カンアオイはギフチョウの幼虫が大好きな食草として知られています。その花が今盛りです。
といっても目立つ花でなく,ごく地味な感じ。花弁がなく,肉厚の萼片が中身を保護しています。開口部の直径は5mm程度。それが地面すれすれに咲くものですから,一層目に付きにくいのです。
カンアオイはウマノスズクサ科の植物。ウマノスズクサはウマノスズクサ属,こちらはカンアオイ属。
ミュージアムで一時ギフチョウを飼育展示していたことがあり,可能ならカンアオイを殖やして公園内の雑木林に植えたらどうかとスタッフが着眼。プランターに植えていたら,結構殖えて花まで付いたのです。
近くの雑木林にカンアオイの花を見に行くと,枯れ草に完全に覆われた隙間からかろうじて葉が数枚見つかりました。除いてみると,花が一輪。こんなところで,こんなふうに自生開花していることがふしぎなほどです。
花は,6本に枝分かれした花柱を12本のオシベが取り囲んでいます。そのオシベはメシベより短いので,ちょっと見えにくいですね。
メシベにはそれぞれに花粉の受容器である柱頭があります。
プランターの花を撮っていると,クモが歩いて行きました。よく見ると,糸が張られています。「クモが獲物を待っているのか」と驚きました。調べてみると,ちゃんとした虫媒花らしいのです。冬に開花するなんて訪花昆虫がすくないだろうなと思ってしまいます。小さなハエのなかまが来るといいます。
それなら,その瞬間を目撃できないだろうかと密かに期待しているのですが。
次回は花の中を覗いてみます。