質のみが遺伝子情報として保存されてきたと思われます。これはわたしの勝手な解釈です。
こんなわけで,目の前で「ほほーっ!」のドラマが展開していったのです。お蔭で,この日は気分上々で締めくくることができました。