自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

街路樹ケヤキの嘆き

2022-12-21 | 随想

一つのいのちには生きていくかたちがあります。ヒトの営みとはいささかも関係なく,それぞれがいのちを全うするプロセスがあります。それを思うと,ヒトには尊重すべき人権というものがあり,生きものにも生きものとして生きる本来的な権利があると思うのです。それは動物にも植物にも当てはまる気持ちがします。

それをヒトの一方的なものさしで勝手気ままにバッサリ刻んでしまっては元も子もないのでは? 生きとし生けるもののおかげで穏やかに暮らせるというのは,わたしたちヒトがいつもこころしておきたい座標軸です。

ところが,この勝手気ままが往々にして出過ぎることがあります。ついこの間見かけた,わが市のケヤキ街路樹の手入れがその好例です。手入れというより,「エイッ! ヤーッ!」とばかりに切り刻む単なる伐採です。入札でより安く応札した施工業者がレンタル作業車を使い,剪定のノウハウを心得ていないと思われる作業員が木の高さを一律に揃え,バッサリバッサリ伐っていくだけ。機械的で物理的な手を加えるに過ぎない単純作業。そこには知恵の入る隙はまったく感じられませんでした。記憶にとどめるために,ついつい撮影してしまいました。

 

見ていて,わたし"自然となかよしおじさん"はケヤキの嘆きが聞こえて来そうな気持ちになり,やり切れなくなったほど。

並木の中に,枯れてずうーっと放置されてたままのケヤキが一本悲しそうに立っています。何年も。これ,ヒトの身勝手さでは?

 

こうなるのは業者の問題ではありません。作業内容を提示して業者入札を設定した行政の理念の問題です。街路をまちづくりとしてデザインする指針が欠けているのです。

経費削減? 思考が停止したままの状態ではなんら前向きの解決策は生まれません。もしかすると,落ち葉の苦情が多いのかなあ。それにしても担当部局もそうだし,幹部の皆さんも同じで,長年同じ風景を眺めてきて何も思えなくなっているところがそもそもの問題です。慣れというのはじつに怖いもの。

 

わたしには哀れな風景に見えますが。

 

ケヤキの権利は「ヒトの生活空間にあっても,できるだけ自分風に生きていきたい」というものでしょう。そうだとしたら,樹形を健全に保つほかありません。太枝をもっともっと整理して,何本かの枝が高く伸びることを尊重するだけでOK。大きくなると困るというなら,樹間を広げるために間引いてもいいでしょう。それらは電線や建物などの構造物がない場合の簡単な手です。それでも困るというのなら,そうした区間については樹種を変更したらよいのです。そもそもケヤキを植える当初の計画ではどんなデザインが描かれていたのでしょうか。

 

ふつうなら春以降は緑のトンネルがずうーっと続いて,誰の目にもここちよい景観が出現するはず。ケヤキ一本一本の個性的な枝ぶりがこころを和ませてくれるはず。緑は友だちのはずなのに。冬は冬で,枝ぶりが景観をゆたかにしてくれるでしょう。イルミネーションだってできます。ところが,作業が終わった通りに立つとこころには殺風景さが広がるだけ。これでは緑の季節は到底期待できません。

 

幹線から外れた支線。ここも同じ。若木にも地衣類が生えて,青息吐息の感。表皮がめくれあがって,その下から形成層ができつつある木があっちにもこっちにも。

 

申し訳ありませんが,錆びた感性からはゆたかな土壌は育まれないとわたしは強く感じています。

 


チューリップの実生,二年目の挑戦(3)

2022-12-20 | 植物

12月19日(月)。球根は育苗箱に植え付けているため,それらを真横から撮影することができません。真横から手軽に撮ることができればなお理想的です。そこで,5本をポットにそれぞれ移植することにしました。

 

横方向から撮りやすくなりました。

 

長さもわかりやすくなりました。

 

高さは5mm程度です。

 

継続観察がたのしみです。

 


ヤマトシジミ,最後の孵化

2022-12-19 | ヤマトシジミ

今秋,ヤマトシジミの羽化を何回か撮影できました。ヤマトシジミの場合は予測がなかなかむずかしいのですが,複数回写せたのはまったくラッキーというほかありません。

今回は最後の撮影です。葉が枯れているのは,植木鉢に植えたカタバミが水分不足で萎れてしまったからです。羽化の兆候はわかりづらいのですが,わたしなりに思うのは触覚の白黒模様がはっきりした時点から気を抜かずに注意する必要があります。

 

昼間はそれなりに待ち構えておけます。夜間と違ってありがたい限りです。

 

羽化すれば,あとの動きはじつに早いものです。

 

向かって右方向に出て行くのかなと予測していたのですが,外れました。こちら向きになってびっくり。ピントはとにかく複眼に合わせることです。

 

翅が垂れ下がる場所で静止します。

 

すこしずつ翅が広がって行きます。

 

幼虫を羽化時まで見届けることができたら,うれしくなります。いのちに拍手ですね。

 


チューリップの実生,二年目の挑戦(2)

2022-12-18 | 植物

12月15日(木)。出芽を初確認。ここ2,3日,灌水していなかったので,水やりついでに確認すると,ぽつぽつと芽が出ています。数えると8つ。11月16日に植え付けたので,ちょうど一カ月後に芽が出たことになります。

この芽には球根の皮が付いています。

 

二つの芽の間,やや右の奥にも一つ。

 

木の棒は爪楊枝です。葉はいかにも単子葉という感じ。

 

掘り上げてみました。様子は大きな球根そっくり。

 

これからわんさかと出芽するでしょう。これはたのしみです。

 


