自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

なつかしいなあ,マミズクラゲ

2016-10-03 | 生物

過日の夕刻,ミュージアム・サポートのFさん一家がマミズクラゲを持って来られました。市内の池で大発生しているので,それを容器に入れて届けてくださったのです。

 


マミズクラゲは淡水性クラゲで,まだ謎に包まれていることが多く,ふしぎな生きものとして知られています。ある池に突然出現するメカニズムもよくわかっていないし,特定の池に毎年発生するわけではない理由も未解明です。人間の知が及ばない世界がいくらでもあるという例の1つです。

わたしはこれまで二度観察する機会に恵まれました。いずれも子どもが報告してくれたものでした。2回目のときは管理職で,放課後知らせてくれた子どもに案内してもらって,出かけて行きました。夏でした。そこはいかにもプランクトンが発生しているらしい,多少濁った池で,どっさりクラゲがいました。水中のクラゲにピントを合わせて水面上から写すってなんとむずかしいこと! 水中に本体を入れて撮れるようなカメラはまだ発売されていないときでした。

この日にクラゲを見たとき,パッとそのときの経験がよみがえってきたのでした。

受け取って,スタッフがさっそく展示準備をしました。

 


翌日,池に出かけたかったのですが,あいにく雨で中止。その翌日もあいにくの天気。雨がまだ落ちていない時間帯に行ってみました。結果は一匹も見つかりませんでした。ちょうど釣り人があったので聞いてみると,雨で水かさが3mは増えていて,ふだんは澄んでいる水が濁っていることがわかりました。環境変化がクラゲになんらかの影響を及ぼしたようです。

結局,晴れた日に改めて出直したほうがよさそうと判断。なんとか,池にいるクラゲを目撃したいと思っているのですが。 

 


地域ミュージアムで考える(30)

2016-10-03 | 随想

地球儀は地(地球)と宙(宇宙)をつなぐ座標軸。座用軸にどっかと足を踏み立てて,宙を見上げ,地を思うひとときが欠かせない,現代人には殊の外大切なことである,そう,わたしは思っています。それで,地球科学をテーマとするミュージアムとしては座標軸を見定める仕掛けをしなくては,とずっと考え続けているわけです。

個性的な地球モデルをいくつでも準備したいと思います。それらは,来館者に「おやっ⁉」「あれっ⁉」と思っていただける仕掛けになります。

今回制作したのは,柱状地球モデル2つ。縦長の直方体といったほうがイメージしやすいかもしれません。材料は段ボール。底面が一辺20㎝の正方形,高さが40㎝のものと,底面が一辺30㎝の正方形,高さが60cmのものです。

こういうものをつくるのにもっともたいせつなのは,立体世界地図の原型となる設計図です。これを仕上げるにはそれなりに時間がかかります。経線・緯線ともに10度間隔で引いておき,そこに大型の地球儀を見ながら地図を描き込んでいきます。緯線が曲線になっているのは,球体を平面に写し取って違和感のない地図に整えていくためです。

 


極点上に視点をおいて極地方を見れば,そのことがよくわかります。4側面地図から北極圏だけを取り出して寄せ集めると,下のようになります。

 


一方,南極圏はこうなります。

 


それを完成させると,縦長の立体地球に。

大きなサイズは……。陸は黒で着色。


小さなサイズは……。陸地は,西半球が黒で,東半球が白。


「おやっ⁉」「あれっ⁉」。そう来館者に感じていただければまずはしめたもの。手にしてもらえば,大成功。ミュージアムって,こころの内に自らがワンダーを湧き起こす空間ですから。驚きは発見と学びにつながっていきます。