自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ヒラタアブの成長(22)

2014-04-25 | ヒラタアブ

部屋の窓ガラスにアブが一匹とまって,ぶんぶんうなっていました。アブはクロヒラタアブでした。家の中にいるわけがないので,たぶん室内に置いて観察していたヒラタアブの幼虫がどこかに歩いて行って,蛹になり,その後羽化したものなのでしょう。

わたしが観察中の蛹個体を見たところ,どれも羽化した気配はありません。

そんなことを思って,目の届く辺りを探していたら,なんと割り箸の先端に蛹が一個体くっ付いているのを発見。割り箸の先の断面など極めて狭いのに,すっぽり収まっているのです。結果,蛹の小ささが十分わかるでしょう。なお,割り箸は観察のときに使っているものです。 

 
固定面は,やはりからだの後方の一部です。前の方が浮いているのが,独特の風景に見えます。


ヒラタアブは人工物・自然物を問わずに,からだをそこに固定して蛹になります。箸だって,へっちゃら。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その292)

2014-04-25 | ジャコウアゲハ

4月25日(金)。昼間はポカポカ陽気でした。今日出席した会合で交わされていた挨拶は「よい日和で……」というものでした。

我が家では,一日で4頭のジャコウアゲハが羽化しました。一気に,という感じです。

そんなこともあって,『アゲハの庭園』 にさっそくジャコウアゲハが訪れました。

 
そうして,卵を産み付けていました。今季初めての出来事です。


葉の裏があれば,葉柄も。 


確認は一枚一枚の葉を裏返して行います。そうしているときにも,ジャコウアゲハが産卵のためにやって来ました。ちっとも警戒心が見えないところがうれしいですね。 


この日に確認できた卵は4個でした。 待ちに待ったジャコウアゲハの季節に入りました。

 


ジャガイモの真正種子栽培,本実験(その5)

2014-04-24 | ジャガイモ

4月22日(火)。芽生えて以来,ジャガイモの苗はすくすく育っています。もう,子葉(双葉)の間から本葉がちょこっと顔を覗かせています。当たり前なのですが,植物の成長は日々連続しているうえに,昼間は春らしい天気が続いているため,こんなに順調なのでしょう。観察者としてもうれしい限り。


双葉に種皮が付いていて,本葉が見え始めて……。 


本葉が大きく開いて,間から本葉がしっかり成長してきて……。 


瑞々しいばかりの色彩を放つ双葉から,本葉が「「いよいよ,わたしの出番だ!」といわんばかりにこころを整え,出始めています。 


急に日差しが強くなってきたので,遮光用シートで保護することにしました。昨秋は,日照りが続いて,ずいぶん気を遣いました。乾燥と水分不足で,苗が痛めつけられないように要注意です。 

 

 


ヒラタアブの成長(21)

2014-04-24 | ヒラタアブ

カップの縁に付いていた蛹が落ちたとき,個体とカップの接触面がどうなっているか,見ておきました。だって,その部分だけでからだを保持するのですから,ふしぎの一つです。

おもしろいことに,接触面はなにか液体のようなものが分泌されて,それで付着していたように見えます。からだの前半分はこのことにまったく関わっていません。 

 
そんなおもしろさを感じながら,改めて蛹の付き方を見てみましょう。ほんとうに,からだの一部だけで姿勢を保っているようです。


横向きでなく,ふつうの姿勢でも蛹になります。そんなときも,接触面は限られています。 

 

最少のエネルギーで変態していく様子が窺えます。無駄を完全に排除する,省力化のことわりがはたらいているようです。 

 


狩りバチとホトケノザ

2014-04-23 | ホトケノザ

ホトケノザの群落で,狩りバチらしいハチを見かけました。体長は7,8mm。長めの触角と,脚の褐色がこのハチを特徴づけています。これまでに何度か見ながら,撮影できないままになっていました。それだけすばしっこい動きをしていたからなのです。

この日は違っていました。意外や意外,ちっとも慌てないのです。わたしが指を持って行っても,逃げないのです。大急ぎで写真に収めました。 

 
葉の裏面の行動は,なにか獲物でも探しているように見えました。表に出ることもありました。


ハチの名はまだわかりません。もしわかれば,ヒラタアブの幼虫を餌として生きているとか,幼虫に卵を産み付けるとか,そんな事情がわかるのではないでしょうか。 

 


オドリコソウとクロマルハナバチ

2014-04-23 | 昆虫と花

ウォーキングをしている道の脇に,オドリコソウの群落が二カ所あります。 今,花が満開です。

オドリコソウは漢字で書くと“踊子草”。踊子そっくりな花が茎をグルッと取り巻いて咲いていることから命名されたとか。春の舞姫としてよく知られた草花です。

そこを訪れる昆虫を注意深く観察していると,そう多くはないものの,何種類か目に付きました。ただ,じっと観察しているわけではないために,実際は多いかもしれませんが,見る限りではそう多くないなあという印象です。

目を凝らすと,大きなクロマルハナバチがいました。からだが黒いので,遠くから意外と目立つのです。はじめは,クマバチと勘違いをしてしまいました。飛ぶときに大きくて低い羽音を立てるため,「アッ,ハナバチが来ているな」とわかります。 

