クロヒラタアブの成虫が誕生する瞬間は大変化のときです。わずかな時間で誕生し終えるので,それを目撃するのは至難のことです。
わたしは,これまで観察した経験はありません。今季,それができないかと密かに期待して,気にしながら観察を続けたものの,どの個体でもうまくいきませんでした。
色合いからもうすぐ羽化するだろうと予想はできても,中がまるで見えないために,確実にそうなるといえないのです。今回ご紹介する例もそうです。
上写真を撮ってから15分後に,下写真の大変化が進行していたのです。もうすこしきめ細かく見届けていたら,殻から出てくる瞬間を撮影できたのにと,スゴク反省してしまいました。
成虫の翅はまだ縮れています。からだの色も濃い黒はなく,淡さがはっきり見てとれます。
しばらくすると,黒っぽさが現れてきました。翅も広がってきました。
3時間程して,成虫は部屋から飛び出していきました。
たった15分ながら,これだけ誕生時に近い姿を確認できたのは初めてです。「うれしい」の一言に尽きます。いずれ,これ以上のチャンスが巡ってくるだろうと期待しています。