'22 昆虫の頭・顔 ~ウラナミシジミ~

2022-12-17 | 昆虫

二頭いたウラナミシジミのうち,一頭を捕獲。これまで顔写真を撮ったことがないものですから,なんとか撮っておきたいと思ったのです。

一目見てびっくりしたのは複眼に生えた毛。眼全体を覆っているのです。

 

このチョウにとって,視覚がどれほどたいせつなのか,一目瞭然です。

 

とにかくしっかり記録しておこうと撮影を続けました。

 

真横からも。からだが毛で覆われています。水滴など簡単に弾かれてしまいそう。

 

いつものように真正面から。

 

それにしてもからだを覆う毛の様相には驚き入ります。どんな環境にも耐え切れるよう,種としての進化の過程で備えて来た結果です。

 

どの昆虫を観察するにしても,すがた・かたちを見つめ,その意味を推し量ることを大事にしたいものです。

 


初冬のウラナミシジミ

2022-12-16 | 昆虫

12月6日,自宅裏の更地にて。

シジミチョウが二頭舞っては,そこに咲くセイヨウタンポポの花に降りて吸蜜。しばらくしたら花を替えて行く,といった様子です。ただ,種を同定できないので,望遠レンズで撮影して確認。尾状突起あり,黒点あり,翅裏に波模様あり,でウラナミシジミとわかりました。

 

花を替えてそこでも吸蜜。

 

ホソヒラタアブとなやよくやっています。

 

あとを追っていると,葉の上に降りる瞬間がありました。翅を広げたので,その特徴からメスとわかりました。

 

「本州では秋に多く見られる」と書いてある図鑑がありました。この場所でウラナミシジミを撮影するのはまったく久しぶりです。もう冬の入口に立っていることからみると,ウラナミシジミの姿を見かけるのは今季これが最後かもしれません。

ただ,地球温暖化にともなって生息域が北上していて,越冬態がもう一つはっきりしていないようです。この個体はこのまま冬を越すのかな。わたしはこれまでに,成虫越冬を確認したことはありません。

 


'22 昆虫の頭・顔 ~ナツアカネ~

2022-12-15 | 昆虫

庭の手入れをしていると,葉ボタンの葉にナツアカネが降り立ちました。なんとタイミングのよいこと。これで今季最後の出会いかなと思い,捕獲。

 

夜になってスタジオで撮影開始。まずは同定から。胸部の黒条がズバッと切れているのでナツアカネとわかります。

 

夜は室内も低温なので,ナツアカネの動きはほんのわずか。

 

いろんな角度からゆっくり撮影。

 

さらに近づいて撮影。

 

トンボの眼って,ほんとうに個性的です。色合いなんか,似ているようでいてもそれぞれの種で違っているのです,

 

お互い種ごとの識別で大いに役立っているのでしょう。

 

撮っていて飽きません。

 

頭の後ろ側がすこしだけ見えます。

 

真正面から。

 

おしまいにレンズを交換してもっと近寄りました。こうなると被写界深度のなんと浅いこと。

 

さらに。個眼のかたちと並び方がわかります。

 

今年はナツアカネにずいぶんたのしませてもらいました。ほんとうに感謝です。

 


'22秋 虫の目レンズは友 ~ツクバネ~

2022-12-14 | 植物

快晴のこの日,古刹を訪ねてツクバネを撮って来ました。これは毎年恒例になっていること。

実はまだたくさん付いたままでした。撮影にはやはり時期を選ぶことがたいせつです。人の気配のない境内で,静かに撮影をたのしむことができました。考えてみれば,毎年同じような構図になります。

 

鐘楼を入れて,奥行き感を出します。本堂の瓦も少し見えます。

 

林の中にあるツクバネを撮りました。

 

それにしても,おもしろいかたちの実があるものです。

 

我が家で育つツクバネは,雄株ははっきりしているのですが,雌株がどれかはまだわかりません。なにしろ,花がまだ咲かないほど小さいものですから。来春はなんとかわかりかけるかなあ。

 


ツクバネの実の風景

2022-12-13 | 植物

ツクバネの自生する古刹はわたしの撮影スポットです。

 

他の落葉樹と同じように,今は実がどっさり鈴なり。

 

十分熟しているので,指を触れると落ちます。

 

みごとな出来です。

 

見上げると,プロペラは茶色。十文字状の付き方がこれまたみごと。

 

林の中もツクバネでいっぱい。

 

こんなに見応えがあるから,この地はこの時期見逃せません。

 


門司港小景

2022-12-12 | 旅行

門司港は鹿児島本線の出発・終着駅です。歴史と共に歩んできた古いまちです。それだけの古さ,風情が漂う港町です。

わたしは青年時代,下関から関門トンネル(歩道)を歩いて渡り,門司港を訪ねたことがあります。当時の記憶は薄れてきていますが,記憶と実際の風景とが重なり合うこともあり,懐かしい風景が広がっていたのでした。

JR門司港駅は文化財に指定された由緒ある駅です。貫禄十分。こういう古さはずっとずっと大事にしたいなあと痛感。

 

駅近くに海が。この海は関門海峡。はね橋がありました。一日6回,定時になると橋が上がって,人は通れなくなります。その間に船が通るのです。

 

ちょうど橋が上がるところを見ました。橋の両端に係員がいて,大きな声で間もなく渡れなくなる旨のお知らせをしました。すると,ゲートが閉じられて……。中央奥の方に関門大橋がわずかに見えます。

 

上がってしまうと,ずっと向こうに大橋がありました。趣きのある港の雰囲気が漂います。

 

きれいで清潔な港町です。

 

ここがバナナの叩き売り発祥の地だそうです。

 

わずかな時間の滞在でしたが,よき古さを発見できたひとときでした。

 

先人の匂いが漂う品位の感じられるまちに感謝。