 
オドリコソウの花は筒状になっています。それで,ハナアブはからだを完全に花に入れて蜜を吸います。


花の中に入ると,からだ全体を写すことはできません。出てきた瞬間に撮るほかありません。 

 
慎重に近寄ると,ハナアブはわたしにまったく気づきません。ただ人の気配を少しでも察知すると,すぐに飛び去ります。そんなときが何度かありました。クロマルハナアブのそんな行動は,臆病にさえみえる温和な性質を物語っているように思えてきます。 

一方オドリコソウは,自分の花に大き目の昆虫がやってくることを大歓迎していることでしょう。だって,受粉が確実に行われるでしょうから。

 


ベニシジミの産卵行動

2014-04-22 | 昆虫

ベニシジミがずいぶん増えてきました。ウォーング中,道端での出来事を一つ。

前方で,背の低い,小さなスイバの薹にベニシジミがとまりました。そうして,下に向かってゆっくり歩き始めたのです。「おかしいなあ。もしかすると,産卵かな」と思い,立ち止まって写真に収めることにしました。


近づいても,ちっとも気づいていない様子。すうーっと地表付近に降りていきました。そうして産卵するような動きを見せたのです。しかし,その格好は,葉に遮られてきちんと見届けることはできませんでした。


ベニシジミが飛び去ったあと,卵はないか確認してみました。しかし,あることを期待していたのですが,それらしいものは葉をいくら探してもありませんでした。

あれはたしかに産卵行動だったはず。なにかわたしの不用意な動きが災いしたのでしょうか。そうなら,とても残念。いずれこの辺りで,いずれ幼虫が見つかるかもしれません。すこし期待が膨らみます。

 


春を運んで来たキアゲハ

2014-04-22 | キアゲハ

室内で蛹で越冬し,春の訪れと共に羽化したキアゲハ(オス)の春型。少々小振りながら,たいへん鮮やかな色彩を放っています。高尚な彩りで,こころを引き付けられます。 

 
室内で羽化したついでに,接写画像を残すことにしました。からだを覆う毛の生え様がこころに焼き付きます。


昆虫は,眼の写り方が写真としてのいのち。 


個眼の集団は,くっきり縁取られています。ちょうどお椀を被せたようなかたちです。


口吻が優雅に伸びて。脚は毛と突起で覆われています。いかにも外骨格の発達した生きものという感じがします。 

 
斜め上,両眼が見える位置から撮りました。複眼の丸みが際立っています。


おしまいに腹部を入れて撮りました。全身が毛で保護されている様子が驚異的です。

 

 
チョウのからだのふしぎを,また感じてしまいました。 

 


ジャコウアゲハ観察記(その291)

2014-04-21 | ジャコウアゲハ

4月20日(日)。ついに蛹が羽化する日が近づいてきたようです。いくつかの個体で,色が大きく変わってきました。たぶん,あした頃に成虫が誕生するのではないでしょうか。

4月21日(月)。月曜日は勤務施設の休館日。なんとか羽化する場面を見届けるられるかも。そう思っていると,昼前のブロック塀の個体がもう羽化していました。メスです。惜しいことに,誕生場面を見ることはできませんでした。しばらく時間が経っており,すでに翅が伸びていました。これが我が家で誕生した第一号です。


それが夕方までじっとしていて,たまたま見ているときに舞い上がっていきました。ところがふしぎなことが起こるものです。入れ替わるようにして,今度はオスが一匹庭を訪れて,草の葉にとまったのです。いったいどこからやって来たのでしょうか。

そのうちに雨が降りかけたために,それをしのぐために葉の裏側に回ってぶら下がっていました。


このまま夜を迎えたので,たぶん,ここをねぐらにするはず。

また別の個体が羽化直前です。この個体については,明日にでも報告しましょう。 

 


マンサク,若葉の頃

2014-04-21 | マンサク

マンサクの枯葉が散り落ちて,若葉が芽吹いてきました。青々とした瑞々しさからは,いのちが膨らんで見えます。


あれだけたのしませてくれた花は,実を結ぶしたくを着実に進めているようです。


そう思って食痕はないか,ようく観察してみるとありました。それはミノムシのものでした。その証拠に,傍にはちゃんとミノムシがいました。もちろん,“我が家”にすっぽり入り込んでいるので,姿をみることはできません。


蓑の材料は萼片が中心になっています。


こちらの蓑には花弁がたくさん使われています。


継続観察をしていけば,いずれ,食餌中の頭をとらえることができるでしょう。

他にいないか,見ていくと,今度はなにかの幼虫が葉の表にいました。辺りは食痕だらけなのです。おまけに,糞がいくつか散らばっていました。幼虫の色は葉とそっくり。保護色の典型です。


いったいどんな成虫になるのか,これも注目に値します。ガであることはまちがいないところです。

自然界にはあちこちを棲み処とするそれぞれの昆虫がいます。この葉を特別の好物とする幼虫がいて,そしてこの幼虫を捕食する別の昆虫がいて,というふうにうまくできています。ミノガの幼虫ミノムシは,自己防衛のために蓑をまとっています。マンサクは,この程度の被害にあってもおおらかな気持ちでいることでしょう。