産卵はウマノスズクサの葉の裏に行われます。しかし,時として,表側に産み付けられることがあります。それは偶然にすぎません。というのは,大多数が裏側であり,その方が卵の安全を確保するには当然よいはずです。
上で,「時として,表側に産み付けられる」と書きました。『ジャコウアゲハ観察記(その299)』では「めったに見られない」とも書きました。しかし,今季は,驚くほどこの例がたくさん見られました。「こんなに例外例が多いのか」と驚くほどでした。
たぶん,産卵数が多いため,結果として例外例も多くなったのでしょう。たいせつな情報なので,最近撮った画像をいくつかご紹介しておきましょう。
その1。雨上がりの午後,水滴に覆われていました。やはり表側は自然環境の影響を直接受けがちです。
その2。大きな葉の縁に一粒載っています。
その3。茎の先端に近い葉にも一粒。
その4。二虫きょうだいの例です。
その5。3つの卵が縦向きに並んでいました。もちろん,おなじ成虫が産んだものと思われます。
その6。四虫きょうだいが見つかりました。明らかに同一の成虫が産卵したものです。
その7。多いものでは,5個の卵の例も! 二頭以上の成虫が産卵したものでしょう。
こうして見てくると,産卵模様はじつにファジーなのがわかります。どんどん産卵するのですから,原則どおりに厳密なわけがないという気が強くしてきます。理由をアゲハ語でアゲハに聞けば答えてくれるのでしょうが,そんなわけにもいきません。昆虫の行動を手がかりにしながら,観察者が妥当だと思われる範囲で推測するほかありません。じつは,ここがおもしろい点なのですが。