で、実孝だ。
はっきりいって、いい男だ。子だくさんだが、イクメンではない。
兄もいい男だが、ヤンキーあがりなので、それっぽい雰囲気今もあり。
GTOを気取るバカである。
副住職は一族の中でも、底なしのバカである。近寄りたくもない。
急須のように口を出すが、結局は収まった試しがない。
そんなわけで、イタチを山に放しに行くといって、後藤と嫌そうな表情を隠しもしない荒波を連れて、こともあろうに一輪車にイタチ入りのかごを乗せてがたがた言わせて、藪の中の獣道をおぼしきところに入っていった。その背中を見送りつつ、
「無事でいたらいいんだが」
と、悠樹とともにため息をついた。
一方で、何事か起こってくれると面白いんだが、とも思っていた。
そこへ、
「あれ?俺のカワウソは?」
と、とぼけた声がした。振り返れば、奴がいた…wwww
「おまえ、あれ、イタチだぞ」
「イタチ~?ちっちっち、何をいってくれているんです?カワウソですよ、カワウソ」
キチローが親指を左右に振って、にやりと笑う。
「絶滅危惧種のカワウソですよ、見つけたら大発見ではないですか」
「あんな」
あきれてものも言えん。まあ、これがキチローなんだけどな。
キチローとやり合っていると、奴らが進んでいった方角から悲鳴が聞こえた。
「ひえええええ」
「くっせえええええ」
キチローは、
「ぼくのカワウソ太郎があああ」
と、叫び声をあげるなり、藪に突進していった。
「やられたな」
「ですねえ」
俺たちは、そうつぶやいたものの、しかし、次に起こりうる状況がから、速攻で逃げ出した。
カンベンだ。。。
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