ほしちゃんの「続・なるようにしか、ならん」。

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山下達郎11年ぶりのニューアルバム、「SOFTLY」。

2022-06-28 18:00:00 | No Music,No Life.

我が尊敬してやまない「歌う人間国宝」山下達郎の11年ぶりとなるニューアルバム「SOFTLY」が発売され、1週間となった。
買ってすぐにネットで論評する人を散見するが、私はそんな買ってすぐに何度も聴ける状況ではないので、ある程度聴いてから書くのが適切だと思っていた。
私が達郎フリークである事をよく知る人達からは
「アナログ盤も買った?」
「カセットは買った?」
などと聞いて来るが、残念ながらどれも買っていない。
アナログならではの柔らかい音の良さは私もよく理解するが、その音の良さを云々出来るハードがそもそもないのだ。

達郎自身が御託の多い人ゆえ、ファンも私を含め口うるさいへそ曲がりが多いのだが、そんな人達の大半を唸らせたであろう、一言で言って素晴らしいアルバムだ。
私はアルバムとして純粋に楽しみたかったため、既発表曲はラジオでオンエアされる以外は全く自分では聴かず、キムタクのドラマも観ななかったため、全15曲中11曲にタイアップがついていようが私の中ではオール新曲だ。それゆえ、何の先入観もなく聴ける。

イケズなファンは、シングル曲を飛ばして書き下ろしを先に聴いたりした事だろうが、たいがいブッ飛んだはずだ。
アルバムの推し曲、すなわちプロモーションの代表曲である「Love's On Fire」の瑞々しいコンテンポラリーな音作りにまず驚く。今流行っている洋楽のようでありながら、ファルセットの多重コーラスでちゃんと達郎流の味付けがなされている。

「人力飛行機」はシュガーベイブ時代からのドラマー・上原裕のハネたビートが際立つ。上原裕はハイハットで16ビートを刻むのが苦手で「Bomber」を敢えて8ビートのハイハットにし、キックで16ビートのニュアンスを加えたのが田中章弘の泥臭いベースとマッチし今やシティポップ(笑)を代表する曲となったが、ハーフシャッフルになまらせた上原氏のプレイに達郎のボーカルも心なしか嬉しそうに聴こえる。

「OPPRESSION BLUES」はまさにウクライナ情勢が生んだ曲だろう。達郎はこれまでも「DANCER」「The War Song」などいくつか世界情勢を歌っているが、あからさまな反戦ではなく言わば「静かな絶望」を歌っている。
この曲も淡々と続くビートの中に、やり場のない怒りや絶望を感じ取る事が出来る。

そして「YOU」。コレが今回の私のイチオシだ。「スプリンクラー」「Splendor」を彷彿とさせるヘビーな8ビート。
「アルチザン」以降のアルバムは、デジタルレコーディングでの音立ちを良くするために敢えてマニュアルプレイではなくコンピューターによる打ち込みにした曲が多く、反面超一流ミュージシャンが繰り出すスタジオセッションの妙味のようなものは陰を潜めた。
この曲のドラムはオカズ以外は打ち込みだそうだが、全くそうは聞こえないほどにgroovyな仕上がりだ。

既発表曲も、もちろん粒揃い。「うたのきしゃ」はアニメ映画のタイアップとはいえ何故わざわざ平仮名で子どもっぽくしたのか?タイトルとは裏腹に「FOR YOU」の頃を彷彿とさせる16ビートソウルの名曲だ。

11年の間に貯まった曲を並べて作っただけに、コンセプトも何もあったものではないのかもしれないがオープニングが「フェニックス」のショートバージョン、ラストが「REBORN」だけに輪廻転生がテーマだったりして(笑)…





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