ヒラタアブの幼虫は肉食性です。
このことに関して,すこし気になる点があります。それは,幼虫は共食いをするか,しないか,あるいは幼虫が卵を食べることがあるかどうか,です。
アブラムシを認知したとき,「これは食べ物だ」と判断する決め手はあるのでしょうか。もし,同じヒラタアブの卵や幼虫を目の前にしたとき,「これは食べ物ではない」と判断する決め手が存在するのでしょうか。
この程,それを考えるヒントのようなものを得ました。偶然次の場面に出くわしたのです。まだ謎のままで,解けていません。この先もずっとわからないかもしれません。
わたしが見たとき,この幼虫は卵の中に頭を突っ込んでいました。「ワッ,卵の中身を食べている! 共食いだー!」とびっくり。大急ぎで写真を撮ろうとしたとき,頭を出してしまったのです。惜しい! 頭と卵とが接触していた証拠に,二つの個体の間に粘液が一筋走っています。離れたことで,体液が尾を引いて残ったと思われます。卵に開いた穴は,孵化によって自然につくられたものには見えません。二つも開いています。
上写真を拡大してみると,以上書いたことがよくわかります。筋状のものは,葉の表面に生えた毛でないことは明らかです。
幼虫は,この後,向きを変えて脇のアブラムシに向かいました。
そうして,目の前のアブラムシを捕らえたのです。
幼虫の動きはまったく獰猛にみえます。肉食昆虫の特徴をよく表しています。
今のところわたしは,共食いするのではないかと解釈しています。今回見た光景しか目撃していませんが,状況証拠としては手がかりになるでしょう。